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記憶は消えるのではなく隠れるのだ

悲しい記憶はずっと消えないのに、忘れたくない記憶は「忘れない」という気持ちだけが残り、当時の風景や匂い感覚などの実体はどんどん薄れていく。

思い出そうとしても思い出せないこと、思い出そのものを忘れてしまうことが悲しい。

そう思っていたけれど、実は素敵な記憶は消えてしまうわけではなく”隠れている”だけなのではないだろうか?

ふとした瞬間に、走馬灯のように記憶が蘇ってくることがある。もうすっかり忘れたと思っていたことを、鮮明に思い出すことがある。

もしかして記憶というのは、失くしもののように、探すと消えてしまう天の邪鬼な存在なのかもしれない。

「これがないと困る」「今使いたい」と血眼で部屋をひっくり返しているときは絶対に出てこないのに、代わりのものを買うとひょっこり出てくる。

いい思い出はちゃんと心のどこかに隠れてるんだ、と心に余裕を持てば、きっといつかひょっこり出てきてくれる。

じたばたせずに今目の前のことに集中して、いつか現れてくれることを待とう。

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