「財政支出でデフレに戻さぬ」は本気か!|迷想日誌
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、非正規労働者の雇用ダメージが深刻化しています。
現在の雇用情勢と政府、厚生労働省の対応について、ご紹介したいと思います。
雇用動向を男女別にみますと、女性の正規雇用は増加が続いている一方で、女性の非正規雇用が大幅に減少しているのが特徴となっています。
正規雇用の増加は、同一労働同一賃金導入を見据えた正規化の動きの顕在化と捉えられています。
医療・福祉等で正社員が増加した一方、宿泊・飲食業を中心に非正規雇用が大幅に減少しました。
男性は、正規、非正規雇用ともに減少しましたが、減少幅は女性ほどではありません。
失業の状況は、男性の35~54歳を中心に全年齢で増加しました。
女性は、飲食・宿泊業の非正規雇用を中心に増加しましたが、ここに来て増加幅はやや縮小傾向にあります。
ちなみに、失業率とGDPギャップ(需要の過不足)には負の相関があり、需要不足が拡大すると失業率は上昇する関係にあります。
今回は、雇用調整助成金等の政策効果により、リーマンショック時に比べ、失業率は大幅に抑制されているのが大きな特徴です。
自殺者数に触れますと、2010年以降低下傾向にありましたが、20年は11年ぶりに増加しています。
昨年6月以降、前年差で女性の自殺者の増加が続いているのが実情です。
20~50歳代の幅広い年齢層で増加がみられ、健康問題や家庭問題を理由とするケースが多いようです。
休業者・離職者への雇用支援としては、大企業のシフト労働者などへの新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の適用や新型コロナの影響による離職者を試行雇用する事業主へのトライアル雇用助成金による支援、さらに感染症対策業務等による雇用創出(10万人規模)、人材確保等促進税制の導入などが実施されます。
職業訓練の強化・ステップアップ支援では、求職者支援制度など職業訓練の抜本的拡充に向け、公共職業訓練の受講者を50%増(約15万人を目標)とするほか、求職者支援訓練の受講者を倍増(約5万人を目標)させる予定です。
今後、政府は、再びデフレに戻さないため、当面の間、経済を下支えし民需を引き出す財政支出を通じて成長につなげていくとともに、成長分野で雇用を創出し職業訓練やリカレント教育、マッチングを通じて円滑な労働移動を促すとしています。
これにより、「成長と雇用の好循環」を生み出す方針ですが、画餅とならないよう本気で取り組んでもらいたいと思います。
労働新聞編集長 箱田 尊文
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