68年〜71年のスティービー・ワンダーが最高に良い(その2)
前回より68年〜71年のスティービー・ワンダーのアルバムを取り上げていますが、今回はその続編です。
この時期のスティービーは、古き良き時代のモータウンサウンドと、スティービーのオリジナリティとが程よくバランスした非常に質の高い作品であると前回の記事に書かせていただきました。
第2回目は、69年に発表されたアルバム『My Cherie Amour』をご紹介したいと思います。
My Cherie Amour(1969)
タイトル曲は言うまでもないですが、「Yester-Me, Yester-You, Yesterday」、「Angie Girl」という60年代のスティービーの代表的バラードが収められている本アルバム。ただ、アルバム単位で聴いたことがない方も結構いるんじゃないでしょうか。
これらの代表曲も当然外せないのですが、自分にとってのこのアルバムの魅力は、それ以外の曲で聴くことのできる「躍動感」だと思っています。
スティービーの歌の弾け具合も素晴らしいですし、この時期、スティービーに負けず劣らず神がかっていたベースのジェームズ・ジェマーソンの貢献も大きいと思われます。
全曲紹介したいくらい名曲揃いですが、まずは冒頭の「My Cherie Amour」の後に続く「Hello Young Lovers」。高揚感が堪らない1曲ですが、こういう演奏はこの時期のモータウンならでは。楽しいそうにシャウトするスティービーが目に浮かびます。間奏のハープも堪りません。
そして次の「At Last」に突入。勢いが止まりません。この曲もジェームズ・ジェマーソンのベースが素晴らしく、縦横無尽に駆け巡るベースラインだけ聴いていても十分楽しめそうな演奏です。自然と体が動き出してしまいます。
次はドアーズのカバー「Light My Fire」。この曲はソウル系のアーティスが好んでカバーした曲で、アル・グリーン、ホセ・フェリシアーノ、シャーリー・バッシーなどのカバーが有名ですが、壮大なオーケストレーションとエモーショナルに歌い上げるこのスティービーのカバーも素晴らしいです。
改めて取り上げる必要もない代表曲ですが、60年代のバラード曲の中でも特に好きな曲「Angie Girl」。何とも切ないこの曲、作曲者としてもスティービーの名がクレジットされていて、ソングライターとしての才能も既に見え隠れしています。しかし、なんて素敵なアレンジでしょう。こちらもこの時期ならではモータウンソングです。
最後にご紹介するのが個人的デトロイト・ファンクの名曲だと思っている「Pearl」。モータウンがサイケデリック・ファンクに行く前のファンクの完成形ではないかと。ここでのジェマーソンのベースラインも凄まじいですし、ホーンセクションの入りといい、フェイクするスティービーの歌といい、どこをとっても最高の1曲です。こちらも2:45とは思えない密度の濃さ。
というわけでこのアルバム『My Cherie Amour』も文句無しの名盤です。もしアルバムで聴かれていないようでしたらぜひ聴いてみてください。
この時期の名作はまだまだありますので、続きは次回とさせていただきます。
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