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ドラマ坂の上の雲 14話 子規逝く ちょこっと感想

糸瓜咲て痰のつまりし佛かな
痰一斗糸瓜の水も間に合はず
をとゝひのへちまの水も取らざりき

録画しておいたドラマ。
辞世の句を読んでついに正岡子規が亡くなってしまった。

みていると看病も
本当に大変だった。

妹のりつは自ら望んで、女盛りの時期を全てといってもいいほど兄の看病に捧げていた。

時には投げ出したくなるほどのつらい看病なのに、りつは最期までやりきった。亡骸に向かってまだ看病させてほしいと泣いていた。

子規の仕事二月ほどたって、りつは兄の墓参りに訪れた真之と出くわす。

真之はりつの様子を気づかう。
それまで兄の身の回りの世話だけで生きていたのだ。
喪失は計り知れない。

ところがりつは思いもかけないことを言う。
「さっぱりとした気分だ。」
「私は女学校へ行こうと思う。」
「これからは自分のために生きる。」
もちろん喪失はないわけではない。
真之にみせる強がりもあるだろう。

そこも汲みとってなお
真之はとても喜んだ。
「それはなりよりじゃ。兄さんもきっと喜ぶ。」

私が思うに、りつがさっぱりとした気分でいられるのは、一切の後悔ないように自分のできる全てを自らの意思で兄の世話に捧げたからだ。


そして子規からみても自分の死後、可愛い妹が嘆いてばかりいるのではなく今までを取り返すように存分に好きに生きて欲しいと思っているに違いない。


たった2ヶ月でここまで意識が変われるのは、自分の意思で決めた自分の役割をやりきったからだと思った。
また即座に学校に行くというアイデアが出たのは看病の間ずっと「学校に行っていたら兄たちの話についていけたのになぁ。」と思っていたからだ。
時間、体力を取られるということは自分が欲しているものがなにかはっきりわかる場でもある。

これは死という大きなテーマだったけれど、実際には子育ての終わり、定年退職、なんにでも当てはまるなと思った次第だ。

突然学校に通うといってのける
りつの真意を理解し、
親友でもあるりつの兄の気持ちになって喜べる真之もまた美しかった。

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