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ドラマ「95」第二話を見た話

第一話でなかなかの衝撃を受けたドラマ「95」の第二話。

受けた印象はほぼ変わらずで、色合いも役者さんの良さも、オープニングもエンディングも大層好みなままで嬉しかった。

体感一瞬で終わったと思うほど満喫した。

第二話の感想をひとことで言うと、「髙橋海人、天才か」に尽きる。

海人くんの表現力の魅力

どうしても個人的趣向の問題で髙橋海人くんがハイライトになるんだけれども、これはもう仕方ない。

プロデューサーさん、してやったりだろうなと思うし、こちらからは“本当にありがとうございます!握手してください!”でしかない。

Xでも多くの人が口を揃えていたけれど、あの陰キャ具合が天才的なのだ。

解像度が尋常じゃなく高い。

あまりに上手すぎてダサい通り過ぎて”キモい”というポストまで複数見かけたのにはちょっと笑ってしまったが、気持ちはわかる。

キョドった仕草や、ビクつき方、視線の泳がせ方や、自信なさげな背中。

どれもこれも大げささもわざとらしさもどこにも無いのに自然で鮮明なのがイタイほどで怖い。

ガチで“キンプリ髙橋海人のキラキラどこに置いてきたの?”状態。

多くの人に刺さってたカラオケ屋さんで女子2人にやられるシーンは本当に最高であった。

あのコップの落とし方も、怯え方も、視線の落とし方も、喋り方も、裏返る声も、エプロン寄せ集めて握りしめる手も、下手に正論で反論して墓穴を掘るところも、言い返しきれないところも、全部、丸っと、改めてこの時点でのQがどんな高校生なのかをこれでもかと印象付けてきていてすごかった。

もう一つ。

かけっこの後、翔たちのコヤで「俺たちと手を組むか」と問いただされて「正直ね、あの…」とちょっと声を振るわせつつ「今日は誘ってくれて本当にありがとって感じで…」と半笑いを浮かべて言うシーンも同じく、まだ翔たちとは違う世界にいる感じとか、嬉しさで空気を読みきれない感じとか、思ったことをそのまま伝えようとするクソ真面目さなんかをめちゃくちゃわかりやすく表現してくれていて、「Q」をかたどっていた気がする。

その一方で、翔に急に切り捨てられた時や、煽られて奥に眠るプライドを刺激された時に見せるあの複雑な感情の解像度の高さたるや…。

そんな時に見せるあの目の暗さも最高であった…。

個人的に監督さんの手腕にめちゃくちゃ感謝したいのが、このQに痛いまでにやられまくるシーンの尺の塩梅だ。

短すぎても雑になるし印象は薄れるし、長すぎるとくどいし下手すると見ている方に痛みが重くのしかかる。

特にQと多くの共通項を持つ私のようなこっち側の人間には。

勉強はある程度出来るしそれなりの自信はあるけれど、仲間とつるんでその時々でハメを外すことを楽しんで生きてる人達が羨ましくもあり、彼らと同じようにその時間を楽しめない自分にどこか劣等感を感じたりする心境も経験しているし、そういう人達に自分の器小ささをどこかバカにされた視線を送られる居心地の悪さも知ってる。

だからこそ、Qのイタイシーンをバランスのいい尺の長さで切り上げてくれるのがものすごくありがたい。

ドラマ一話分のテンポも中弛みなく小気味よく、変なしつこさもなく進んでいくので本当に見やすいし、あっという間に1時間がすぎていく。

監督さんが趣向の合う方でとても嬉しい。

共演者さんの魅力

初回に引き続き中川大志くんと安田顕さんは安定の魅力でありがとうございますだったし、一瞬しか出てこないけど姉の桜井日奈子さんも最高だった。

(海人くんの驚き方も本当に最高で、あのワンシーンもかっこいい男子への憧れをこじらせた感が出ててめちゃくちゃ良かったし、キンプリの髙橋海人はどこに隠れた選手権優勝候補シーンであった)

ドラマ初心者すぎて、面識ない方々ばっかりで恐縮なのだけれど、深夜帯なのに俳優陣が贅沢と言われていたのがどんどん理解できてくる。

三浦貴大さんのあのイヤなオトナ具合とか、松本穂香さんのどこかメンタルやられてそうな朝の感じとかも好きだった。

キャラクターの魅力

やっぱりキャラクター1人1人もとても魅力的に描かれていてそれぞれに惹かれる。

翔が自分で「強いて言うなら黒だな」と言い、「赤」を仕立て上げようとするところも、翔の視野の広さや器の大きさが感じられて好きだった。

ドヨンが翔を赤と称するところやマルコとレオのマンガをめぐる会話。

プリティ・ウーマンを最後まで見れないマルコと、実は好きそうなドヨン。

Qが勝つことに賭け、スカウトにぬか喜びするQをあしらう翔を嗜めるレオ。

こういうさりげない一つ一つが丁寧に織り込まれることでQを取り巻く4人の一人一人のキャラクター生を際立たせているみたいで好きだった。

おわりに

細かな95年演出もこれまたなかなか楽しいのもこのドラマの魅力だと思う。

一瞬映った街中だったか駅だったかの緑色のゴミ箱。

あれは確かに地下鉄サリン事件の後、一斉に撤去されて消えたな、というのをまざまざと思い出した。

場面転換で流れてくる本当の95年の映像がすごくいい味を出してる。

出てくる漫画もなんとなく知っているものばかりだし、音楽もどこかで耳にしたことがある曲ばかりだ。  

プリティ・ウーマンも上手かった。
(状況的に「それな!」と思った。リチャードギアな翔とジュリアロバーツなQだった)

あの映画は1990年だ。

Q宅のリビングもさりげなく映るけれど、95年の記憶がある身としてはかつて実家にあっかもというようなものが目に入り、とことん95年で恐れ入る。

見る側がリアルに知っているかもしれない時代だからそこ丁寧に作り上げてくれてるのがよく分かる。

製作陣やスタッフの熱量はやっぱり画面にも映るのだろう。

まだたったの2回。

物語の始まりが丁寧なストーリーは大好きだ。

この後の展開もとても楽しみにしている。



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