Hanoi Rocks - Oriental Beat 40th Anniversary Re(al)Mix 2023
いや、知らなかった。これだけ情報網が発展して自分自身でもいろいろとアンテナを張ってあるハズなのに全然引っかからずにすり抜けてしまったのか見落としていたのか、もっともっと情報アンテナを張り巡らせないといけないと改めて考え直していろいろと構築最中だが、そこまでしないといけないのかと思うとそれもうんざりな部分はある。多少遅れてもちゃんと情報収集して発掘できればこういう作品も改めて聞けるから良いだろうと気楽に考える事にしよう。
Hanoi Rocksの1982年リリース作品「Oriental Beat」のリミックス盤と言うかリアルミックス盤と称されているから、そのままではあるが、このアルバムのオリジナル・バージョンは時代を反映したペタペタな過剰なまでにエフェクトを施されたドラムの音で、どうにもロックバンド、特にハノイ・ロックスのようなバンドには全く不向きなサウンドで当時から迫力もなくて面白みのないアルバムとの印象だった。後々になってくるとライブでも披露される曲が多いから、このアルバムに入ってたのかと改めて聴き直したりもしていたから慣れてきたけど、なかなか残念なサウンドだったのは事実で、それが今回マスターテープが発掘されたのをきっかけにようやくリミックスし直す機会を得たようだ。2023年6月にはマイケル・モンローの還暦ライブでオリジナルメンバーが再結集して話題を振りまいていたが、その前にこのアルバムのリミックス作業でほぼ全員が集結して作業に絡んでいたようだ。アンディ・マッコイとは十数年ぶりに会ったと言ってたくらいだから年月の過ぎ去るのも早いものだが、そうしてメンバー全員が納得できるサウンドに作り直されているアルバムが「40th Anniversary Re(al) Mix Deluxe Edition」との事だ。
もうね、驚くことに曲順からして組み替えられていて、アルバムタイトルの「Oriental Beat」から始まっている。この曲の価値がリリース時から大きく変わっているのだろうか、更に冒頭の叫び声も異なるテイクが使われているようで、些か違うので雰囲気がちょいと変わってくる。それよりも何よりもアルバム全般に言える事だが、ドラムの音は普通のロックバンド的な自然なサウンドで迫力ある仕上がりに変わっているし、ギターやベースも立体的に、特にギターは左右に振り分けられているので生々しくアンディとナスティのサウンドがきっちりと聞こえてくるから素晴らしく、これぞロックバンド的な印象が強まる。そこでこの二人のギターがこれほど絡み合ったサウンドだったのかと思う程にストーンズ的にツインギターが複雑な役割を果たしているから奥が深い。今の耳で聴けばそりゃそうかと思う音だが、元々のサウンドを知っていると大いに驚くカッコ良いサウンドのアルバムに仕上がっているので、元のアルバムを意識しないで今のシーンへのハノイ・ロックスの新作として聴いても十分に楽しめる作品だ。まったく同じ事をアンディも言っているので、それくらいに手応えのあるリミックス作品に仕上がったのは間違いない。聴いていてもこれはとってもカッコ良い作品で、スライド・ギターもこれほど使われていたのかと思うほどに生々しく鳴ってくるし、サムのベースもグイグイとドライブしてくるから全く絶頂期のバンドの様相が聞ける、素晴らしき再構築作品。ボーナストラックや発掘ライブや未発表作品なども一切付けられず、アルバムそのものの再リリースとして自信を持って送り届けられているアルバム。