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25年1月7日、アメリカ国債10年物の入札結果(実戦編)

アメリカ国債10年物の入札結果が発表されたので、結果を共有します。前回の記事の復習です。

アメリカ国債の入札情報は公開されています。

アメリカ政府が運営している TreasuryDirect に入札情報が掲載されています。

https://www.treasurydirect.gov/

アメリカ財務省の公式サイトにアクセスし、TreasuryDirect の Auctions セクションを確認すれば情報を確認できます。

2025年1月7日に実施されたアメリカ国債10年物の入札結果


9年10ヶ月となっていますが、10年物として扱われます。

アメリカ財務省は、満期が集中する負担を避けるために、1~2ヶ月ずつずらした短期国債を発行しています。

10年という期間において、1~2ヶ月の差はわずかなので、9年10ヶ月物も10年物と同じように扱われます。

国債入札結果は、最高利回りだけ見れば十分です。
今回の最高利回りは 4.68% でした。

今回発行されたアメリカ国債の総額は 475億ドル(Total)です。

そのうち、FRB(連邦準備制度理事会)が 85億ドル を再購入(SOMA)したため、市場に出た金額は 390億ドル です。

海外の中央銀行や国際機関が非競争入札で取得した金額はなく(FIMA)、非競争入札分 1億ドル(Noncompetitive)が含まれています。

そのため、競争入札に出された金額(Total Competitive)は 389億ドル でした。

競争率を計算する際は、入札された金額 389億ドル と、応募された金額 985億ドル を比較します。

売り手 389億ドル に対して買い手 985億ドル が集まり、競争率は 2.53倍 となりました。

この 2.53倍 は平均的な水準です。

直近10年を見ても、競争率 2.5倍 が平均的な数値です。

競争率が 2.4~2.6倍 の範囲に収まる場合、平均的な水準と見なせます。

今回の結果を見る限り、アメリカ国債に対する需要はそれほど低くないと言えます。

ただし、長期国債を中心とした入札競争率が 2.4倍以下 に下がるかどうかは、注意深くモニタリングしながら対応する必要があるとのことです。

今回の入札需要は平均を少し上回っている程度であり、特筆する点はありません。

次に、国債の買い手(入札主体)を見ていきましょう。

注目すべきは Indirect Bidder(間接入札者) です。

海外投資家の多くがこの Indirect Bidder として入札に参加しているためです。

今回の 388億ドル のうち、238億ドル を間接入札者が取得しており、海外需要は低い水準にあります。

アメリカ国債10年物の入札需要が低調だったと報じられる場合もありますが、書き方によってはどうにでも解釈できる面があります。

数字だけを見ていきましょう。

アメリカ国債の利回りが 4.7% に近づいているのは、需要側の問題が原因であるとは言えません。

では問題は供給量やインフレーションの見通しにあるかもしれません。

トランプ氏の大統領就任が間近に迫っています。

彼の就任初期の動きを見ながら、今後の国債供給やインフレーションの行方を見定めようとする意見が増えています。

私の場合は、目標としていた 4.7%以上の利回りはそのまま維持されるでしょうが、トランプ氏の就任後の動きを見た上で買い入れを検討することになりそうです。

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