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小与島(香川県坂出市)への旅

今年(2024年)5月に遠足仲間と瀬戸大橋に行ってきました。
実はその旅にはもう一つ目的がありまして、瀬戸大橋のルートから外れてしまった小与島にも行ってみたいというもの。

小与島は、名前の通り与島の隣にある小さな島です。
でも、与島には瀬戸大橋が通っていますが、小与島には通っていません。
瀬戸大橋が踏み台としてる島々にはさすがに素通りというわけにはいかないのでそれぞれの島に降りる手立てが講じられているのですが、橋が架からなかった小与島にはそうした温情もなく、取り残されてしまいました。
現在、島の人口は2人、老夫婦が1組住んでいるということです。

小与島に行くには船しかありませんが、定期航路はありません。
そのため島に渡るには、釣り人に紛れ込んで瀬渡し船を利用するか船(海上タクシー)をチャーターするかになります。どちらにしても一人で行くには割高になるので、今回のように人数がまとまるのは島へ渡る絶好の機会でした。

与島・小与島と島の名前がセットになっているように、本来であれば瀬戸大橋を使って与島まで行ってそこから瀬渡し船で行きたかったのですが、それをすると「瀬替え」扱いになってしまって瀬渡し料が高くなってしまうことがわかりました。瀬渡し船の拠点は岡山県の下津井にあるので、下津井から与島までの回航代(帰りも同様)がかかるそうです。船の拠点の下津井から乗ると、1か所の瀬渡し料で済みます。
理屈がわからないでもありません。
そういうことであれば下津井から瀬渡し船に乗ることにして、前の日に民宿に泊まった岩黒島→与島→Uターンして児島ICで降りて下津井まで行って、そこから小与島に渡るという行程にしました。行ったり来たりになりますが、車での移動なので苦になりません。

下津井漁港にやってきました。
ここから瀬渡し船に乗り込みます。

下津井の漁港を出港して下津井瀬戸大橋をくぐり抜けます。
海からも楽しむことができたので、下津井まで戻ってから瀬渡し船に乗ったのは正解でした。

つづいて、前日に民宿に泊まった岩黒島の沖を通り過ぎます。
櫃石島橋の南側主塔(写真右)と岩黒島橋の北側主塔が相似形の三角を描いています。島に笠を置いたみたいです。

瀬戸大橋を列車が通過していくのも見えました。

海からの景色を楽しんでいると、あっという間に小与島に到着です。
今の時刻はお昼の12時少し前。瀬渡し船には14時に迎えに来てもらう約束をして、2時間たっぷり島を散策する予定です。

まずはドローンで空撮した写真を使って、島の概要を説明します。
小与島は小さいながらも非常に特徴のある島で、島の真ん中は穴ぼこだらけで池になっています。小与島は石材の産出地として知られ、最盛期には18の採石業者が競うように石を切り出したそうです。その結果、山が切り取られてしまったばかりか海面下まで掘り進んで穴になり、雨水が溜まって池になってしまいました。
島の西側(写真右)の平らな土地は、採石が盛んな頃にその残土で埋め立てられた土地です。
北端(写真手前)に残っている建物は、1988年の瀬戸大橋開業当時にそのブームに乗って建てられたリゾートホテルで、今は廃墟となっています。瀬戸内の穏やかな環境のためか今でもきれいな姿で残っています。
高度経済成長期の採石ブームと瀬戸大橋の開業ブーム。
二つの夢の跡が横たわっている、とにかく印象的な島です。
これが小与島に来てみたかった理由です。

石切場の中に入っていきます。
池があって、その向こうにはそそり立つ岩肌。ちょっとした観光地になりそうな光景です。

面白いものがありました。採石場跡に立つ石の塔です。
調べてみるとこの石の塔が石切場の境界になっていたとのこと。正確には削り残されたと言うべきで、ここを土地の境界として(おそらくこの場所に杭を打って、互いにその杭を倒さないように)両側から掘っていったらこうなったのでしょう。
人々が競うようにして島を切り崩していった状況が想像できます。

上空から見るとこんな感じです。
池と池の間、つまり石切場と石切場の間に立っています。かつてはあの塔の先端が地面でした。

石切場を通り抜けて東の海岸に出てみると、石材の積み込みに用いられていたと思われるクラムシェルバケット/クラムシェルグラバーの残骸が置き捨てられていました。

廃ホテル「アクア小与島」です。
窓ガラスも割れておらず、とてもきれいな状態で残っています。

全室オーシャンビューの設計だったようです。各室のバルコニーにテーブルとチェアが備えてあるのも見えます。
時間が止まったかのようです。

ホテルの建物から少し離れたところにある倉庫だった場所をのぞいてみると、流線型のおしゃれなボートが置いてありました。

1人乗り用のホーバークラフトというのもありました。
ホテルのアクティビティとしてこんなのもあったのですね。バブル当時の、さらに瀬戸大橋開業ブームで湧いていた頃の豪華さが伝わってきますが、今はガラクタです。

集落の中もすこし散策してみました。島の神社の梶大明神です。

小さな島なので2時間は時間を持て余すかなと思っていたのですが、想像以上に盛りだくさんで、あっという間に瀬渡し船が迎えに来る時間になってしまいました。

最後に、小与島から眺めた瀬戸大橋です。


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