後輩女子に捧ぐ[創作大賞感想] 「林業女子とか、あほみたいな言葉」
今朝、おすすめに上がってきた記事のタイトルに目が留まった。
「林業女子とか、あほみたいな言葉」。
自然に手が伸びる。
記事は、飲みすぎて吐くシーンから始まった。
「林業どこいった?」
私は大学の専攻、かつての職場に関わるキーワード「林業」にひかれてこの記事を開いたのだ。
「この人はどうして吐いているのだ?」
いつのまにか林業ほったらかしで私は夢中で読んでいた。
吐いている理由は徐々に明らかになっていく。
それは遠い昔、自分も経験した想いを彷彿とさせる内容だった。
仕事内容は違うけれど、小さな男性ばかりの会社の初の女性技術職として入社した私にもこのような想いがあったのだ。
私の中では時間の経過で穏やかな想い出に変わりつつあるこの体験が、いっぺんに色鮮やかに目の前に現れて、私は一瞬言葉を失った。
それから少し遅れて
「ああなんて眩しいんだろう。」
と感じた。
女性だから体力的にできないこともある。
女性だから助けてもらえるのだが、助けてもらわずにできない歯痒さもある。
できることも女性だからやっかみをかって正統に評価されていないように感じて悔しい気持ちもある。
単に人間としての能力差なのか
女だからの性別差なのかわからないことだらけなんだ。
いつしか自分に重ねて応援していることに気がつく。
自分にしかできないことを模索しろと思う。この人は絶対文章を書くことをやめてはならない。仕事につなげろ。いやもうつなげてる。気がついて笑う。素敵な女の子だ。私なんかと違うな。
100パーセント保証する。女子であることを理由に注目されることがある。「クソ喰らえ!」普通に評価されたいから毎日頑張ってるのだ。絶対そう思うと思う。私ならそう思う。そして何より迷惑なんだこの注目。どっこいどっこいの男性同僚が揶揄ってくるんだよ。決めつけだけど私はこの年の自分だったらそう思う。
でもさ、今の私は違う。
したたかにそのチャンスを受け取ったらいいさ。そのかわり全部手柄を同僚にくれてやれ。班長も同僚も支えてくれるおかげですって。そうしたらそれが本当になるんだよ。
受け取ったチャンスは活かしていく。女を利用されていることをしっかり分かった上で、こちらも勉強させて貰えばいいよ。和歌山県の林業の広告塔になる勢いで勉強したらいい。和歌山の林業はかなり勉強し甲斐がある。歴史がある。やる気になったら和歌山中案内してもらえる。林業だけじゃなくて動物や山野草、民話なんかもいいな。
そうしたら和歌山を飛び出せ。和歌山の木はどこへいくんだ?良質な木だ。はじめは休みを利用して自分で行けばいい。興味があることを周りに知ってもらったらいい。せっかくだから記事にしてほしい。
山でも腕を磨いて、山から降りてもそういう方法で経験を積む。
いつの間にか自分だけのやり方で圧倒的林業女子になれるよ。怪我したって食ってける林業人になってみろ。怪我した林業人にいい道示す人間になるんだ。そうすればしたたかになった以上のものを返すことができる。
できたら遠方の林業女子と繋がれるといいね。狩猟女子とかでもいいと思う。ちょっと離れたほうが話しやすいよ。
それから気がついているとは思うけれど、同僚も上司も歯を食いしばりながら毎日頑張っているあなたの姿を見て、身を引き締めたり、はらはらしたり、力を貸したいと思って貸してくれているよ。絶対どこかで感じてるはずだ。強がって無視しても後で必ずわかる。強がるのに必要なら今は無視もオッケーだ。ただくたびれちゃったらこの優しさに気がついてほしいな。
いつのまに口うるさい先輩みたいになってる自分に気がついて笑いが込み上げる。
自分はたいして何もしてなかったくせに全く私はヒドイ先輩だ。
まあいいだろ。
先輩ってそういう人もいるからね!
なんか適当ですまない。
しかし、もがきながらも
精一杯突っ張ってる
彼女の記事を読んで
私はとても胸が熱くなった。
私世代からみると
これがアオハルに見えるんだ!
今の調子で輝いていてほしい。
後から気がつくやつだよ。
今彼女は間違いなく
最高の時間を過ごしている。
ときどき飲みすぎて吐いたっていいさ。
むしろときどき吐いたほうがいいくらいだ。
よく頑張ってる。
危なっかしいけどかっこいい。
ちょっとくらいのケガならいい。
しかし山仕事は危険だ。
いつものように安全に気をつけて
明日も山へ向かって下さい。
私はこの記事が大勢の人の
ところへ届きますように
と祈ってます。
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