【映画レビュー2. Jack /ジャック(1996)】
ジャンル:コメディ/heartwarming comedy
お勧め度:★★★★★
感動:★★★★★
笑い:★★★★☆
俳優の人生やその人間性そのものを、スクリーンを通して感じる事がある。
この映画は、まさにそれだ。
“Robin McLaurin Williams(ロビン・ウィリアムズ)”
世界で最も人気なスタンダップコメディアン/俳優の一人。
内気で静かに遊ぶ少年時代を過ごした彼は、各地を飛び回る真面目なセールスマンの父親が、コメディアンのトークに心から笑った事が衝撃だった。
そんなロビン・ウィリアムズは、次第に“笑い”に目覚め、コメディ、俳優としての才能を開花させた。
残念ながら私は彼の存在を幼い頃に観た「Jumanji(1995)/ジュマンジ」の記憶に残っていただけで、存命中に彼の事を知らなかった。この映画を観て、私は彼の人生や人柄そのものに惹かれ、今では最も尊敬する人/俳優の一人である。
40歳の男、ジャック。
彼がこの物語の主人公。
…ではない。
4倍の速度で成長してしまう彼は、見た目は両親と同じくらいだが、実年齢は10歳の少年。
見た目の事でいじめられることを心配した両親が選んだのは、家庭教育。
でも、ジャックだって窓から眺めていた少年たちと一緒に学校へ行ったり遊んだりしたい。
しぶしぶ入学を認めた両親の心配をよそに、初めは皆から“化け物”と言われ馴染めなかったジャックであったが、彼の純粋で優しく明るい姿に徐々に惹かれ、親友が出来た。
「学ぶ事、挑戦する事、人に出会う事…全てを恐れない。そんな大きな男、ジャックのようになりたい。僕の親友のね。」
“大きくなったらなりたいもの”というスピーチでジャックの親友の一人、“ルイス”が語るスピーチ、そしてここで流れるこの映画の主題歌“Star/Bryan Adams”の音楽に、涙してしまう。
“見た目だけではなく、その人の心や生き方が、人の心を動かす”
10歳の少年たちは、ジャックとの出会いを通して、そんな事に気が付く。
ここで一人、ロビン・ウィリアムズに共通する、ある日本の偉人を紹介したい。
“志村けん”さん
ザ・ドリフターズの一人
志村けんさんの厳格な父親も、テレビの番組の漫才や落語を観るときだけは声を出して笑っていた。その事が、彼に“笑い”の力への憧れを抱かせ、後に日本を代表するコメディアンに導いた。
そして彼がテレビや舞台で晩年まで人気だった事は周知の事実であるが、彼の魅力は、老若男女誰しもがお腹の底から笑う事をこらえられない笑いに力だけではなかった。
“優しさ”、“心の広さ”、“温かさ”、“誠実さ”
彼は、笑いが人を幸せにすることを知っていた。
だからこそ、笑いへの追求に、決して努力を惜しまなかった。
どれだけベテラン、大物と言われようとも、彼の気持ちはいつも目の前やテレビの前の
“人の心”
に向いていた。
だからこそ、彼のコメディを観た後、きっと多くの人は心が温かくなり、勇気をもらった。
私も彼のコメディに心を救われた一人だった。
2020.3.17
新型コロナウイルスにより、私達は彼との悲しい別れを強いられた。
あるメディアは、志村けんさんを“日本のロビン・ウィリアムズ”と報じたが、私もその通りだと思った。
ロビン・ウィリアムズの魅力は、その瞳の優しい温もりが訴えている。
どのスタンダップコメディ、TVショーでも、大汗をかきながら全力で一人一人の心に笑いを届ける。決して妥協しない。
彼もまた、志村けんさんと同じく、笑いが人生を豊かに、幸せにする事を心から知っていた。
だから、彼のコメディの才能は人を幸せにすることに向けられていた。
彼は映画出演時、一定のホームレスを映画製作スタッフとして雇う事を条件としていた。
コミック・リリーフUSAでの活躍、被災地や子供の白血病や癌研究機関への寄付など、すべてを挙げる事が難しいほど、彼は人の心を笑顔にさせるために生きるエネルギーの多くを費やしていた。
撮影現場でもスタッフや共演者をいつも気にかけ、笑顔にさせていたという。
そんな彼だからこそ、多くの人の心は彼のコメディや演技に魅了され、救われたと思う。
「人の心を幸せにするコメディ」
これは、彼らに共通する生き様であった。
二人の死は、心から苦しく、切ない…
彼らの人柄そのものが、私が人生で最も尊敬する人として今も心に、ずっと心に生き続ける。
長期に渡る世界的な感染症により、多くの人が苦しみ、亡くなり、悲しんでいる。
そんな時、彼らを思い出してほしい。
彼らに会う事はできなくても、彼らが遺してくれたものは、ずっと私たちの心の中に生き続ける。
そして、こんな辛い状況だからこそ、彼らが大切にした、
「笑いは人の心を幸せにする」
という事を、思い出してほしい。
ロビン・ウィリアムズの優しい心が、10歳のジャックの瞳に生きている。
これは、ただのコメディではない。
コメディの才能だけで、果たして10歳の純真な心をこれだけ豊かに表現する事が出来るだろうか?
例えば、躓いて転んだ時、涙を必死にこらえようとするも涙が出てしまう…
そんな一瞬一瞬の表情や仕草は、まるで彼が少年であるとしか思えない。
彼の心には、いつだって少年の時の心が生きているのだ。
10歳のジャックを演じることが出来る俳優は、今でもロビン・ウィリアムズ、彼一人だと思っている。
10歳の少年や少女が大切にするのは、冨や名声ではない。
友達、家族、先生、好きな人、そして、生き物…
身の回りの物、人、誰にも純粋で優しい気持ちを向ける。
「好きな事、大切な人だから愛する」
ロビン・ウィリアムズは、そんな10歳の少年の様に、純粋な心で沢山の人を大切に人生を生きていた。
“ジャック・パウエル”
ロビン・ウィリアムズは彼そのものなのではないか…
なんて、そんな風に思ってしまう。
この映画でロビンの優しい心を感じるシーンがある。
冒頭で、俳優の心や人柄を感じる事があるとお伝えしたシーンだ。
優しい瞳で蝶々を見つめるジャックの姿がそれだ。
「パッチ・アダム トゥルー・ストーリー(1998)」でもまた、美しい蝶々を心から感動した眼差しで見つめる、彼の素顔のようなシーンがある。
瞳は心と繋がっている。
私はそう思っている。
演技には見えない彼の瞳の表情が、この映画からも伝わる。
ジャックの純粋な心、それは、実はロビン・ウィリアムズ、彼の心の豊かさ、温かさ、そして優しさそのものであると思う。
新型コロナウイルスが猛威を振るう。
環境や戦争など、悲しい問題に直面する現実は数えきれない程存在する。
そんな厳しい今だからこそ、彼の優しさ、笑いの力、そして、10歳の時の純真な心を、この映画を通して見つめ、思い出してほしい。
きっと、日々の中に小さな幸せを感じるきっかけになるはずだ。
ジャックが見つけた蝶々の美しい輝きの様に。
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