誰がために書く🖌️「光る君へ」感想
第32回 「光る君へ」の感想です。
副題は「誰がために書く。」
第31回で、まひろは帝をターゲットに絞り、定子を忘れきれない帝の心を癒す目的に絞って筆をとりました。
それは今までの経験を全て活かそうという情熱を込めてのエネルギッシュな体験となります。
一方で帝は大変繊細な感覚を持っています。帝に近づくものは皆なんらかの意図を持っているので、帝は大変うんざりもしています。
中宮となった道長の娘の彰子のところへお渡りにならないのには、道長の権力を削いでおくという意図もあります。
つまり、父親母親としての立場からかもしれませんし、政治上の立場からかもしれませんが、道長や倫子が彰子のために、帝がお渡りになるようにとすることは全部うるさいのです。わざとらしい。
努力すればするほど足は遠のくシステムです。
ところが、火災が起きました。人々が逃げまどう中、帝は定子の残した親王を救出すべくやってきます。そこには親王を逃し終えた彰子が帝の身を案じて火の中に立ち尽くしています。
帝は彰子の手を取り一緒に逃げます。見捨てません。
火災は彰子や彰子の家族が意図しないものですね。
帝はまひろが書いた物語に目を通して、面白いとは思いましたが、そこにまひろの意図もみました。
続きを読もうと思ったのは、かつて自分が関心を寄せた才能を持つまひろが書いたというところが重要だったと思います。
完全に道長だけの知るところの人物であったら面白くはありません。
一方でふとしたきっかけで、全力で物語を書く面白さを知ったまひろには、帝のお気に召さなかったかもしれないということなぞどうでも良くなっていました。
本気で物語を書く面白さを知ったからです。
この後まひろは、続きを書くよう依頼されますが、おそらく自分のために書き始めます。
つまり帝の心のケアなんてそっちのけで自分が書きたいことを大変な情熱を傾けて書くはずです。
これは意図のないものです。
きっと帝はお喜びになると思います。
蛇足です。
帝目線でいくと、道長はよく働きますがウザいです。
ちょっと弱ってるくらいがちょうどです。
俺がサボってるのに、全部フォローしてくる目障りなやつです。
無理難題言いつけて困らせてやるくらいしておかなければ、いつのまにか道長の方が権力が大きくなります。
物語を妙に一生懸命すすめてきます。
こりゃいったいなんでしょう?
ふーん。これ書いた人って誰だっけ?
やっぱりあの時の女かー!
道長とあの女たぶんなんか関係あるかもな。
面白っ!
娘だけでなくてこの女も人質として取り上げてしまおう!
「おい道長ー!続きが読みたいなぁ!顔見せに連れてこいよ!」
というパターンもあるかもしれません。
男同士の力比べで相手の女にちょっかいかけるのは現代社会でも良くあるパターンです。
この帝は褒めていざこざを起こす名人ですからね。蘭陵王と納曽利の舞で、本家じゃない方の舞の師匠に褒美をとらせていたのを思い出しましょう。
でもまぁ、道長が何もかも差し出せば2人は運命共同体になってもいくんです。ほんとは仲がいいのかもしれません。
政治上は牽制しあっていますが、近寄ってくるものがなにか意図があり、なかなか心休まらないのは2人とも同じなんです。
亡くなってしまった晴明の残した言葉「光が強ければ闇もそのぶん強くなります。」がとても印象的でした。
「お前が男だったらよかったのに」
と言われ続けて育ったまひろちゃん
「お前が女であって良かった」
とお父さんが言ってくれて嬉しかったなあ!あのお父さんはいい人だ。
来週の放送もとても楽しみです。