タッチパネル(宇宙回転寿司)
「言うほど大きくないね」
「いや、見た目の大きさじゃない」
「えっ? じゃあ……」
「よく味わって食べなきゃね」
「うん。何か今まで食べたのと違う」
「そりゃそうさ。スケールが違う」
「へー」
「今、ここにたどり着いたのは300年前に職人が握った寿司だ」
「えーっ! 大丈夫なの」
「ここの回転寿司は1つの銀河になっている」
「わーっ、何か吸い込まれそう」
「大丈夫。僕たちも宇宙の一部だよ」
「わかったよ。ネタじゃなくて時の大きさだったんだ」
「そうだ。時をよく味わって食べなさい」
「ああ。消えていくのが惜しいくらい」
「そうか。旨いか」
「だけど新鮮な感じ。今握ったみたいだ」
「旨いものは時を超えて旨いということさ」
「ああ。美味しかった!」
「もっと頼むか?」
「うん、でも……」
「そう。すぐには届かない」
「やっぱりそうだよね」
「だけど、注文は通しておこう」
「どうして、パパ?」
「バトンタッチさ」
「何のリレーなの?」
「未来の僕たちのために」
「次の人が食べるんだね」
「さあ、好きなものを」
「よし、これだ!」
「ナイスチョイス!」
「あれ? 反応しないよ」
「どれどれ。うん?」
「変だな」
「仕方ない。店員呼び出しだ」
「どこ?」
「一番左」
「これだね。押した」
「よし」
「来るかな?」
「その内に来るさ」
「どこからくるのかな……」
「あれじゃないかな」
「何?」
「ほら、あそこ光ってる」
「あーっ! 何か近づいてくる」
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1月の光回転寿司を追い君は未来へ消えていったの
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