空撮:地形:河川:安曇川の河口(滋賀県高島市)
比良山地から流れ出て琵琶湖に注いでいる安曇川、その河口は複雑な形状をしている。川の水流に沿って細長く砂州(自然堤防)が伸びていて、それらが幾筋も手のひらを広げたように広がっている。細長く伸びた先で枝分かれしてくれれば完璧なのだが、鳥趾状三角州の特徴を備えた河口になっている。
鳥趾状三角州とは文字通り鳥の趾(足)のように細く伸びて枝分かれをする形状の河口のことで、典型例としてはアメリカのミシシッピー川の河口が挙げられる。
ここでは一旦、安曇川の河口形状を鳥趾状三角州として扱っておく。
いずれにしても、三角州の典型例の三角形でもなく、カスプ状三角州と呼ばれる尖がった形でもなく、より複雑な形をした安曇川の河口は地形マニアとして引かれるものがあり、一度はドローンで空撮をしてみたいと思っていた。
両側に砂州が形成されて、河道が湖の中まで伸びてきている。砂州の草が茶色く冬枯れしていてまるで蛾の羽のようにも見える。
安曇川は河口付近でいくつもに流路が分かれていて、それぞれが砂州を湖の中に伸ばしている。鳥の趾に見立てるにはキビシイかもしれないが、いくつもの砂州が伸びていて全体で星のように開いている様子がわかる。
陸地側から眺めたアングル。いくつもの川筋に枝分かれして、流路が変遷している様子がわかる。水を掴もうとしている手の指のようにも見える。
こちらは別の時に、東京(羽田)から福岡行きの飛行機に乗った時に機窓から写した風景。大きく北流と南流に枝分かれして、さらにその先で枝分かれした河口形状の全体を眺めることができる。
安曇川の河口がこうした複雑な形状になるのは、比良山地の断層帯を削って大量の土砂が供給されてくるのと、琵琶湖が湖なので潮流が比較的弱いというのが要因にあると思われる。
これで、もう少し遠浅の湖底地形ならミシシッピー川のように沖合まで伸びながら枝分かれする鳥趾状三角州も見られたかもしれないが、残念ながら安曇川の河口の先は急に深くなっていて80mぐらい落ち込んでいるので、当分は今の大きさ・様態の三角州が限界かもしれない。