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[アイコンと傾聴] 風の谷のナウシカ

蝗害について興味を持ってサバクトビバッタの本を読んでみた。

サバクトビバッタはバラバラでいると普通のバッタだ。なんの害もない。

この状態を孤独相というそうだ。

ところが密度が増すと、それがトリガーとなり姿も性質も変容する。
この状態を群生相という。

身体は大きくなり、食欲も増し、そしてますます過密を好み、群れをどんどん大きくしながらあたりのものを食べ尽くして移動する。

この『孤独相』と『群生相』のところなのだが、どことなく風の谷のナウシカに出てくる王蟲に似ている。青い目の時と赤い目の時。

ナウシカが怒った赤い目の王蟲の大群の中に身一つでゆくシーンがある。
ナウシカは先頭の王蟲の話(別に喋らないけど)を心からただ聞く
「そうだったの。」
これは傾聴だ。

(別に見返したわけじゃないから
間違っていたらごめんなさい。)

その後、たしかなんの言い訳もしないで謝ったと思うんだ。
「ごめんなさい。」って。

ただ心を込めて謝った

するとまず、先頭の王蟲の目が青くなって、それを皮切りに後ろの王蟲の目が青くなり、大群の王蟲の目はどんどんみんな青い目になっていく。

先頭の王蟲は、別に他の王蟲と姿形は変わらなかったから、別に王蟲の親玉ってことではない。

ただ、先頭に立っているということでその場の王蟲たちにとってアイコン(偶像)の役割を果たしている。

そしてその場の王蟲達の目が青くなったことは、ナウシカも王蟲達にとっての『人間』というアイコンの役割を背負ったことを意味すると思う。

アイコンの役割は重要だ。

日本ではまだマシだけど世の中には様々な暴動や戦争がある。
はじめは小さな出来事なのに、周囲を巻き込んでどんどん大事になっていく様はまるで蝗害そのものだ。

そのタネになる小さな出来事の当事者は『アイコン』なのだ。
なろうと思ってなってるんじゃないのに。
『アイコン』が『赦す』と集団は解散するはずである。
『アイコン』が赦せるように誰かが『傾聴』できるはずだ。

サバクトビバッタが蝗害の後、孤独相に戻ることがあるのか私は知らない。
群生相はみんな死んじゃって、地中に産み残された卵が残るパターンしか知らない。
次の世代また新しい孤独相が生まれることに託すしかないのかな?

私達はきっと先頭の王蟲やナウシカになれると思う。


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