第23話 荒野に咲き誇る花
「コウジ!」
昼過ぎに、待ち合わせ場所にいくと、日差しよけのサングラスをしたエリーが手をふってくれた。
エリーは、テンションが高かった。
二人で歩き始めたときに、コウジの目線の先にきて、白い歯をみせながら、ニコニコとまた手を振ってきた。
「コウジついに来たのね! 私だよ、覚えてる?」
冗談まじりにそうでも言ってきそうな表情だった。
ヤンゴンで会った時と比べて、明るさは歴然だった。
この日は午後から、エリーと一緒に砂漠ツアーに参加した。
人生で初めて砂漠というものを訪れた。
広大な砂漠の中にオアシスのように出てくる湖。そして静かな海
エリーが指差す方向に、陸地が見えた。
「コウジ、この海の向こうに見える陸地はサウジアラビアだよ」
コウジにとって対岸ではあるが、サウジアラビアはとても遠く感じる国だった。
ゴツゴツした岩肌を除かせた岩山がみえたが、対照的に海の波は穏やかだった。
コウジがヤンゴンでエリーの写真をたくさん撮ったが、今度はエリーがコウジの写真をたくさん撮ってくれた。
「いや、僕一人での写真じゃなくて、エリーと一緒に撮りたいんだけどな・・・」
コウジは心の中でそう思った。
砂漠ツアーを終え、コウジとエリーは、
ラムチョップやアラブ料理を食べれるレストラン”アルカイマ”へ向かった。
エリー:コウジに私の友人を紹介したくて、夕食は大勢だけどいい?
食事終わったら二人でバーにでも行こうか。
コウジ:もちろん、わざわざそんなに呼んでくれてありがとう。
レストランに着くと台湾人が4人ほど待ってくれていた。
チェン、エルビス、ファンという男性陣とパレスというエリーの同期だ。
コウジの右にはエリーが座り、左にはチェンが座った。
男性陣らは、カタールでエンジニア系の仕事をしている面々だった。
チェンの彼女は日本人だったこともあってか、コウジはチェンとの会話も弾んでいた。
チェン:コウジ、初めての砂漠はどうだった?
コウジ:楽しかったよ! 砂漠の山を一気に降りていくのなんてジェットコースターのようだった。
チェン:・・・あぁ、あれね! 以前、別のグループが滑降したら車まで回転しちゃったらしいぞ! 窓ガラスにヒビが入ったみたいで、コウジとエリーはそうならなくてよかったね(笑)
コウジ:それはヤバいな! でも所々ヒビ入ってたけど そういうことだったのか(笑)
コウジは、チェンとの会話のおかげで、緊張が少しほぐれたようだった。
夕食を終え、別れ際にチェンとも連絡先を交換した。
チェン:コウジ、今日はありがとうな。会えて嬉しかったよ。 この後、エリーと二人の時間を楽しんでくれな。
コウジ:チェン、こちらこそありがとう。 またドーハに来た時は会おうな。
その後、コウジと、エリーは、見晴らしの良いホテルのバーで、お酒を飲んだ。
そして、これからの話をしたのだった。
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