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【早期離職の防止策】新人の定着率を高めるOJTとは?
1.早期離職の防止策
前回の記事では、自社との相性が合わない人材を採用し、早期に離職されてしまうことを防ぐために、採用面接で相性を見極める質問について解説しました。
今回の記事では、相性を見極めて採用した人材が初期教育でつまずき、早期に離職してしまわないように、効果的なOJT(On-the-Job Training)を解説します。
OJTは、職場で実際の業務を通じてスキルを教える訓練方法ですが、適切に実施しなければ、新人の不安や不満を招き、結果的に早期離職の原因になりかねません。そのため、アルバイトスタッフをトレーナーに任命すること、トレーナーの役割を明確にすること、トレーナーに対するフォローアップを行うことが重要です。
2.私が新人の定着率を高めるOJTについて述べる理由
私は21年間ガソリンスタンドの運営会社に勤め、そのうち13年間は店長として現場を任されていました。その間、新人を採用してもすぐに辞めてしまうという課題に直面したことがありましたが、OJTの方法を見直すことでこの問題を解決することができました。
その後、中小企業診断士の資格を取得し、経営コンサルタントとして活動する中で、多くの企業が新人の早期離職問題に悩んでいることを実感しました。
そこで、自身の経験を活かして、新人の早期離職を防ぐための効果的なOJTの方法をまとめました。この記事では、具体的な事例を交えながら解説しますが、まずはOJTがうまく機能しない原因について考察していきます。
3.OJTの実態
2010年に実施された「経済危機下の人材開発に関する実態調査」(産業能率大学総合研究所)によると、OJTを中心に人材育成を行っている多くの企業が、OJTが十分に機能していないと感じていることが明らかになりました。OJTがうまく機能しない主な原因として、以下の点が挙げられます。
トレーナーの時間不足:現場の責任者がトレーナーを務めることが多いため、他の業務で忙しく、OJTに十分な時間を割けない状況が見受けられます。
OJTという名のほったらかし:OJT中にトレーナーが別の業務に呼ばれ、指導中の新人が放置されるケースがあります。これにより、新人は自分が期待されていないと感じてしまいます。
OJTという名のぶっつけ本番:指導が不十分なまま、「あとは実践で覚えてもらおう」と新人を現場に立たせることがあり、その結果ミスが発生し、新人が自己嫌悪に陥ることがあります。
このようなOJTの問題点が、新人スタッフの早期離職につながるリスクを高めています。そこで、これらの課題を解決するための取り組みについて検討していきます。
4.新人の定着率を高めるOJT3つのポイント
私がガソリンスタンドで店長を担っていた際に、以下の方策を実施したところ、新人の早期退職が激減しました。そのポイントは以下のとおりです。
(1)アルバイトスタッフをトレーナーにする
それまで、当店では社員がOJTのトレーナーを担っていましたが、当時入社して2年目を迎えた大学生のアルバイトスタッフをOJTのトレーナーに任命しました。
アルバイトスタッフは常に現場に身を置いていますので、これによってOJTという名の「ほったらかし」や「ぶっつけ本番」を防ぐことができました。さらには、一通りOJTを終えた新人スタッフのフォローアップも充実するようになりました。
(2)トレーナーの役割を明確にする
トレーナーに任命したアルバイトスタッフと私でOJT用のマニュアルを作成し、指導すべき内容や方法を明確にしました。これにより、指導内容の理解が深まると同時に、トレーナー自身の成長が促進され、責任感も醸成されていきました。このことが充実したOJTに繋がっていき、新人の早期離職防止に役立ちました。
(3)トレーナーに対するフォローアップをする
トレーナーを担うアルバイトスタッフと私で定期的に面談を実施し、トレーナーとして困っていることや疑問に感じていることなどを話してもらうようにしました。これにより、トレーナーとして成長していくようになり、やりがいも感じるようになっていったようです。このことも充実したOJTに繋がっていき、新人の早期離職防止に役立ちました。
最終的にこの大学生アルバイトスタッフは、学校卒業後に当社へ入社しました。その理由は、人材を育てる楽しさに目覚めてしまったということでした。そこで、新たに違う大学生のアルバイトスタッフにトレーナーを担っていただきましたが、このスタッフも同じ理由で卒業後に当社に入社することになりました。
5.新人の定着率を高めるOJTのまとめ
新人の早期離職を防ぐためには、効果的なOJTの実施が重要です。OJTが機能しない主な原因を理解し、それに対する適切な対策を講じることで、新人の定着率を大幅に向上させることができます。本記事で紹介したように、トレーナーの選定や指導方法の明確化、トレーナーへのフォローアップをしっかりと行うことで、新人スタッフの不安や不満を軽減し、早期離職のリスクを低減することが可能です。
また、OJTを通じてトレーナー自身の成長を促進させたり、やりがいを高めたりすることができるため、組織の活性化にもつながります。これらの取り組みを実践し、効果的なOJTを通じて組織の人材育成を進めることで、長期的な業績向上を目指していきましょう。
なお、自社ならではのOJTを構築したい方のご相談にも対応しています。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。