【創作note】フォト・プラス1
言葉一つでは頼りなく
言葉に言葉を重ねてみる
重ねたところで
言葉は言葉
どこまで行っても頼りない
もしもフォトがあったなら……
言葉は大きく膨らむかも
綺麗に映えてくれるかも
言葉一つの頼りなさを
言葉によって埋めるより
フォトを探して歩く方が
まだ希望は多いように思えた
一つのフォトが
足りないもののすべてをくれる
フォトはどこでとれるのか?
駐車場の猫はみんな動き回って
誰も耳を貸さない
ここにはないここにもない
コンビニのおにぎりコーナー
歯医者さんの待合室
公園の滑り台
こんなところにはない
こんなところにあるはずはない
区役所は専門外だという
交番をたずねてみれば
「そういう道は自分で探さなきゃ」
はあ?
知らないなら知らないでいいんだよ
やっぱり言葉一つなのかな
どこまでも頼りなく行くしかないのか
「みんなのフォトがあるよ!」
村人が自ら近づいて教えてくれた
広場に行くとあふれんばかりに
フォトがあった
あるじゃないか!
どこにもないとあきらめかけていた
フォトが選びきれないほどにある
素晴らしいフォトが
頼りない僕の言葉を補って
まだ見たことのない大きな世界へ
押し上げてくれるだろう
フォトと僕とが手を合わせればきっと……
一つのフォトを選んで言葉の上に置いてみた
瞬間 僕の言葉はかすみ
フォトの眩い輝きに呑み込まれていく
「ああ、削らなきゃ」
無駄な言葉の多くを僕は削った
削って削って削って
残ったのはもう一行だけ
フォトの映えを持ち上げるための
一行だけだった