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祖母のコロッケ
私からみると、
私の母は典型的末っ子だ。
70過ぎて
「お母さんは私にはなんにもしてくれなかった。ご飯だけ食べてたらいいってほったらかしだった。」
とかまだ平気で言う。
祖母はなんにもしてくれなかったのではない。
なんにもさせなくてもただただ可愛かったのである。
聞いててアホかと思う。
母には兄が2人いる。
祖母は兄2人の育児で
試行錯誤の末やっとわかったのだ。
子どもは何もできないでも尊い。
とにかく健康に育つようご飯をしっかり食べさせよう。
それを末っ子である母に実践したのだ。
私には息子が2人いるので、
その心境が手に取るようにわかる。
何やってもほとんどムダ(笑)
まぁ私のやり方がマズイせいもあるのだろうけど。
私が子供の頃、祖母が家にやってくる時コロッケを買ってきた。お肉屋さんのコロッケらしくとても美味しい。
私を含めるきょうだいは、祖母の長い話をかわしながら、一つまた一つ頬張った。
祖母の話は異様に長いので、コロッケは簡単になくなってしまった。
次に祖母が来るときどうなるか。
コロッケの数が増えるのである。
祖母はいつしかコロッケを20個くらい買ってくるようになった。
こうしてオヤツとして食べきれぬコロッケは、夕食のおかずの一品として父母を含む家族全員にゆきわたることになった。
祖母はなんでコロッケをあんなに持ってきたのだろう?
私は母に聞いてみた。
なんとコロッケは幼い日の母の好物だったのである。
母はそれをすっかり忘れていた。
本当に大バカものだ。
祖母は孫にではなくて
母にコロッケを持ってきてたのである。
私は正直言って苦手だったが、
祖母が孫に聞かせる異様に長い話は
なんの話題から始まっても必ず
「お母さんを大切にね。」
で終わるのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
私は母に言ってみた。
別にね。
信じなくてもいいんだよ。
「なんにもしてくれなかった。」で
踏ん張ってこれたこともあるでしょう。
この年で、今さら手のひら返しもキツイだろうし。
でもね。
信じてみたいなら
信じてみたらいいんだよ。
母さんはおばあちゃんにたいそう愛されてたよ。
信じても信じなくても
おばあちゃんは母さんが元気なら
どっちでもいいよ。
私も子どもにわかってくれと
期待しないもの。
伝わったらいいなとは思うけどね。
子どもが元気なほうがいい。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
帰省する前に
母が何が食べたいかと
聞いてくる。
じゃがいもとウインナーがあれば
うちの子は大満足です!
私はこたえる。
結局、母の思いつく限りのご馳走が並ぶことになるのだけれど
私は知ってる。
南蛮漬けかイワシの酢漬けが
かなりの頻度で食卓の片隅に用意されている。
私が好きだったおかずだ。