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ラーメン店の経営に革新を起こす!店主の経歴を活かした経営革新計画の策定事例
1.はじめに
多くの飲食店は、新型コロナウイルス感染症の影響で営業自粛を経験しています。その際に人材が流出してしまったことで、通常営業に戻った今、深刻な人材不足に陥っているケースが多いと言えます。それだけでなく、食材価格高騰による収益性低下にも見舞われています。
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このような脅威に対し、新たな取組みを立案しようとしても、なかなかそのアイデアが出ず、苦しんでいるケースも多いはずです。この新たな取組みに対する行政の支援策として「経営革新計画」があります。経営革新計画の詳細については以下のリンクをご参照ください。
弊社は、新たな取組みを支援する商工会や商工会議所などの商工団体からご依頼を受け、これまで飲食店含め200を超える事業者に対して「経営革新計画」を策定し、新規事業の立ち上げを支援してきました。
この記事では、弊社が支援したラーメン店の経営革新計画策定事例をご紹介します。同店は、店長の経歴を活かした新メニューを開発し、それを軸とした経営革新計画を策定しました。以下で詳しく見ていきましょう。
2.そのラーメン店が抱える経営課題とは
今回ご紹介するラーメン店は、とんこつラーメンを主力メニューとして提供しており、当時創業4年目、代表者の他にアルバイトスタッフ5名で運営していました。駐車場が広く大型トラックの駐車も可能であり、店内も40席以上が用意されており、ゆったりくつろげることができます。
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同店の代表である店長には、右腕となる人材がおらず、店長は常に厨房や店頭に立っており、業務負荷が高い状況でした。店舗運営を任せることのできる人材を雇用するには、募集費用や新たな人件費負担が発生することから、業績を向上させる必要があります。そこで、新メニューを幾度も開発しますが、競合にすぐ真似をされてしまうという悩みを抱えていました。
3.ラーメン店の経営に革新を起こすために
このような経営課題を解決するべく、同店代表は地元の商工会へ相談に行ったところ、経営革新計画の策定を提案されました。このアドバイスを受け入れた同店代表は、商工会から派遣された専門家と面談を重ね、「学習塾出身の店長が提供する合格ラーメン」というコンセプトの新メニューを軸とした経営革新計画を立案しました。
同店代表は大学生時代に学習塾でアルバイトをしており、卒業後はその学習塾に就職しました。しかし、彼はラーメンが大好きで、その情熱が高じてついにラーメン店を経営するようになったという経歴を活かした事業です。
4.経営革新計画の主な内容
「学習塾出身の店長が提供する合格ラーメン」は、通常のとんこつラーメンをベースにしつつ、次のような特徴的な具材をトッピングします。
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「魚粉」を使用します。魚粉にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といったオメガ-3脂肪酸が豊富に含まれています。これらの脂肪酸は脳の健康に重要で、記憶力や集中力の向上に役立ちます。
「海苔」もトッピングします。海苔にはカルシウムや鉄分、ビタミン類が豊富に含まれており、特に疲れやストレスが溜まりやすい受験生にとって、健康維持に役立ちます。
「きくらげ」を加えます。きくらげは鉄分が豊富であり、貧血予防に役立ちます。鉄分は血液中の酸素運搬を助けるため、脳への酸素供給がスムーズに行われ、集中力や記憶力の向上に寄与します。
最後に「トンカツ」をトッピングします。「勝つ」という験担ぎの文化を取り入れることで、受験生にとって縁起の良いラーメンとなります。
なお、とんこつラーメンとトンカツは、一見すると全く異なる食べ物のように思えます。しかし、実はこの二つの組み合わせは、意外にも相性抜群であり、近年では、とんこつラーメンにトンカツを乗せたラーメンを提供するお店が全国各地に増えています。その中でも特に有名なのが、福岡県北九州市のご当地ラーメンである「とんかつラーメン」です。
5.経営革新のヒント:店主の経歴を活用
このようにして完成した「合格ラーメン」は、単なる味の良さだけでなく、代表の経歴と独自のストーリーを持つ一品となりました。このメニューのポイントは、レシピだけではなく「学習塾出身の店長が提供する」という打ち出し方です。
たとえ他のラーメン店が同じレシピを真似したとしても、この特別なコンセプトは簡単に模倣できません。結果として、このユニークな「合格ラーメン」は他のラーメン店には真似されることなく、多くの顧客に支持されました。代表の経歴を活かしたこの一品は、競合との差別化を図るための強力な武器となりました。
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当事例のポイントは、経営者の経歴を活かした点にあります。上記のレシピ自体は、他店も真似できるものではありますが、「学習塾出身」というキーワードは、そのような経歴がないと活用できません。差別的優位性を構築するために、経営者の経歴を活用するという観点は、有効なものと言えるでしょう。
この事例は、経営課題に直面している企業にとって、単に新商品を開発するだけでなく、経営者自身の背景や特性を活かしたユニークな視点を取り入れることで、他社との差別化を図ることができることを示しています。