桜舞う日々は続く。 -初めての滝沢歌舞伎-
Snow Manにとって大事なことは全部『滝沢歌舞伎』に詰まっている。
だからこそ、自分たちの手で幕を下ろすことに対する覚悟は、他者の計り知れるものではない。
それでも、ほんの少しでも、その覚悟を垣間見てみたかった。
2023年4月30日に大千穐楽を迎えた『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』。
新橋演舞場で1ヶ月弱行われる演目を、15公演分も全国の映画館でライブビューイング中継しようというのだから、世の中の需要が明白であろう。
そんなにも注目を集めるのであれば、SHOWBIZ好きとして見てみたいじゃないか。
ちょっとした好奇心を引っ提げて、ジャニーズにさほど知識のない身ではあるけれど足を運んだのである。
私のこれまでの鑑賞範囲は、雑多。
音楽ライブ:ストリートからドームクラス
演劇公演:bar公演から帝国劇場・宝塚大劇場
どちらもインディーズからメジャーまで幅広い。
落語もシルク・ドゥ・ソレイユも見る。昔だけどスーパー歌舞伎は見た記憶がある。
新橋演舞場には他の公演(ルーザーヴィル)で2月に行ったばかりだし、JAEやG-Rocketsのアクションがいかにすごいかは以前からよく知っている。フライングがどれほどにシビアな世界であるのか、も一般人よりは知っている。
そんなSHOWBIZスペックが見た『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』ライブビューイングの感想を連ねてみたい。
5分前。新橋演舞場の正面から、スタッフに迎え入れてもらい、2階席正面の席に着く演出から、もう始まっている。
ちゃんと、迎え入れられてるなぁ。
客席の天井から吊られているのは、金の龍と9つのDOTIMAGE。
滝沢くんとSnow Manを表しているらしい。へぇ〜。
提灯がやけにアップになるな、と思ったら「舞」の文字が「タッキー」仕様なのか!
徐々にBGMが煽られて、暗転して開幕。
ひらりと桜
ZEROと大きく書かれた3段の大きな階段に乗って踊ったままのSnow Manが前に押し出されてくる。そして階段後方では大量の桜の花びらが降ってくる!これか!!!
パフォーマンスも一糸乱れなくてさすがなんだけど、しっかり物理でも殴ってくるあたりに「これがジャニーズか〜〜〜!」ってなる。
春の踊り
Snow Manが誘う感じで、Jr.やアンサンブルを順々に紹介していくパフォーマンス。
宮舘くんが女子アンサンブルを操ってる感じとか、阿部くんがJAEを操ってる感じとか面白い!
いにしえ
全員でパフォーマンス。
前後列で1拍ずらしで振りがあったりして、カノンとは違うけど畳み掛ける感じあるね。
曲終わりで、岩本くんから座長挨拶。
『和のエンターテインメントをお楽しみください』
こういう決めるべきところを渋くきっちり決められるのは、ポイント高いな〜。
<バトントワリング>
・・・!?たった今、和のエンターテインメントって言ったところですが!?
いや、もちろん次のスタンバイの為に時間を作らなきゃいけないのは分かっている。
だがな?てのひらクル〜が早くない?(笑)。ここで突っ込んでちゃ身が持たないってことだな?(察し)
仇討ち
前面に白幕が下がって、毛筆の映像で『仇討ち 阿部亮平 宮舘涼太 深澤辰哉』。こうやって名前の紹介あるのいいな。
いわゆる殺陣アクションパート。JAE大活躍で私歓喜。諸鍛冶さ〜〜〜ん!(アクション監督)
登場の段階の物理圧力(劇場だと風圧も)がカメラ越しでも凄い。
阿部くんの刀捌きが良い。バッサバッサ切っていくのが気持ち良いのは当然なんだけど、”日本刀で相手を殺す”刀筋なんだ。目力とか顔付きとかも含めての、執念がこもった刀筋。
たまに切る前にニヤッとしてないか?え、めっちゃ芝居できるじゃん、この人。←
深澤くんの戸板倒し。これはバランスと集中力が必要なのと、下で準備する人たちの技術も要求されるやつ。ヤー!の掛け声で倒して着地するのかっこいいわ。
ん?本来の歌舞伎でもこんな技を延々と受け継いできたってことよね!?すご。
宮舘くんは無手(武器なし)で登場して敵を倒しつつアクロバット。無手いいねぇ、にやにやしちゃう。
そして3m以上ありそうな階段の先端からの、階段落ち。
はいぃぃぃ?毎公演これやってるの!?早乙女兄弟か!?
