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#8 確かめたかったこと 〜オードリーのANNin東京ドームに行って分かった〜

今でも忘れられない話がある。
持病が悪化し、入院せざるを得ない時期での病院の話だ。
入院患者は入浴する日が男女別で1日おきに別れており、出来るだけ他の人とタイミングが被らないようにその都度ナースが浴室を見に行き今ならいいですよと知らせてくれる。
そのタイミングを見計らい、お風呂に入るのだがどうしても他の人と被ることもある。
その日は先に一人浴槽に入っていた。
自分よりも遥かに年齢としては上の人だった。自分に気を使ってくれて色々と話しかけてくれた。
そのおじいさんは入院する経緯や病気について話してくれたのだが、その中でおじいさんは入退院を何度も繰り返している事、奥さんに先立たれた事、
そしてそれでも趣味の登山が楽しくハツラツと生きていて富士山にも登った事までも全て喋ってくれた。
富士山の事を喋る時なんて自慢気で笑顔だった。


2024年2月18日、オードリーのオールナイトニッポンin東京ドームに行ってきました。

このイベントはおよそ1年前に発表され、前代未聞の挑戦とまで言われました。
そのため、開催が発表された日のラジオでも埋まらないと大変な事になると若林さんが言っていました。


それから約1年、オードリーにとって戦いと宣伝の日々。
宣伝ステッカーを配布したり
若林さんは体力作りのために自転車を購入したり
youtubeチャンネルを開設したり
宣伝トラックを走らせて都内中に宣伝したりなどなど。


そんなこんなで月日は流れて2023年10月6日。
チケット一次当選の結果発表。

当選。

その週のラジオで分かったのですが東京ドームのキャパ5万人に対して19万人もの応募があったそうです。
そんな高い倍率の中で当選した奇跡。本当に感謝です。
自慢ですかと言われたらせめて自慢ぐらいさせてくれと返したいぐらい。


毎週土曜日深夜1時から始まるオードリーのオールナイトニッポン。
本当に簡単な人間ですが、少しだけ聴くのをやめていた時期があったのですが、チケットの当選により再び聞くのを再開。若林さんを見習ってダイエットを始めたりして。
ちなみに聞くのをやめていたのは単なる自分の精神的不調です。
誰のせいでもなくただただ生きる感覚。
生きながらにして死ぬゾンビのような身体の感覚でした。
よく小説などで運命の瞬間などを「時計の針が止まる」のような表現で書いてありますが、自分の体感で言えばそれはチケット当選の瞬間でした。
そしてすぐに動き出す秒針。


後にドームに行ってみて分かったこの感覚。
オードリーも冒頭で病院でお風呂が一緒になったおじいさんも「目標の為に」生きる大切さを知っていたし、既に手に入れていた。
だから両者大きな山を目の前にしても(おじいさんの場合、本当に山だけど)ハツラツとやるしかないという使命感、好奇心、責任感、挑戦者であるという気持ちなどなど三権分立ならぬいくつかの心が揺れ動く「不特定多数の感情的分立」の上に生きていたのが来たる2月18日以降に目の前に浮かんできて分かった。
ゾンビ期の自分は自我を忘れ、両手を前に出し目に見えない何かに飢えていた為、調子を崩した。
人によって行動力のトリガーは様々だが、少なくともオードリーがドームでライブをすることは他者からの外部的刺激によるキッカケではあるけど、自分の中から沸々と湧き上がる自我から発生するマグマのようなエネルギーにはなれないし、勝てないのかなと。
じゃないと外から貰ってばかりの人間が形成され、育っていくなと。
ブルーピリオドという漫画でワールドカップを見ていた主人公が思わず、友達と盛り上がりながら心で「他人の努力の結果で酒飲むなよ」とつぶやくシーンがある。
心打たれた。


だからこそ、確かめに行かなければいけない。
人の目標が達成される瞬間とその先へと。


もう一つ東京に行くならと確かめたい場所がありました。
それは阿佐ヶ谷から高円寺にかけての高架下。
Netfrixにて若林さんと星野源さんによる番組「LIGHT HOUSE」が配信されました。ドームに行く直前に自分はこの番組を見たのですがこの番組内で星野さんが毎回曲を作ると言い出しました。
その中に若林さんがラップで参加したOrange (feat. MC. waka)という曲があります。
その中の2番のサビでこんな歌詞が出てきます。

阿佐ヶ谷 高円寺 朝方 オレンジ
クリアした後のRPG 彷徨い続ける線路沿い
阿佐ヶ谷 高円寺 朝方 オレンジ
クリアした後も積む経験値 総武線乗って水道橋

Orange(feat. MC. waka)/星野源

東京には何度か行った事がある程度で、土地勘が全然無いのでドーム当日に分かったのですが水道橋は東京ドームの最寄り駅。


Netfrixのコンテンツ内でお二人が喋っていることはもちろん口外禁止なので、あまり多くは語れませんが「クリア~」以降の歌詞からは正に二人が今だから抱える葛藤が見えます。
ちなみに阿佐ヶ谷は二人が下積み時代、売れない苦悩を抱えながら色んなものが渦巻いた黒い塊を持ち歩いていた時期に過ごした街。
他の街にもある珍しくもない普通の高架下だったとしても、そこに何があるか確かめに行こうと決意し、2月17日に東京に前日入りしました。


