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Aerosmith 70s

Aerosmith - Aerosmith (1973)

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 一聴しただけではアメリカ出身と分からないバンドも多くなってきたし、最近は特に顕著。しかし25年も昔の1973年にボストンから出てきたエアロスミスは一聴しただけで英国のバンドと思う曲が多かった。ところが今はアメリカンハードロックの超大御所バンドに君臨しているので、その変貌はなかなか凄い。逆に英国出身のバンドでアメリカナイズされてしまったホワイトスネイクの例もあるが、英国風味がどれだけ吸収されているかはセンスの良さに通じる。

 エアロスミスも1973年にデビューしたけど当時は全然売れなかったからハングリー精神が養われ、カッコ良いロックバンドになったと。ギターのジョー・ペリーが英国ロック大好きで、ジミヘンの隣に墓を買ったオトコだし、ヤードバーズ大好きでジミー・ペイジと「The Train Kept A Rollin'」をジャムるなど、この人の純粋なロック好きギター小僧スピリッツがエアロスミスの根本だ。テクニックと音楽面は音大出身のもう一人のブラッド・ウィットフォードにサポートさせるバンド体制。それがバッチリ良い方に向かっているから、今でも続いている。ちなみにスティーヴン・タイラーは元々ドラマーだったのでリズム感バッチリの歌い方も納得。

 ファーストアルバム「野獣生誕」は、デモテイク的な音でしか録音出来なかったが、そのチープさが却ってバンドの本質をさらけ出して、かなり良い雰囲気に仕上がっている。曲の良さも引き立ってるし英国ロックバンドと思うセンスが出ている。レコードの針を落として一発目からチープな音で流れてくるギターのコードがカッコ良く、曲は凄くないけどやる気だけは漲ってて、全然ハードロックでもなくストーンズ的ルーズなロックンロール。次の「Somebody」もガレージロックで、「Dream On」は良く出来てるし、悲愴感が切実に出ているから、そのテンションが聴く人を惹き付ける。最初のイントロを初めて聴いた時は鍵盤と思ったけど、よく聴くとギターで弾いているので、粗野なバンドではなく、しっかり音を作ってるバンドと気付く。その後は「One Way Street」の軽快なシャッフルがスタートするが、アメリカらしいながらも新鮮なロックでカッコ良い。

 ここまでがアナログ時代のA面。ジャケットはあまり面白味がないけどアメリカのバンドは平気でジャケット変えるから怖い。このファーストアルバムも文字の位置やロゴや「featuring "Dream On"」と書いたりと細かい変化が多い。写真の大きさを変える時もあって、エアロは特に多い気がするけど、英国のロックバンドだったら、全部のパターンを集めたくなるコレクターも出てきそう。

 そしてB面は一発目からカッコ良い「Mama Kin」で、ガレージロックな雰囲気でザクザクとコードを斬るジョーのギターサウンドがロック。そして地味な印象の「Write Me」はイントロやリズムはエアロっぽいが、この後の三枚目くらいに収録されてもおかしくない曲だけど最初からこういう曲の構想はあったと分かる。次の「Movin' Out」はモロにヤードバーズ的ながらもエアロ風になった、センスの良いグルーヴ感がしっかりと出ているロックンロール。そしてストーンズのアルバムに追随してか、最後は「Walkin' The Dog」で締める。

 ブリティッシュブルースロックバンド好きが出ているが、そこにアメリカ的要素が入ってくるから逆輸入の独特のサウンドになり、それがエアロスミスの魅力。今みたいに狙って作ってないから余計にチープでシンプルな一発録音のガレージサウンドのファーストアルバムは輝いている。久々に聴いたけどカッコ良い。

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