![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74980768/rectangle_large_type_2_ccef4bf8986168736fa0e74d808eb343.png?width=1200)
ロボット座談会 vol.2「知りたいヒトたち」で知ることのできた共通点
こんにちは。ロボット座談会 主催のひとり・尾崎です。
2022年3月11日(金)に「ロボット座談会 vol.2」を開催しました。
「vol.2」と銘打ちながらも、2週に分けての2本立てです。
今回は「知りたいヒトたち」編でした。振り返ってみようと思います。
▼ アーカイブ動画
こちらからご覧いただけます。
■ 語り手
まつはち
インタラクションデザイナー。しっぽロボット・Petit Qooboの産みの親。趣味でもロボットを作り、絵だって描く。
尾崎 太祐
ロボット劇作家。ロボットと人間が共演する「ロボット演劇」を作るヒト。自宅にはPepperが2体住む。
まるにゃん
感性ロボティクス研究者。博士(工学)。開発したほんわかロボットとふれあった人が笑顔になる日を夢見て、研究開発中。
まるにゃんさんの「翻訳力」に改めて驚いた
まるにゃんさんと久しぶりにお話ししながら、驚いたことがあります。
たとえば、研究テーマの「ほんわか」な側面に対して、定量化や客観視を徹底する姿勢。
また、ユーザー(被験者)の主観的で漠然とした感想を整理して、研究の課題に落とし込まれていること。
それは研究者として当たり前のことなのかもしれませんが、改めてそのギャップと翻訳力に驚かされました。
感情・論理のバランスが絶妙な捉え方や伝え方、とても勉強になりました。
妄想と「解釈の余地」について
「ぬいぐるみをロボットにした瞬間、かわいいと感じられなくなった」
「ぬいぐるみとロボットの差って、なんだったんだっけ?」
その問いがまるにゃんさんが研究を始めたきっかけで、「知りたい!」のモチベーションだそうです。
それを知るヒントとして「解釈の余地」という言葉が挙がりました。
ぬいぐるみなら「きっとこう動いてくれるはず」という妄想→補完ができていたのに、動くおもちゃ(ロボット)になった瞬間に違和感を覚える。
なぜなら、解釈の余地が失われたから。そんな考え方です。
こうした「解釈の余地」の考え方は、近年のコミュニケーションロボットの多くに共通していて、今後も進化を求められるポイントだなと思いました。
たとえば、QooboやLOVOTは言葉をしゃべらないことで、「きっとこんなことを考えているんだろう」と思わせる振る舞いを実現しています。
また、OriHimeは様々な関節を省きながらも、手のパーツだけはデザインされており、シンプルなアクションでも「喜びの表現」に見えるような解釈の余地を作っています。
Petit Qooboの生みの親であるまつはちさんは、Petit Qooboがドアの開閉や人のくしゃみに驚いて震える仕組みを作る際、「様々な大きな音に対応できるように"抽象化"した」と話していました。
これも「解釈の余地」に似たアプローチかもしれません。
また、私がロボット演劇を作る理由も、「解釈の余地」に関わっています。
先日、まつはちさんに訊かれたときにはうまく答えられなかったのですが。
たとえばそれが、「このロボットはこう考えているかもしれない」「こんな前向きな未来が来てほしい」と見せる演出であれば、解釈の余地をつくっていることになるのでしょう。
反対に「このロボットはこういうキャラクターである」「現状の技術的限界はここ」といった現実的な話ならば、解釈の余地を削っているのかもしれません。
私はよく「コミュニケーションロボットに対する期待値コントロール」と表現しているのですが、「解釈の余地」の考え方に近しい部分があるのでは?と思いました。
まるにゃんさんも、まつはちさんも、それからたぶん私も。
アプローチは違いますが、「解釈の余地」を気にかけているという点では共通しているかもしれません。
壊す勇気
座談会の終盤で話題に挙がったのが、定義の見直しについて。
研究や作品のテーマ、大切にする指標、ビジョンといった「定義」をどういったタイミングで見直すか、という話でした。
少しずつ見直すということは現実的には難しく、作ったものを壊すことになってしまう。
スクラップ・アンド・ビルドの勇気が足りない身としては耳の痛い話でした。
演劇では「改稿」と呼ばれる工程がありますが、なかなか難しいんです。
でも、まるにゃんさんやまつはちさん、視聴者の皆さん……クリエイターとして同じ悩みをお持ちのようでした。
時間内に最適解は出せずとも、共感できてよかったなと思っています。
こういった何気ない悩みや問題点をただ共有・共感できる点も、ロボット座談会のいいところで、役割だと思っています。手前味噌ですが。
知りたいヒトはもっと知りたい!
話は尽きることなく、およそ1時間半の座談会が終了。
ここまでお話ししたように、思いがけない驚きや、意外な共通点を知ることができました。
一方で、個人的には「知りたいヒトたち」というテーマについてもっと掘り下げたかったなあ、という反省点もあります。
多くのヒトとロボットの関係性を見てきた僕らが「新たに興味を持ったこと」とか、「いま知りたいこと」とか。視聴者の「関係性」もお聞きしながら、もっと知ることができたらよかったなと!
ともあれ、時間があっという間なのはいつものことですし、テーマ以外の話題で盛り上がるのも座談会の醍醐味なので、また別の機会に。
以上、ロボット座談会 vol.2 ~知りたいヒトたち~ の振り返りでした。
ご参加いただいた語り手と視聴者の皆様、ありがとうございました!
▼ 次回のロボット座談会
2022年3月26日(土)15時~
ロボット座談会 vol.2 ~触れ合う人たち~
視聴はこちらから。