阿部くんのナレーションで繋ぎ。温かくて穏やかで良い声。LVでは客席のDOTIMAGEが映ったり。
月と星のディスタンス
渡辺くんが歌う「Maybe」に合わせて、ラウールくんがダンスを踊る演目。
バリバリの洋。和のエンt……(黙)
ここのラウールくんのダンス、コンテンポラリーに近い感じで「体全体がキャンバスです!」と主張してくる。
これ、即興というかフリーダンスなんですってね。何その表現力の塊の19歳。ヒィ。
曲が終わった後、繋ぎの曲で渡辺くんが花道に出てきて、DOTIMAGEを1つ掴んで客席の方へ押し出して揺らす。
これは何のメタファーなんだろうな……。
変面
岩本くんがアンサンブルを従えての演目。
和でも洋でもなく、”中”が来ました!京劇ですね……!?(黙)
奇術の類なので、面が変わる度、素直に「おおぉー!」と驚いて楽しむのが正解ですね!いやマジ何がどうなって面が変わっているのか分からん(笑)。
「メンバーみんなの色にしたい!」って言って8枚の面を捲って最後に自分のお顔が出てくる構成にしたエピソードは、強火Snow Man担すぎて火傷しそうです。
足跡
佐久間くん・向井くん・目黒くんのパフォーマンス。
ライブビューイングで見て、最初なにがどうなってるのか理解できなかったけど、分かった瞬間に内心で「うひょぅ!」したやつ。
こういう映像合わせはめったに見られないので、興味深い。
(この見せ方いつからあるんだろう?パンフでZEROの過去演目を見たけど『足跡』の記載はなかったから、無印時代の演目なの?誰か教えて……)
しっかりと自分の位置と動きを制御する必要がある。これマジで演じる側の動きが正確性高くないと崩壊する演目ですね。そして裏方の事前作業量を慮ってしまう。
楽曲の雰囲気と、3人の表情がとても柔和でほっこり。
太鼓
来ました、腹筋太鼓!
これが!噂の!ジャニーズの!伝統!全員から笑顔が消えて、真顔になる演目!
皆様余分な肉なんぞ無いシュッとした体をしてらっしゃるんですが、やっぱり岩本くんの筋肉は美しいですね。←
あ、後ろからタワー来たぁ!
って、そうか、(スタンバイ的に当たり前だけど)さっき『足跡』をやっていた佐久間くん・向井くん・目黒くんが回転タワーに乗ってるのか!
めっちゃ柔らかかった3人がバッキバキのパワーポジションなのか……。ギャップえぐいぞ。
佐久間くんの腰のテーピングが痛々しいけど、そりゃあ酷使してるもんな……。
<Jr.のパフォーマンス>
前面幕に投影される映像の中の敵と戦うパフォーマンス。
まぁまぁ舞台では昔から使われている手法よね。
DA BOMB
ギラギラセクシー系の衣装を着たSnow Manが順に登場する新曲。楽曲がK-POPっぽさあってかっこいい。
まず深澤くんがせりに寝そべって盆回されて(?LVだとそう感じた)登場する始まりで、「これ、ビジュアルで殴ってくるヤツだ!」って察しました。各々いろんなセクシーアプローチでカッコよく歌い上げる。
阿部くん、紫っぽい色付きメガネにメガネチェーンで黒革手袋って、一部のオタクの息の根を止めに来ていますね???
ラウールくん、艶やかさの大洪水。さすがパリコレモデル。
<生化粧+鼠小僧OP映像+お丸さんトーク>
歌舞伎のメイクを、舞台上でたった数分で自ら施していく様子を観察するコーナー。
それすら見せてコンテンツにしてきたジャニーズ、すごいな。
これまでは2幕制だったところを、今年は1幕制にしていることもあり、やれないけど人気だった鼠小僧のOP映像見せてくれる。にわか客にもありがたい。
そして、深澤くん演じるお丸さん(町娘)が花道を全力ダッシュで駆けて登場!1人足りないと思ったら、アナタそのポジションなのwww流石www
Jr.からMCを引き取って、メンバーにお丸さんとして絡んだり、タイムキープの拍子木の音を出す音響さんと戯れたり、見事なMC捌き!
滝沢歌舞伎ZERO ダイジェスト
これまでの名場面を集めた総集編とのこと。
the歌舞伎!な感じで始まる『五右衛門ZERO』[岩本・宮舘・向井・深澤・ラウール]は、歌舞伎の型の美しさとカッコよさが堪能できる。歌舞伎特有の効果音と掛け声がかかるのも良いね。(専門の"ツケ打ち"という職がある)
って、刀投げここか!!!花道の宮舘くんから本舞台上手の岩本くんへ客席上を通過して飛んでいく日本刀。
客席も手に汗握るやつ。なんか息止めちゃうよね。
生化粧の段階で女形が2人いることは分かっていたのだけど、なるほど『男と女の舞』[目黒・阿部、渡辺・佐久間]は2組の舞いなのね。女形をやっている阿部くん・佐久間くんの妖艶さよ!!!あと、腰の位置が低い!
