日本で写真作品が売れない理由
写真作品を売りたい人はたくさんいる。しかし日本ではそれほど売れない。
その理由が議論されるとき、多くの人が口にするが、個人的にちょっとちがうんじゃないかと思っていることがある。
それは、「欧米が進んでいて日本が遅れているから」というロジック。
日本には古くから精密な手工業製品があった。桐箪笥などは、上の引き出しを閉めると下がすっと出てくるくらい精密(某北欧系の家具からは考えられない精度)。現代の工業製品だってすごい。職人大国、技術大国。
そんなものたちに生まれたときからずっと囲まれている日本人は、職人の技を使わずカンタンに複製可能なもの、たいして技術を使わずに出力してはい作品ですから買ってくださいみたいにしているものを直観的に見抜き、それらに魅力を感じないのではないか。
加えて、日本には、何かの技術(art)を深く知ろうとするとき、鑑賞する側になるより、習う側になるのを好む人が多い。
たとえばバレエ。バレエが素晴らしいパフォーミングアートだという共通認識はあるが、おそらく一流と呼ばれるパフォーマンスを劇場に観に行く人より、地元の先生に習っている人のほうが多い。しかしフランスでは逆だろう。
どちらが上とか下ではない。文化のちがい。
いまこれを書いているスターバックスだって、日本に来たばかりの頃はアメリカのやり方をそのままやろうとしていた。たとえばメニューに商品の説明がまったくないのは店員と客とのコミュニケーションを発生させるためとか。でも次第に、日本文化では読むことが好まれることを理解して、近年ではずいぶん変わった。
昨日ギャラリーに来られた方との会話で、以上のようなことを思い出したので書いてみた。