2022年上半期ベストアルバムTop16
こんにちは、Kunです。
期末テストとかで忙しくて8月になっちゃいましたが、上半期ベストアルバムやっていきます。
今年は新譜だと多分300枚近く聴いたと思います。その中から16枚選びました。それぞれコメントとリンクを付けたので気になったら聴いてみて!
それでは早速どうぞ!
16位 花澤香菜 『blossum』
このアルバムはThe Weeknd『Dawn FM』より優れています。
15位 Nam Thế Giới 『Giữa những bất an và mưu cầu hạnh phúc』
ベトナムハノイの4人組シューゲイザーバンドのデビューアルバム。
ベトナムはRắn Cạp Đuôiというコレクティブを中心としてMona Evie(ギターがNam Thế Giớiのメンバー)などインターネット発のエクスペリメンタル・ミュージックの流れが出来ていて、その中にこのバンドはいます。
エクスペリメンタルなコミュニティに居るもののやってるのはどこまでも青いシューゲイザー、友達同士でバンドを組んでギターをかき鳴らすそういう青春がこのアルバムに詰まってます。
聴いてると初期きのこ帝国やYkiki Beatなどが思い浮かびます。実際ミツメなど日本のインディーロックにも影響受けてるみたいです。
Longinus Recordingsなどシューゲイザーの在り方が変わっていく一方でここまで青いシューゲイズを真っ直ぐ届けている。今年のベストシューゲイズの一つです。
14位 Loris S. Sarid 『Seabed-Sunbath』
ローマ出身ストックホルム拠点のアーティスト。
今年は2月にInnis Chonnelとのコラボアルバムもリリースしていて、海岸の木工工房にあったものを叩いてその音を録音して作られたアンビエント作品。これもかなり良いです。
そして今年2作目の『Seabed-Sunbath』、カリンバやシンセサイザーボイス、ストリングスを用いてまるで水の泡のような清涼感のある有機的な電子音を作り出しています。聴いててとっても心地よい。
サウナから出て水風呂入って外気浴してる時のあの感じが味わえます。
13位 Deliluh 『Fault Lines』
近年Crack CloudやN0V3Lを送り出し盛り上がりを見せるレーベル〈Tin Angel〉のカナダポストパンクバンドの3枚目。
凍てつくようなアンビエンスを纏ったミニマルなポストパンク。
インダストリアルに影響の受けた鋭いポストパンクから、ストリングスやサックス、シンセサイザーを用いた美しいアンビエントまで、ラストトラック"Mirror Of Hope"まで聴いたらカナダの美しく不穏な雪山に独り佇んでる錯覚に陥るでしょう。
12位 くぐり 『形-EP』
吉祥寺を拠点に活動する4人組インディーロックバンド。
音楽を聴いていたり、ライブを観てる時に音が具現化しているように感じることがある。君島大空だったら空間一杯広がる泡だったり、betcover!!だったらステージの上をのたうち回る化け物だったり。
くぐりのこのEPは聴いてる内に色んな形が思い浮かぶ。泡だったり、化け物だったりと様々に変化するこのサイケデリックなサウンドは無数の可能性を秘めている、このバンドは邦楽インディーの未来。
11位 Kabanagu 『ほぼゆめ』
電子音やノイズの向こう側にRAD WIMPSやカゲロウプロジェクトを聴いてる昔の自分が見えた。
10位 kelz 『5am and I Can't Sleep』
カリフォルニア拠点のアーティストのデビューアルバム。
夜遅くまで眠れない時のあの複雑な感情をうまく落とし込んだノスタルジーなベッドルームポップ。まさにベッドルームで聴いて欲しい。
あと去年の揺らぎのアルバムにも似てますね。轟音を伴わないシューゲイザーとしても良いです。
9位 TEMPLIME & 星宮とと 『skycave - EP』
バーチャルクリエイター星宮ととそしてDJ tempuraとトラックメイカーKABOSNIKKIの音楽ユニットTEMPLIMEのEP。