『氷の世界』[宮舘]と『蝶々』[深澤・向井・ラウール]は、本来の歌舞伎をどこまで取ってきているのか分からないけれど、アンサンブルも混ぜて見せ方とかが現代に寄せつつ歌舞伎であることを保とうとしてる印象。
『お七』[佐久間]・『道成寺』[阿部]・『蛇』[渡辺・目黒]
この辺りは本当にコアな1シーンだけを抜き出して演じているので、もっとちゃんと見たい!というのが先に立つかな。とくに女形2人の恋に身を焦がす女性の芝居が美しかったので……。
『蜘蛛』[岩本] 〜ラインナップ
最後の最後に物理で殴ってきたんですけど!?(笑)。まぁ本家歌舞伎もこういうことしますからね。
本当に様々な場面をやった後なので、ごった煮状態ではあるけれど、ラインナップすると迫力があるなぁ。
四季
Jr.とアンサンブルのパフォーマンス。特技を諸々披露って感じかな。バレエとかタップとか。
G-Rocketsがフライング状態で踊ってたり回ってたりを楽しめて、懐かしい気持ちになったり。
組曲
クラシック調の楽曲に合わせての群舞。同じ振り付けをやっていても個性があったり、結構激しい動きをしていたり、ダンスに強いSnow Manというのが伝わってくる演目かも。
岩本くんがほぼほぼセンター位置にいて進んでいくことに、意思みたいなものを感じたり。
花鳥風月
突然の女性Vo.曲。うん、でも、そういう展開あるあるです。どこか他でも似たような体験してる。後ろの垂れ幕が鮮やかで良い。これは無印の時の楽曲なのかな?
驚いたのが、客席降りがあったこと。曲の最後に幕より前の位置に並んだと思ったら客席通路に降りていって、頭上の龍を見上げたりDOTIMAGE触ろうとしたりして、数十秒でまた舞台上に戻っていくんだもの。
ジャニーズも客席降りするんだ……。(コンサートじゃなくて舞台作品なのを分かって来ているから荒れることもないんだとは思うけど。)
<バトントワリング>
これ、演者もすごいんだけど、ピンフォローがすごいんだ。ちゃんと飛んでくバトンを追ってるんだ……。
Memories
本水使っていて、五条大橋の装置は回転しまくっているという、足場と遠心力でハードル上がった舞台環境。水も滴るイイ男が次々と生成されていく……。毎公演こんなにビッショビショなんですね……。
傘のパフォーマンスを見て、刀ステを想起したり(笑)。
宮舘くんのフライング(垂直/傘に乗って飛んでる様子)や佐久間くんのフライング(横移動/巻物っぽい布ひらひら)もあって、見所続々なんだけど、いまここで詰め込まなくても良くない!?って思ったり。理由があるんだろうけど。
んでもって、自分たちの歴史をモチーフにしてパフォーマンスをするって、貴方達は茨の道を進んでいくんですね!?
6人が先に橋に上って、3人が後から引き上げられていくっていうストーリーは、確かにエモいですわ……。
WITH LOVE
一旦幕が降りて、岩本くんのナレーション。LVではDOTIMAGEがふわふわしている様子が映されてる。
イントロで幕が上がって、ジャニーズです!!!って感じの赤ジャケットを着用して、橋の上にラインナップしている。一人ひとり歌唱→ハモリで重なって→みんなで歌う(手話もここのはず)。
ちゃんとアイドルして終わるんだなぁ。もちろんどの演目もエンタメショーの一環なんだけど、王道に戻るというか。
カーテンコールも兼ねてるから尚のこと。
パンフで歌詞を読んで思うに、『Memories』のパフォーマンス後にこの歌詞が来るのは、演者もオタクもしんどさMAXでは!?
LOVE
さっきがカーテンコールで、こっちはアンコールに近いポジションの曲かな。
みんなで笑顔でわーいってなる感じは、大団円で終わるには絶対欲しい要素。一方、上手と下手で日替わりダンス対決みたいなことをして変化の要素で楽しんだりもできて、LV向けのカメラには抜かれた演者からバチバチカメラアピールが来るっていう仕様。
そりゃ、楽しいに決まってんじゃん。やっぱりエンターテインメントを分かっているジャニーズ が作っているだけあるよ。
最後の一言は日替わり。言い終わって小判が劇場で降るから(銀テープの要領)"小判ガチャ"って通称らしい(笑)。賑やかにわちゃわちゃして幕が降りるのはいいね。
はー、普通に面白かった!
毎年続いているだけあるよ、滝沢歌舞伎。
ん?歌舞伎?和のエンターテインメント?
だったか?まぁ、あったな。うん。
たぶんそこに踏み込んじゃいけないやつだ。
これは、幕の内弁当なんだから。
桜の花びらの舞う中で、みんなでエンタメ幕の内を味わうための時間なんだから。
おそらくだけど、Snow Manの9人が同じ舞台作品に取り組める機会は、今後ないかもしれない。それくらい難しくなると思う。業界が、民衆が、世界が放っておかないので。
ただ、この作品を一緒に作り上げてきた経験があって、仲間がいて、それは自分以外の8人だけじゃなく、共演者やスタッフも含めての仲間であることが、それぞれが光輝けるためにものすごく重要になることだけは、私にも感じられる。
Snow Manと滝沢くんの周りに、これからも桜が舞い続けますように。