そんな確かめたかったことの答え合わせ。
まずは阿佐ヶ谷~高円寺の高架下。

正解は「何もない」。
自分が勝手に確かめたいと提起した問の答え。
もっと正確に言えば「何もあるはずがない」。
ここに勝手に価値を見出して行きたいと思った自分の自己満足でしかないけど、むしろホッとする答えだった。
まず大前提として星野源、若林正恭にとっての思いがこびりついた道だからが理由の一つ。
そして何より勝ち目のない巨大な外部的刺激に打ちのめされた自分が勝手な思いでただ道になにかあると思いこんだだけでやってきた事への自戒とこれからは自分の内在的欲求からくるエネルギーで道や風景、場所に思いをぶつけてこびりつかせていかなければならないという決意。
強くなるなら自分の中から。
でも少なくともこの道を見に来れてよかった。


やや自分語りも多い答え合わせもようやく二つ目。
2月18日、東京ドームに着いたのは13時ごろ。

阿佐ヶ谷 高円寺 昼頃 オレンジ

RPGをクリアするもっと前の自分は総武線に乗って水道橋へ。


ここからは行った人にしか分からない領域。
そりゃそうです、なんせ「史上最大に身内ノリしかない空間」でしたから。

OPは東京ドームテーマソング「おともだち」に乗せてアニメで
ラジオでも度々話題にしていた「フィールド・オブ・ドリームス」(北海道は帯広で撮影)と「メジャーリーグ」のオマージュOP
自転車で全力疾走する若林さんとチャーリー・シーンで登場する春日さん
ラジオをやりに来ました
楽屋が狭い
ホテルからドーム見えない
クミさん前日にグッズ着まわす
結局、頼っちゃうビトたけし、TAIGA、松本明子
体力作りで行く所が無いと飽きた若林さんが考えた末にUber Eatsをやることを決意、ついつい「はいどうもー、Uber Eatsでーす」と言ってしまう、チップがこの上なく嬉しい
こちらも度々話題に上がっていた町中華のポークライスを完全に再現することに成功した春日さん、若林さんに白旗をあげさせる
クミさんのラーメンに味玉をつけさせる為に「春日俊彰vsフワちゃん」プロレスマッチ
DJプレイ若林さんからの「久しぶりだなー、東京ドーム」ついに来たスーパースター星野源、LIGHT HOUSEの大熱狂でOrangeそしてPop Virus
しんやめでカラテカ矢部大爆発
ラジオを終えてセンターステージにせり上がる1本のマイク
夜が滑りこみ ネオンが輝く大通り
コナンにのせてオードリーの紹介、感謝の特大ホームラン
このあと夢でお逢いしましょう

人の目標が叶う瞬間でした。
ブルーピリオドの一コマを例にあげましたが、人の感動で感動したっていい。

ただし、「重ね合わせる」のではなく
中に取り込んで溶かして馴染ませて自分の一部にして放出する
その為に、目標の為に2024年2月18日をお守りにして明日とそのちょっと先ぐらいまでは生きてみる
塗り替えるのは思い出ではなく自分でありたい。
不変的な自分の核を覆う層に少しずつこんな日の思いと糧をちょっと垂らせば、少し自分と自分の見る世界が少し変わる気がする。


こんな思いを沸かせて今日から散歩をしていきたい。


自分の好きな歌にこんな歌詞があります。
と言ってもこの歌は全部好きすぎて抜粋も難しいのですが。

歩いて戻っていった
来た道へ 吸い込まれた
振り返れ 前はこっちだ
声も出ない 手も振れやしない

太陽のブルース/くるり

感傷に浸る行為とは、危険な行為であると年々思うようになってきた。
そこまでの自分で立ち止まり思い出す時間は大事だし自分もやってきたけど、その思い出は声を上げてくれる訳でもない。
手も振らない。
だからある程度、現実というちょっとした冷たさと
前はこっちだと示してくれる背中の押し方を教えてくれる半々で混ぜ合わせたようなこの歌が好きだ。

またこの歌より別の歌詞で好きなのが

大事なことは忘れたりしないように
どこかで拾った紙切れに書いておこう
それでも君と
すれ違っているうちに
忘れてしまった
途切れ途切れになる

太陽のブルース/くるり

忘れないようにしつつ忘れてしまうものだから、意味のない夜が必要。
これも半々。


こんな大きなイベントの後は燃え尽き症候群になってしまいがちだったけど
もうちょっと先まではお守りを胸に。



ここからは思い出の写真をただただ載せます。

前日に友達3人と飲んだ。
もんじゃは若林さんの好きな食べ物の一つ。

ドーム当日は別の友達と二人で海鮮丼。
漬けマグロ丼も若林さんの好きな食べ物。

ドーム翌日。
15周年展へ。
あれもこれもありました。


また意味のない夜が来ますように。
明日とその少し先を願います。


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