ある意味で美人画?~山種美術館「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」
秋晴れに恵まれたこの週末、一匹の猫に会いに山種美術館へ足を運んだ。
「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」展である。
(掲載しているチラシは、コロナ前に配られていたものなので会期が異なっている)
目玉はやはり、この「班猫」。山種美術館の看板ネコとも言えるほどの名品となっている。
背を見せつつ、首を曲げてこちらを見上げる目は、媚びているようにも見える。その見上げるような肢体が、しなを作ってなんとも艶めかしい。しなやかさと温かさも伝わってくるようだ。ある意味では美人画とも言えるのではないだろうか。
毛並みは、一本一本の毛も描かれているのでちくちくした感触も想像されつつ、全体としては柔らかな手触りも感ぜられるのだから、その画力に恐れ入る。
実にこの作品だけを見るだけでも足を運ぶ価値があるというものだ。
竹内栖鳳はこの他にも意外と多くの動物を描いていることが紹介されていた。動物そのものだけでなく、その空間そのものを切り取って描きだしているのだから、単なる動物画にとどまっていないのだ。
栖鳳以外の作家の作品も多く展示されている。
中には妙にリアルに描いていて、「アニマルパラダイス」と銘打つにはちょっと遠ざかってしまうような作品もあったのはご愛敬か。
できれば速水御舟「翠苔緑芝」の黒猫も見たかったなぁ。
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