瞬間的テロリスト

「お会計は3番レジでお願いします」

あの時どうしてあんな選択を選んだのだろう。

レジで会計をしていたとき、コーヒーフィルターを交換しているとき、不意に振り出した雨の、最初の一滴を受けたとき。日常のふとした瞬間に心を蝕むテロリスト、人はそれを後悔と呼んでいる。

「なぜ」「どうして」「もしも」

尋ねてみても答えないんて得られる筈もないのに、考えることを止めることが出来ない。今更藻掻いても結果なんて変わる筈もないのに、改善点を踏まえた反省を止めることが出来ない。それはひたすらプリントの角を揃えるような、些細な時間稼ぎ。それを自覚していても尚、無意味でいて不毛な挙動を止める術を私は知らない。

時に、あの日の自分が正規のルートを外れ、”もしも”の先に築く幸せな世界を空想する。記憶に刻まれた正確な未来を振り切った選択はその全てが理想であって「どうか、この世界線の自分は幸せに」と他人事様に願っている。所詮は頭の中でしか存在し得ない未来に手を合わせている。

しかし重ねる後悔に想いは報われず、現在は変わらない。

その無慈悲なまでの圧倒的さを持って、はっと目が覚める、これが一連の流れでありルーティンのようなものだった。確定した選択にコマンドZは通用しない、何度目かすら忘れた結論を胸に、時間は止めていた針を少し動かした。

「あ、袋いらないです。」

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