昨年のアルバム『TIMESURF』ではボイスドラマを織り交ぜ、とある高校のひと夏を舞台にした、女の子二人の音楽活動をめぐる青春SF劇を描いた。思春期特有のもどかしい感情、うまくいかない人間関係、音声情報のみだからこそ想像を掻き立てられ感情移入してしまう。ラストトラックの”タイムサーフ”では涙を流さずにいられなかった。
そして今作『sky cave』。最初のタイトルトラックを再生した瞬間に青空が広がり、ジリジリと日差しが照り付け、そして爽やかな風が吹いてくる。タイトルトラックのフューチャーファンクの爽やかなダンスミュージックから、ハスキーな声で歌うオルタナロック”tired”など様々なジャンルから夏を描いている。
2曲目の2ステップサウンドの”yawnkat”が特にお気に入り。「寝っ転がって/雲の形見て笑って/音に囲まれて/あくびして/それしかできないや/意味なんてないけど」という夏休みの何もしないでダラダラしているそういう時間の素晴らしさが良く表現できていてかなり好き。
今作は昨年と同じく夏を描いているが、全体的にゆるいムードで進行している印象を受ける。昨年は高校生の夏を描いていたのに対して、言うならば大学生の夏休みを描いている感じがする。焦燥感が薄れて、膨大な時間を楽しく消費していくような。
『sky cave』は『TIMESURF』の続きなのかもしれない。表題曲の歌詞に登場する「君」は『TIMESURF』の藤原ハルカだと思う。「言いたいことはあったのに」や「どうして無関心なふりしちゃうんだ」などリンクするような歌詞がたびたび出てくる。
このEPは楽しく怠惰な夏休みを過ごしている中で、ふと高校時代を思い出して懐かしむ、遠回りなノスタルジーを描いている。現在大学生の私にそういう部分が刺さったのかもしれない。
とりあえず今年の夏はこのEPを聴いてダラダラ過ごそうと思う。
あと最後の曲"cold tears"世界一良い曲です。
8位 Wilma Vritra 『Grotto』
ロンドンのアーティストWilma ArcherとOdd FutureのメンバーのPyramid Vritraのユニットの2枚目。
タイトルそして、ジャケットのように洞窟にゆっくり進んで行くような内容。光から暗闇へそして最後は明るい出口が見えるような構成。
トラックは石橋英子の『The Dream My Bones Dream』の汽車がゆっくり動く反復ような感じやヒップホップから距離を置いたようなストリングス主体のものまで聴いてて落ち着く感じ。そこにボソボソとしつつタイトなVritraのフロウがちょうど良くハマってて聴きやすかったですね。
今年の気づきとして私はあんまりヒップホップ好きじゃないなということがあります。ケンドリック・ラマーの新譜聴いてあんまりハマれずそう思いました。
このアルバムはヒップホップというジャンルからちょっと離れたヒップホップって感じで私にはしっくり来ました。ジャケがめちゃ良かったのでLPも買っちゃった。
7位 Sontag Shogun & Lau Nau 『Valo Siroutuu』
今年最も美しいアルバムの一つ。
ニューヨークのポストクラシカルバンドとフィンランドのSSWのコラボアルバム。
ポストクラシカル、ポストロック、アンビエント、エレクトロニカ、フィールドレコーディングによって作られる壮大で美しいサウンドは再生した瞬間にどこか北欧の国に連れてってくれる。
子供達の笑い声、鳥のさえずり、波の音そして美しいLau Nauの歌声があたかも自分が北欧の国で生まれ育ったような存在しない思い出を想起させるほど。ぜひ聴いてほしい。
6位 deathcrash 『Return』
サウスロンドンの4人組ロックバンド。
再生して色んな景色が思い浮かぶ音楽があると思うけど、これはただ暗い中ギター2本とベース とドラムを演奏する4人の男だけが思い浮かぶ。
ただゆっくりゆっくりと演奏していくだけなのだが徐々にエネルギーが溜まっていきどこかで爆発する。その時に涙が止まらなくなる。
スロウコア、エモ、ポストロックの陰鬱とした良さが詰まった傑作。深夜独りで歩いてる時に聴いてみてほしい。
5位 松永拓馬 『ちがうどこか』
これはスティーブ・ライヒが残した言葉でミニマル音楽における原理を説明したもの。後のアンビエントにも通ずる。
