サムシング/なんやねん
「何かいいことないかな」
問いかけているのか。完全な独り言なのか判断がつきかねる。それに対する僕の答えは、無言だ。反応すれば戦いになる。不毛な論争の中に亀裂と矛盾が広がった末に、互いが敗者となる虚しい戦いだ。時間が経たないなとおじいさんは時間に文句を言った。
「何かいいことないかな」
そしてまた同じところへ戻ってきた。
何か……。サムシング……。
それは現状に突きつけられた問題だ。
(お前何かつまらないなと言っているのだ)
ため息をつき、誤って起動したSiriに挨拶をして、時間が経たないと文句を言った。
「何かいいことないかな」
答えるな。答えはない。
僕だって心の奥では、まあまあ同じことを思っている。うそつきだから、言葉にして表には出さないでいるけれど。
はー……。
「何かいいことないかな」
おじいさんは歌っている。
きっとそういう歌があるのだろう。
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何かいいことないかなってなんやねん何も不満はない言うくせに