#3 やさしい日本語で、お察し社会は変わるのか
はじめに
Input資料では、日本人の就労人口の減少と、外国人労働者数の増加・グルーバル化を見据えて、日本語をやさしい日本語に言い換えるための生成系AIの活用について記載されていました。
私自身、以前から感じていたこととして、
観光地にある歴史的な建造物の案内板の多くが、大人にも難しく、小学校の子供には理解できない点です。
ChatGPTで「やさしい日本語」にしてみよう
Microsoft Edgeブラウザで、ChatGPT-4が利用出来るため、さきほどの2つの案内版をChatGPTを用いて、やさしい日本語にしてみましたが、あまり日本語の難しさは、変わりませんでした。
ChatGPT+やさしさガイドで「やさしい日本語」にしてみよう
そこで、Microsoft Edgeでは、開いているサイトのページと組み合わせて、ChatGPT-4(Copilot)が利用出来ることから、「在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」をもとに、さらに改善を試みてみました。
(92484001_01.pdf (bunka.go.jp))
結果は、下記のとおり、格段に分かりやすくなりました。
「445メートル(正しくは445平方メートル)」等、細部に誤りは有るものの、文脈は、ばっちり合っています。
こちらを方法をもとに、さらに難易度の高い鶴岡八幡宮の案内板をやさしい日本語に言い換えてみました。
こちらも、文脈は、おおむね合っており、格段に読みやすくなりました。
文脈の誤りも「京に於ける内裏の位置に据えて」が「京都の天皇のお家に似せて」(本来は「御所の位置付けで」が正解かと)、「小林という所の山の上」(正しくは小林郷北山という地名)と、いずれも惜しい感じではあります。
やさしい日本語で、ローコンテクストな文化へ
外国人労働者の増加・グローバル化の文脈に戻すと、日本語は、同じ意味でも、その表現や言い回しが豊富で、特にビジネスの場面では難しい表現が好まれる(印鑑を押す→捺印する、持っていく→持参する)ことから、それを「やさしい日本語」で分かりやすく伝えることが求められます。
さらに視点を広げると、日本は、自他ともに認めるハイコンテクストな文化が根付いているため、日本人同士であれば、細かなやりとり無く、少ない会話で、高い共有レベルが実現できる利点も有りますが、
個人的には、ビジネスの場面で、多くの問題の根本にあるのは、関係者間の認識の相違であることが多いので、
ビジネスでは、ローコンテクストな、シンプルで明確、メッセージが額面通りに伝え・受け取る文化へ変革が求められることから、「やさしい日本語」がその一助になっていくことが期待できます。
まとめ
ChatGPTによる「やさしい日本語」の生成は、外国人労働者の受け入れ態勢の整備やインバウンドのさらなる拡大に向けて、大きく寄与していくことに疑う余地はありません。(翻訳のアプローチも有りつつ、日本語でのコミュニケーションは大切にしていきたいですね)
また、ローコンテクストな文化の醸成に向けて、ハイコンテクストな表現は、主語や目的語等、大切な品詞が行間に落ちることが少なく無いため、ChatGPTによる文章の校正についても、活躍が期待できます。
ただ、今回のように、ChatGPT単体では、効果を発揮しきれないケースも有るため、もうひと工夫をどう作れるかは、人間の知恵の見せ所なのかもしれません。(今回は、在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」を用いて、ChatGPTに「やさしい日本語」の拠り所を与えることで、効果を発現させることが出来ました)
Appendix
Microsoft Beingで、画像生成のDALL-E3が利用可能となったため、さっそく、今回の記事を画像で作成してみました。(タイトルの画像になります)
日本感を感じれるかは、悩ましいですが、雰囲気は合っており、すごい世界観の到来を感じます。
また、このようなイラストも生成されました。(いずれも日本語の再現が難しそうです)