天体観測:紫金山・アトラス彗星を見ましたか?
見ていない人にはごめんなさい。
でも、すごく立派で感動モノの彗星でした。その感動のハイテンションのまま、記事を書いてみます。
1日目(2024年10月13日)、撮影地=千葉県流山市
この日は千葉県の流山市の利根運河周辺を散策しに来ていたのですが、夕方そろそろ帰宅しようかという頃になって、そういえば日没後に彗星が出現するということを思い出して、もうしばらく残って彗星を見ていくことにしました。
とは言え、手持ちの撮影機材と言えばスマートフォンのカメラぐらいで、彗星ってほんとうに見えるのかなぐらいの軽い気持ちでした。
彗星は日没後に西側の低い空に見えるということだったので、西側が開けている江戸川の堤防にやってきました。
夕焼けに送電線のシルエットが映えていたのですが、彗星の撮影の時は場所を移動しました。
日没から1時間ほど経って、空が次第に暗くなってくると、彗星が見えてきました。街の灯りが明るい場所だったのですが、思っていたよりはっきりと見えて感激しました。
スマートフォンでも撮ってみたのですが、格安のAndroid機種だったのでぼんやりとしか写っていませんでした(iPhoneだとかなりはっきりと写せたみたいですね)。
それでも、彗星を写せたことに大満足。
ここです。
肉眼だともっとはっきりと、白く輝いて見えたんです。
彗星が見えたことに満足しつつ、こんな立派な彗星を目撃できるのはおそらく一生に何度もある機会じゃないです。西の空に太陽の残照があって、街灯りもまぶしくて、機材もスマートフォンのカメラで、これだけ悪条件が重なっているにもかかわらず画像が写っていたということは、それだけ素材が良いということです。
これは、きちんと場所を選んで機材を用意して撮りに行かないといけないと思いました。
そういうわけで、次の日、今度は彗星の撮影を目的に出かけることにしました。
2日目(2024年10月14日)、撮影地=神奈川県三浦市
今度は気合を入れて、一眼レフカメラと三脚を担いで、西側が開けていて街の明かりがない場所ということで地図を眺めて研究した結果、三浦半島まで行くことにしました。
空模様は、「3連休は高気圧に覆われて行楽日和でしょう」と言っていた天気予報を信じるのみです。
京浜急行の終点・三崎口駅に到着です。
ここから西へ2kmほど行くと三戸浜という砂浜に出ます。その先は、海(相模灘)です。東京近郊で西の夜空を観察するには、まずまずの場所と言えるのではないでしょうか。
そこから西に向かって30分ほど歩いて三戸浜です。
海に沈む夕日がきれいです。少し雲が出てきていましたが、富士山も見えていて、期待できそうです。
そして、日没から1時間ほどして、見えてきました。紫金山・アトラス彗星が。
うまい具合に雲を避けて、核が雲の上に来ています。
今度は機材もきちんとしたものを用意してきましたが、肉眼でも彗星の輝きをしっかりと見ることができて、前日に続いて感動を味わいました。
ズームレンズで望遠側にしても撮影してみました。
彗星の尾に濃い部分と薄い部分があるのがわかるでしょうか。濃い部分は核から飛ばされたチリでできていてダストテイルと呼ばれていて、薄い部分はガスやプラズマからできていてイオンテイルと呼ばれています。そうしたダストテイルとイオンテイルの違いも観察できて感激です。
彗星の右側に写っている紅白のまだら線や、右下に写っている線は、飛行機の航跡です。三浦半島上空は羽田空港を離陸して西へ向かう航路になっています。
紫金山・アトラス彗星は既に近日点(太陽に一番近くて尾が伸びる)も近地点(地球に一番近くて大きくはっきりと見える)も過ぎてしまって、10月13日が日本で観察できる条件の中では光度がピークで、その後は急速に暗くなっているようです。
軌道計算によると次に地球に近付くのは8万年後ということで、もう2度と見ることはないでしょう。
本当に奇跡の2日間でした。ありがとう。