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【第15回】溜まり場からクリエイティブ集団の誕生前夜
まるまる1冊をつくるというのは、俺としても初めての試み。
仲間が結集して、編集、撮影を行った。モデル撮影、カタログページ。自分たちの理想をぶつけたのは面白かった。
デザインもアシスタントのコイミーの友人たちを集めてもらって、8畳のボロアパートに寝泊まりしながらあーでもないこーでもないと進めていった。
無事、本も出来上がり、ギャラのすったもんだはあったものの1冊を仕上げた安堵と高揚感はいまだに忘れない。
代々木に屯っていた仲間たちとの共同作業をやり終えて、俺の記憶だとここからクリエイティブな集団としてのカタチができたと思う。
グループの名前は「steam」と代々木に連れ出してくれたカメラマンのM(マッツ)が命名した。由来は、彼がベトナムかなんかの料理を食べに行ってた時に「スチームボート」というのがあり、そこから「スチーム」という名前にしようと思ったらしい。
新感覚インテリア誌「ROOM+」の誕生とミッドセンチュリーブーム
何日か過ぎたある日、そのギャルムック本を依頼してくれた編集者の、よく爪を噛むアシスタントくんから連絡が来た。
「POPEYEのインテリアムックみたいな本が作りたいんです」
その当時、雑誌POPEYEのインテリアの特集を組んだムック本がバカ売れしていた。それに倣って本を作りたいという依頼だった。
仲間にはPOPEYEに出入りした人間も多く、真似するわけもなく、その当時、一般的にはあまり知られてはいなかったが、アンテナを張っている人たちには好評だったイギリスのインテリア誌「wallpaper」を見せて、「こうゆうのやろう!」と半ば唆した感じだったが、彼に勧めたことを覚えている。
POPEYEのインテリアムックは、おしゃれな人たちのこだわりの部屋をひたすら紹介する本だった。wallpaperはインテリアを軸として、建築、ファッション、フード、トラベルなどを横断する雑誌でいわゆるインテリア・ライフスタイル誌だった。
名前は「ROOM+(ルームプラス)」と決めた。
由来は部屋(ROOM)という箱があって、そこにインテリア、ファッション、フード、本、などのスタイルをプラスしていくという意味だ。
俺の中ではとにかくwallpaperをやりたかっただけだった。
1号目は、椅子特集。椅子のカタログをひたすら掲載。合間におしゃれな部屋の写真をザッピング。
仲間たちとの2回目の合作。編集者にコタロー、ナルちゃん、桑ちゃん、エノモト、ケンタ、チャンカトにタザワ、写真はもちろんマッツ、アーリー、デザインは俺とコイミー。イラストはアチャコ。いろんな人が関わってできたインテリア誌だった。
記念すべき第1号発売まで、あと残り30ページを印刷に入稿すれば終わるというその夜に、事件が起きてしまったのだった...。
(つづく)