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労働新聞編集長の気ままに労働雑感

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2021年11月の記事一覧

労働委員会の存在感アップを|気ままに労働雑感

全国の労働委員会の公労使委員が年に一度集合し、労働委員会の現状と課題を共有する全国労働委員会連絡協議会総会が、11月18~19日にオンラインで開催されました。 労働委員会では、集団的労働紛争対応として不当労働行為事件審査と労働争議の調整、個別労働関係紛争対応としてあっせん制度を運用していますが、同総会では、いずれも処理件数が引き続き減少傾向にあることを報告しました。 集団的・個別紛争の受け皿として、労働委員会の存在感アップが大きな課題になっていると感じます。 不当労働行為事

社会保障制度の持続可能性向上へ意欲示す~厚労省吉田事務次官が就任会見|気ままに労働雑感

今年10月に就任した厚生労働省の吉田学事務次官がこのほど記者会見を開き、就任に際して取り組んでいきたい課題を明らかにしました。 「コロナ禍において、国民の命、健康、雇用、暮らしを支えて守っていかなければならないという使命について、省を挙げて全力で取り組んでいきます」と話しました。そのうえで、より中期的な課題として、「全世代型の社会保障を構築することと、制度を持続可能なものにしていくことが絶対に必要」との考えを示しました。 雇用保険制度を含め、国民の生活を守るインフラである社

人材の確保・定着へ不妊治療と仕事の両立支援を|気ままに労働雑感

少子高齢化に伴い労働力人口が減少するなか、多くの企業で事業を支える人材の確保・定着が大きな課題になっています。 人材を集め、定着してもらうためには、仕事と生活を両立できるような働きやすい職場づくりが大事ですが、そのなかの一つとして私が注目しているのが、「不妊治療と仕事の両立支援」です。 近年、不妊治療を受ける夫婦は約5.5組に1組に上るといいます。 厚生労働省の調査によると、不妊治療を経験した男女の16%が仕事と両立できずに離職しています。 女性に限定すると、離職割合は23

外食産業での精神障害発病防止へカスタマーハラスメント対策強化を|気ままに労働雑感

政府は10月26日、令和3年版過労死等防止対策白書を閣議決定しました。 そのなかで、過労死防止対策大綱において重点業種に設定されている外食産業の調査・研究結果を報告しているので、少しご紹介したいと思います。 白書では、平成22~30年度に外食産業(飲食店)で労災支給決定された脳・心臓疾患151件と、精神障害172件についての分析結果を明らかにしています。 精神障害事案のうち、自殺(未遂を含む)に至ったのは22件に上っていて、それらの心理的負荷に関する具体的出来事をみると、「