素通りバス
「もう行ってしまったよ」
老人は言った。
「どうして……。ずっといたのに」
「いたのかね」
「かくれんぼをしながらずっといたよ!」
君はベンチの下の君にしか見えない友達と一緒になってかくれんぼに夢中だった。
「それはいたことにはならないな」
「ぼくらはずっといたんだ!」
「君は自分が思うよりもちっぽけな存在なんだ。誰もが君をみつけてはくれないんだよ」
バスは鬼ではないと老人は言った。
もう行ってしまったんだね。
時刻表を見るとそこは一面真っ白だった。
「ここはもう廃線になってしまったのさ」
「おじいさんは何してるの?」
「君と同じさ」
「それじゃあおじいさんも乗り遅れたの?」
「ふふふ……。あっという間さ」
・
永遠の
オンリーワンを
待ちわびて
いま燃え尽きた
青の惑星
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?