【創作note】pomera心中
板を開くとpomeraが顔を現す。
「さあ、好きなところまで行け」
僕は無計画にpomeraを走らせる。
旅の大きさはどこで決まるのか。
論点や主張、出来事の数?
どうだろうか。指先に見えるのは記憶の断片と曖昧なモチーフだけ。プロットも終点も定まっていない方が、旅は気楽。あとから乗り込んでくる奴の発想の方が面白いこともあるから、あえて決め切らずに行こう。
「面白いのはあなただけ。そんな無謀な旅にいつまでも他人がつき合ってくれると思うの? みんなはもっと小さくて可愛いものが好きなの。ほら、これを、この器に合わせることが共感を集めるのよ」
575の器を置いて先生が言いました。
「無理だよ先生。足りないんだ。僕には技量がない」
「だったら好きになさい。独りになる覚悟を持って行きなさいな」
許された瞬間、僕は怖くなったんだ。
色々あるのに、いくらでもあるはずなのに、一行も伸びなくなってしまった。
pomeraは顔を伏せて、ただの黒い板に戻ってしまった。
「納めることもあふれることもできないよ」