松永拓馬のこのアルバムはアンビエントと日本語ヒップホップが溶け合った大変な名盤だと思う。
イーノの『Music for Airports』のようにアンビエントというジャンルはゆっくりとプロセスを構築し永遠に続いていく、どこか我々とは別の時間軸で行われているような感じがする。
このアルバムの1曲目"Von Pegar"は「俺いつもひとり/俺いつも非同期/俺いつも通り/時を刻む動機」と始まる、生きているけどあまり世界のスピードとあっていないようなそんな孤独感を表現している。
そして"青い山"など自然に関するものや、日常を細かく見つめたリリックが多い。それはフォーカスする事象を限界まで細かくすることで無限にリリックのスピードを落とそうとしてるのでは無いかと感じる。それはいつか来る終わりに対しての恐怖からなのかはわからない。
社会との距離感を日常を無限に細かくフォーカスして描く。このアルバムは日本語ヒップホップがアンビエントに対して、サウンドだけでは無くリリックも通して接近した名盤だと思います。
4位 TONE 『So I Can See You』
Mica LeviやCoby Seyなどが所属するコレクティブCURLの一員であるTONEのデビューアルバム。
サウスロンドンではポストパンクが盛り上がる裏でCoby SeyやKwake Bassを中心としてジャズ、R&Bの流れが生まれてきています。このアルバムや昨年のTirzahのアルバムであったりどこか曖昧な雰囲気のサウンド。
このロンドンの曇り空のような曖昧で不穏感じはDean Bluntの2015年のアルバム『BLACK METAL』やKing Kruleに通じるものがあります。ドリーミーで曇り空のずっと先に光が漏れているような風景が思い浮かぶこのサウンドはある種シューゲイザーと言っても良いと思います。
Dean Blunt以降のUKの新しい不穏なシューゲイズを纏ったR&B、ヒップホップの傑作。
とにかくCoby Seyとかあの周りはセンスが良いですね。Coby Seyも今年ソロアルバムをようやく出すみたいなので楽しみです。
3位 Jeremiah Chiu & Marta Sofia Honer 『Recordings from the Åland Islands』
今年良作を連発する〈International Anthem〉からリリースのアンビエント・ジャズ〜ポストクラシカル。
LAのシンセ奏者Jeremiah Chiuと同じくLAのバイオリニストMarta Sofia Honerの共作。
2017年にスウェーデンとフィンランドの間に浮かぶオーランド諸島に2人で旅に出た際に録音された作品。
オーランド諸島を旅する中で録音されたフィールドレコーディングとChiuのモジュラーシンセ、Honerのバイオリンの重なりがなんとも美しい。
夏は太陽が沈まず、冬はほとんど登らないという普段生きている世界とは時間軸が違うような、オーランド諸島の風景を落とし込んだゆったりした美しく壮大なアンビエント作品です。
あとこの作品作るの凄い楽しかったんだろうなっていうのが演奏やフィルレコを通してなんとなく伝わってくる、そういうところが好き。
2位 Luna Li 『Duality』
88risingとサインした韓国系カナダ人アーティストのデビューアルバム。
これみんな聴いてる??もっとめちゃくちゃに話題になっていいと思います。MitskiやJapanese Breakfastに続いていくインディーポップの新星。
ドリーミーで、グルーヴィで、サイケデリックな最高インディーポップ!浮遊感溢れるサウンドに思わず体が揺れてしまいます。
しかもこの人バイオリンが弾けるのでインディーポップにオーケストラ的壮大さを加えた全く新しいオリジナリティ溢れるサウンドを展開しています。
特にbeabadoobee参加曲の"Silver Into Rain"が凄まじくて、徐々に熱量を上げていって、後半のbeabadoobeeの歌唱パートではもう女神が舞い降りたかのような美しさがあります。こういうダイナミックな楽曲も作れるのがLuna Liの魅力です。
とにかく嫌いな人いないと思うので本当に色んな人に聴いてほしいアルバム。
絶対来日して!!
