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嘘から得た希望

旅行といえばお土産
お土産といえば旅行

鳥取への一泊強行旅ではあったのだけど、普段いるものもいらないものもあわせて、いろいろものをくれるお隣のおばあちゃんにお土産を選んだ。

お一人暮らし、お酒好きのおばあちゃん。お酒もいいかと思ったけど、たまにジンとか瓶でくれたりするから飲み過ぎ助長しそうでビビる。お菓子は食べきれなそうだし…。

おお!これいいじゃん!
私の選んだのは「白海老かつおの佃煮」。
そのままでアテにもなりそうだし、食欲の失せる夏、ご飯に振りかけてお茶漬けにもできるではないか!

ふふーん❣️
私って天才❣️

大変気をよくした私ではあったが、
手に取った賞品のパッケージを裏返して賞味期限を確認しようとしてびっくり‼️


富山県って書いてある

…。



まっいいか❣️これ以上いいものもう思いつかない。
開き直った私はそれ以上迷うのをやめにして「白海老かつおの佃煮」を手に入れた。


暑すぎて昼は外に出るだけで茹ってしまいそうなので(実際昨日は出歩くな警報みたいなのが放送された。)涼しくなってからおばあちゃんの家のインターホンを鳴らした。


旅行の土産を手渡すと早速おばあちゃんから質問だ。
「あら良かったね。どこ行ってきたの?」
旅行のお土産を受け取る時は、かわりに旅行の話を聞くものだ。さすがおばあちゃん。世慣れている。

しかし私はウソが下手だ。
ウソがつけない。

困った私の口からは流れるように次のような言葉が飛び出した。

「日本海のほうです。」

(詐欺かよ!消防署のほうというフレーズを思い出して心の中で自分にツッコミを入れたのはいうまでもない。)

「それはよかった!夏だものね!」

見事おばあちゃんは家族で海水浴に行ったかと思ってしまった。

海水浴をヒントに昔話が始まった。


おばあちゃんの長男のほうの孫の話だった。
怖がりで引っ込み思案だった孫を小さな頃に何回も海に連れて行ったけれど全く泳がなかった話だった。

浮き輪が🛟あるから大丈夫といくら言ってもなんべん連れて行っても頑として首まで海水に浸かることはなかったという。

おとなしすぎて、働きに出ている息子夫婦に代わっていつも面倒を見ていたおばあちゃんの肘のうちの柔らかい肉を、痣になるほどいつもつかんで黙っている子だったそうだ。

「ところがね。」

話の風向きが変わった。

「忘れもしないわ。小学4年生になった時、急に自分から手を挙げて生徒会の書記になったのよ。」

「それを境に、急に変わった。急に積極的になってたくさん笑うようにもなったのよ。」

「担任の先生と周りのお友達ね。私がどんなに心配してどんなことしても全然だったけど、じっと様子を見ていたのね。全てはタイミングと出逢いよ♡」

「子育てってなんにも心配いらないってことが孫の時に私はようやくわかったってわけ。けどやっぱり心配しちゃうけどね。」

「今度その孫に双子の赤ちゃんがやってきてくれるの。『ばあちゃん、俺みたいにあと2人面倒みてな。』って頼んでくるから、冗談だろうと思うけど嬉しくて絵本読の練習今からしてるの♪。」


私は鳥取砂丘に行ったけど
富山県のお土産を買って
嘘ではないものの
おばあちゃんに
日本海のほうに行った
と言って
海水浴に行ったのかと
いう勘違いを指摘しなくて
いいお話聞かせてもらえて
良かったです。

お し ま い



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