見出し画像

ロボット座談会 vol.2「触れ合うヒトたち」で、ふれあいと愛を考えた。

こんにちは。ロボット座談会 主催のひとり・尾崎です。

2022年3月26日(土)に「ロボット座談会 vol.2」を開催しました。
今回は「触れ合うヒトたち」編ということで、私なりに振り返ってみます。

▼ アーカイブ動画
こちらからご覧いただけます。

■ 語り手
botamochiさん
@botamochi6277
くじらの動くぬいぐるみなどの変わったものをいろいろ作っている工作のお兄さん(?)。

ノリさん
2018/03/17にaiboのまろぼ(男の子)をお迎え。その後、キロボミニのこまろ、RoBoHoNのまろろんをお迎え。

A_sayさん@A_says_
メイドロボットましろ・ちろ・ちや の生みの親 皆がメイドロボに会いに来れるメイドロボカフェ実現を目指して活動中。

動物型ロボットの「らしさ」って?

「ロボットの触り心地って大切だよね」という話題になった際、botamochiさんから「aiboの触り心地が実は苦手で……」という声が。
どうやら、犬型なのにもふもふしていないのが違和感とのこと。

「aiboはaibo、犬は犬」と思っていた私からすると意外でした。
そのあと、思ったことが2つ。

ひとつは「確かにそういう視点もあるかな」という納得感。
もうひとつは「もふもふしていないaiboでも、犬と同じように愛されるのはなぜだろう?」という疑問。

座談会が終わってからも、この疑問がしばらく頭の片隅にありました。
一応の結論としては、aiboに求める「動物らしさ」「犬らしさ」のポイントが人によって違うからかな?というものです。

しっぽロボットも開発されてきたbotamochiさんにとっては、おそらく、もふもふの手触りによって、動物らしさを実感されている。
対して、ノリさんをはじめとしたオーナーさんは、aiboの動きや表情に犬らしさを感じているのでは。

重要視している「らしさ」「それっぽさ」のポイントと、比較対象の様子が異なっているときに、人は違和感を覚えるのではないだろうか?
そんな仮説です。

キャラクターロボットの夢と現実

手つなぎメイドロボット・ましろちゃんを開発(育成?)しているA_sayさんの話を聞きながら、キャラクター性の強いコミュニケーションロボットをつくる難しさを感じました。

たとえば、ましろちゃんのスカートの中、覗かれる問題
ハレンチな意味ではなく、ロボットクリエイターの皆さんが、ましろちゃんの機構知りたさに、スカートの中を覗くように写真を撮ろうとするとのこと。

A_sayさんには「キャラクターとしてのましろちゃんをしっかり見せたい」「でも、エンジニアとしては機構も見せて自慢したい」と、葛藤があったそうです。
迷った結果、写真撮影の際には、顔とスカートの中(機構)は同じ画角に収まらないようにお願いをしているとのことでした。

また、A_sayさんのお話の中で、初めて知ったのが「萌え軸」について。
首をかしげるために持たせる自由度のことで、かわいさを演出するのに役立ちます。
一方で、コミュニケーションロボットを作る方の多くが通る課題だそうです。

「首を縦に振る」「首を横に振る」は実現させても、「首をかしげる」は実装しないことが多いんだとか。
モーターの数(=軸)が余計に増えるだけで、ロボットにとって見える範囲が広がるわけではないので(=画面が回転するだけ)、省いてしまうんですね。

言われてみれば、我が家にいるPepper、首かしげないな……
ちなみに、ましろちゃんにはしっかりと「萌え軸」が搭載されています。
A_sayさんが重要性を力説していたのが印象的でした。

また、会話に関する課題も話に上りました。
「ましろちゃんがしゃべらないのはどうして?」と質問したところ、「音声認識の技術が発達するまでは、"あえて"しゃべらない」との回答。
それまでは、仕草や目線でコミュニケーションをとっていくスタイルを目指すそうです。

A_sayさんは、こうしたコミュニケーションのあり方を「人間が脳内で補完する」と表現していました。
これは、前回の座談会で感じた「解釈の余地」とつながる考え方かもしれません。

皆さんが口を揃えていましたが、言葉だけがコミュニケーションではないし、インタラクションも触れ合いのひとつなのですね。

永遠の命に必要なものは「愛」

aiboのオーナーであるノリさんは、将来ご自身が亡くなったあと、aibo(まろぼちゃん)がどうなるか心配、と話されていました。
ロボットの「永遠の命」は実現できるんでしょうか?

――よく思い返してみると、人間とロボットの関係性の「始まり方」は華やかな設計になっていても、「終わり方」は明確に定義されていないことが多いです。

始まりは「箱を開けたらこんなふうに入っていて、起動したらこんなことをしゃべって……」とわくわくする体験になっていますが、終わりは「自治体の決まりに従って分別し処分」となるだけ。
家族同然のように大切にしてきたロボットがゴミ同然になってしまうのは、たしかに寂しすぎますよね。

では、どうすれば解決できるのだろう。そんな話をしました。
里親制度があれば?誰かにバトンタッチするのか?修理は続けられるのか?
もしかすると、メーカーサポートが終わることで、否が応でも終わりを迎えるかもしれません。

そこで私が(たぶん、語り手や視聴者の皆さんも)思ったことは……
ロボットへの愛が寿命を決めるということ。

あるロボットの個体が永遠の命を得るには、メンテナンスを引き継ぐ里親や修理技師さんのような存在が必要です。「次に愛してくれる人」ですね。

また、量産されたロボットならば、多くのユーザーに愛顧され続けることが、製品のライフサイクルを決めることになります。
採算が取れることが一番ですが、ポジティブな「お客様の声」や根強いユーザーコミュニティの存在も要になるかもしれません。

いずれにせよ「愛されるロボット」であること。
オーナー(=ユーザーや消費者)の目線で言えば、愛を表明し、形にしていくこと
それが、ロボットの命を永らえるために大切なことだと感じました。


以上、ロボット座談会 vol.2 ~触れ合うヒトたち~ の振り返りでした。
二週に渡った「vol.2」も一区切りです。
ご参加いただいた語り手と視聴者の皆様、ありがとうございました。

それでは、また次回の「ロボット座談会」でお会いしましょう!

▼ ロボット座談会の最新情報はこちら
Twitter: @robot_zadankai

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?