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カヤネズミの本

ずいぶん前に購入した本をそのまま放置していた。
買ったきり読まずに保管していたものだ。

それを最近始めたメルカリに出して
いざ購入者が現れてから、読まなかったことが惜しくなっている。

買った理由は、小さな動物を描きたくて生態を知りたかったから。
読まなかった理由は、
もともと活字が苦手でどんどん後回しになって、本を積んでいるという事自体がストレスになって避けてしまったから。

…1回ざっと読もう。
購入者さんに心の中で謝りながら本を開いた。



この本は
カヤネズミの生態を記した本だけど、
文章はやさしい語り口調でとても読みやすい。

カヤネズミとは、
草むらの中、草同士を編み合わせる事で巣を作り子育てをする
体長6cmほどの日本最小の野ねずみ。イネ科の草原にいることが多いらしい。
本の写真の、手のひらに収まる姿が可愛らしい。
重さはちょうど500円玉くらい。かわいい。


本の中の様々なアングルから撮影されたキュートな姿がたまらない。
普段はオレンジがかった毛色で、冬毛がちょっと黒い。
しっぽがひょろりと長くて、草にまきつけて体を安定させる。
前足の指は4本、後ろ足は5本で長めの指。それで草をしっかり握って移動する。

かわいい
写真がたまらなすぎて文章をあまり読んでない。
それでもしっかり伝わってくるキュートな隣人の情報。

カヤネズミの巣作りの図式までイラストで書いてある。
どうやって草を割くのかまで書いてある。
イラストを見てかわいいと思った後に、文章を読む。
すごく読みやすい。


さらに読み進めると、うまれた子供たちの成長の様子がうつる。
その巣を襲おうとするアオダイショウ。
ハッとしてアオダイショウを引き離す著者。
食事を邪魔してしまったことを申し訳なく思った著者の気持ちが書かれるけど、次のページには思い切り捕食されてる写真が載ってる。
これが自然観察…。


そんなカヤネズミ、
今では絶滅危惧種としてレッドデータブックに載っているらしい。
理由は土地開発による草地の減少。
そういえばメダカも絶滅危惧種だった気がする…。
著者が調べていた草地も幾度となく刈られたり開発が入っているけど、
なんとかその土地の人と交渉し、カヤネズミの生育地を残そうとしていた。
あくまで子供に語るような口調で、
なるべく公平な視点で、被害者と加害者と映らないように。


巻末にはこうした生物観察のフィールドワーク方法まで書かれていて。
この本は、そうした小さな隣人たちをどうにか守ろうという愛が、たくさん詰まっているように感じた。

 

…いや私なんで今まで本読まなかったん。

 

と思いながら、確かにこれは私が好きな本だったな…と、
購入した時の私と握手したくなった。



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