Hellscore - Gimmie Chocolate!! (2024)
YouTubeのトップページに突如現れたのでついつい気になって見て聴いてみたらぶっ飛びの驚きモノだったので、そこからあれやこれやといつもの如く漁りまくって妙なところにまで辿り着くのもお決まりの事。何が凄かったって、Babymetalの「Gimmie Chocolate!!」のカバーを外国の方がやる、すなわち日本語をどんだけ歌えるのか、との興味がまずあるのだが、その点に置いては先んじてLA出身の若手ストリーミングシンガーのTara Louiseがジャズボーカル風味としてカバーしているので、発音の怪しさはともかく日本語らしからぬ音節での歌唱は出来るものなんだとの認識程度はあった。ところが今回のHellscoreによる「Gimmie Chocolate!!」のカバーはもっともっと更に超越した歌唱力、と言うか、アカペラグループによるカバーなので歌詞も発音もそりゃもうはっきりくっきり正確に歌われていて驚くばかりで、しかもこのグループの母体はイスラエルというから更に驚くお話。まずは聴いてみてください。
そして歌唱力も当然ながらアレンジ力も素晴らしく、ドラムの音はあるものの他はすべてアカペラで見事に「Gimmie Chocolate!!」を仕上げているからその才能に感嘆するばかり。その才能の持ち主は誰かと言えばNoa Grumanなる女性シンガーで、彼女はScardustというバンドのリードボーカルと楽曲を担っている才能溢れる女史の模様だが、王立学院の音楽学校を出ている才女で、バンドも当然ながら彼女自身も相当のボーカルテクニシャンで歌唱力とマルチな歌唱方法では天下一品の才能も持ち合わせているので、その辺はまた次回…。そんなノーア嬢の才能の一部がこのHellscoreプロジェクトに活かされていて、そもそもヨーロッパのメタルバンドってシンフォニックになればなるほどクワイヤを多様する傾向が多くなっているが、そのメタル専門のコーラスチームを音楽大学の学生を使って組織的に立ち上げたひとつのプロジェクトがHellscoreの母体の模様。故に多数のメタルバンドが起用している実績も多々ありながらノーア嬢自身も過去経緯から参加している作品も多いので、この辺りのヨーロッパのメタル界の狭さと言うか人脈の濃さはある意味強いのかもしれない。それがきちんとビジネスとして成り立っていけば良いのだが、今の所は順調に、と言うかそれなりに話題を振りまくレベルでシーンに名前を刻み続けている感じ。
このHellscoreなるメタルコーラスプロジェクトもすでに6曲くらいシングルがリリースされていて、メタリカやらエヴァネッセンスなど多岐に渡るアカペラコーラスによるバージョンがどれもこれも見事でいちいち聴き漁りたくなる次元にあるから面白い。所詮コーラスグループでしかないのに、どうしてメタル愛を、メタルらしさを感じられるのか、その秘密はどこにあるのか、歌っている人間や仕掛けている人間がメタラーだから、というだけではなく完全にメタルの次元にいる人間たちだから出来ているような雰囲気もある。そこにBabymetalの「Gimmie Chocolate!!」だから更に驚くばかりで、これをどう聞けば良いのか、元々がメタルじゃないのにメタラーがやるとメタルの歌に聞こえる、しかもアカペラなのに、というギミック。何とも頼もしい世界が広がり始めた事かとまだまだ様々な驚きが満ち溢れている世界を存分に楽しもう。