いよいよ1位です!
1位 ゆうらん船 『MY REVOLUTION』
ゆうらん船前作の1stアルバム『MY GENERATION』のキャッチコピー「素朴と前衛は矛盾しない」がなんとなく自分の中に残っていて、1stのイメージを上手く言い表してるコピーだと思った。だけれどもアルバムの内容的にはフォークやカントリーそして実験的要素が同居してるというよりかは二つが独立して存在してるような印象受けた。
そして今作『MY REVOLUTION』は素朴と前衛が矛盾しないどころか溶け合ってオリジナリティ溢れる全く新しいゆうらん船というバンドのサウンドを確立している。
このアルバムに影響を与えたり、リファレンスとしたアーティストはトーキングヘッズ、アーケード・ファイア、LCDサウンドシステム、ヴェルヴェッツそしてサニー・デイ・リアル・エステイト、デス・キャブ・フォー・キューティー、安室奈美恵、宇多田ヒカルまで多岐にわたる。
多くのジャンルを纏め上げ最終的にエモーショナルな「踊れる」サウンドにたどり着いた。聴いていると試行錯誤が繰り返されたような練度の高さを感じることができる。
印象に残ったのは10曲目の"少しの風"これはメンバーがそれぞれ楽器を持ち替えて録音されたらしい、ちょっとズレたようなグルーヴそして緊張感が漂っている。トーキングヘッズの"This Must Be the Place"も同じようなことやってた気がする。
似た雰囲気を感じたのはサウスロンドンのcarolineやBC,NR。多分狙ってないと思うけど海外の最先端のシーンとも共鳴してる。共鳴してるというか先行ってる。
エモーショナルなムードのダンサブルなグッドミュージックと、世界と共鳴する最先端のサウンド。邦楽インディーというか世界のインディーの大傑作だと思います。
今年はとにかくゆっくりした音楽ばっか聴いてました。ゆっくりしてる方が細部の作り込みが分かりやすくて没入できる感じがします。
あとレコード屋さん(特にBIG LOVE)とかレーベルを追ったりして新譜を探すようになったので細かい地域ごとの音楽の動きに注目できるようになったのが上半期の個人的な成果ですね。
下半期も早速Wu-Luとかblack midiとか Perfumeとかめちゃくちゃ良いの出てますし、betcover!!とか岡田拓郎のリリースも控えてて凄い楽しみですね。個人的にSkullcrusherのアルバムかなり期待してます。
暑くてF**kですが、音楽聴いて乗り切って行きましょう。
新しい音楽知るきっかけになったら幸いです。ここまで読んでくださりありがとうございました!また年末
1位 MY REVOLUTION/ゆうらん船
2位 Duality/Luna Li
3位 Recordings from the Åland Islands/Jeremiah Chiu & Marta Sofia Honer
4位 So I Can See You/TONE
5位 ちがうなにか/松永拓馬
6位 Return/deathcrash
7位 Valo Siroutuu/Sontag Shogun & Lau Nau
8位 Grotto/Wilma Vritra
9位 skycave - EP/TEMPLIME & 星宮とと
10位 5am and I Can't Sleep/kelz
11位 ほぼゆめ/Kabanagu
12位 形 - EP/くぐり
13位 Fault Lines/Deliluh
14位 Seabed-Sunbath/Loris S. Sarid
15位 Giữa những bất an và mưu cầu hạnh phúc/Nam Thế Giới
16位 blossom/花澤香菜
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