茂木良平(少子化研究者)

ポンペウ・ファブラ大学研究員(スペイン)&南デンマーク大学助教。少子化についてデータを用いて研究してます。福井県アドバイザー、サイバーエージェントEBPMデータベースアドバイザー、日経グローカル誌で連載など。お気軽にご連絡ください✉️ryohei.mogi[at]upf.edu

茂木良平(少子化研究者)

ポンペウ・ファブラ大学研究員(スペイン)&南デンマーク大学助教。少子化についてデータを用いて研究してます。福井県アドバイザー、サイバーエージェントEBPMデータベースアドバイザー、日経グローカル誌で連載など。お気軽にご連絡ください✉️ryohei.mogi[at]upf.edu

マガジン

  • 少子化研究者による世界の少子化の現状解説

    人口学・少子化研究者が、人口学の基礎や世界の少子化に関する知見をデータや論文を使って紹介します。 毎週月曜日更新予定、だったのですが今後不定期更新とさせてください。

  • 海外ポスドク情報まとめ

    2020年に行った海外ポスドクハントで得た情報や体験をまとめました。みなさんの分野や国には、そっくりそのまま当てはまらないこともあるかと思いますが、一体験談として読んでいただければ嬉しいです!

  • 研究関連エッセイ

    研究に関するもろもろの雑記

  • 欧州移民一世の暮らし

    2016年に日本を離れて以来、イタリア、ローマ→スペイン、バルセロナ→イギリス、オックスフォード→デンマーク、オーデンセ→スペインと移り住んできました。 欧州での移民一世としての暮らしを、有益(だと思う)なことからどうでもいいことまでちらっと発信します。 基本スタンスは、みなさんに広く有益だと思って発信する情報は無料で、プライベートなどうでもいいことは有料で出していこうと思います。

最近の記事

北欧の出生率も急減。他国でも進む少子化

「日経グローカル誌」2023年10月16日掲載 筆者はオックスフォード大学の研究員を経て、南デンマーク大学の人口学センターで研究員をしている。専門は人口学だ。ある地域の人口が増減する要因である出生、死亡、そして移動について扱う分野である。人口にかかわる少子化や高齢化、健康寿命、そして移民問題は、日本だけでなく世界的な社会課題となっており、人口学はそれらと密接な学問だ。 人口減少や高齢化など日本は、課題先進国と呼ばれるものの、残念ながら人口学部を持つ大学は存在せず、私は職と

    • 【論文掲載】非正規雇用や非就業の女性は交際相手を持ちにくい

      こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。スペインのポンペウ・ファブラ大学というところで、少子化を専門に研究しています。 今回は、先日公刊された新しい論文の紹介です。就業状態と交際相手の有無について分析した論文が査読付き国際誌Journal of Family Researchに掲載されました。 https://ubp.uni-bamberg.de/jfr/index.php/jfr/article/view/953 これまで、就業形態は同棲、結婚、出産に非常に重要な変数

      • やばい研究所を選ばないようにするために

        みんな、やばい研究所だけは避けろ! ------ 「完璧な研究所など存在しない」 ので、完璧な研究所、もしくは自分にとって完璧な研究所を選ぶのは非常に難しいです。 若手の同僚は最高だけどシニアに不満があったり、指導はいいけど同じ関心を持つ同僚が少ないなどなど、色々な不満があります。キャンパスまで遠いとか、オフィス環境が悪いとか設備面での不満など、足りないところを挙げればきりがありません。 また、PhDの時は満足していても、ポスドクで同様に満足できるとは限らないし、今

        • スペインに戻ってきて2ヶ月間の感想まとめ

          2024年2月にデンマークからスペインに引っ越してきてから、早くも2カ月経ちました。 永住するつもりだったデンマークからスペインへの移住の背景については、こちらに書いているので、もしご興味ある方はこちらをご覧ください👇 実は2021年までスペインに住んでいたので、3年ぶりにスペインに戻ってきたことになります。 今回の記事では、スペインに戻ってきて2カ月間経ち、どんな感じに生活しているかについてまとめてみます。特にメッセージとかはなく、ただの移民の生活日記です~ 自己紹

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        記事

          日経グローカル誌での連載記事まとめ

          日本経済新聞社が発行する地域専門誌「日経グローカル」誌に2023年10月から2024年3月までの半年間連載をさせていただきました。 日本の人口問題(主に少子化)について、海外との比較を交えて解説・紹介してきました。日経グローカル誌は行政の方に広く読まれている雑誌ということで、読者層も意識して書きました。 連載記事は有料なので、わざわざ購入される方は少ないかと思いますが、図書館とかだと無料で読めるのかな?もしご関心ある方は下のリンクから記事単体で買えるようです。 一応まと

          日経グローカル誌での連載記事まとめ

          デンマークのデジタル化ってどんな感じだったか

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。スペインのポンペウ・ファブラ大学というところで、少子化を専門に研究しています。 2022年から2024年までの1年半ほどデンマークに住んでいました。今回は、そこで実感したデンマークのデジタル化について紹介します。 CPR番号 CPR番号とは個人に割り当てられた番号のことで日本でいうマイナンバーにあたります。 給与を受け取ったり、税金払ったり、銀行口座を開設したり、記憶している限り全てのことにこの番号は必要でした。 MitID

          デンマークのデジタル化ってどんな感じだったか

          既に1、2、3、4人以上子どもを持っている人は平均的に何歳で出産してるのか

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。スペインのポンペウ・ファブラ大学というところで、少子化を専門に研究しています。 今回は、先日発表した新しい論文の紹介です。 子ども1人欲しいな、3人欲しいな、と漠然とした理想子ども数や希望子ども数がある方が多いと思います。 その理想・希望子ども数を実現するためには、様々な要因が影響するのですが、既に1、2、3、4人以上子どもを持っている人は平均的に何歳で各子どもを持っているのでしょうか? 図1は、40歳時の子ども数が1人の女性、2

          既に1、2、3、4人以上子どもを持っている人は平均的に何歳で出産してるのか

          世界で2番目に幸せな国から1年半で退散した理由

          2022年から2024年の1年半、世界で2番目に幸せな国、デンマークに住んでいました。移住当初は、最低でも10年間、なんなら永住するつもりだったのですが、それが一転、1年半で去る決断をしました。 今回は、こうした決断の背景にあったことを詳しく書いてみようと思います。 初めまして、茂木良平と申します。日本や他先進国の少子化に関する研究をデータや統計を用いてしています。研究知見をメディアで発信することも積極的にやっていまして、例えばこんな記事を書いたり、 インタビューをもと

          ¥500〜
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          世界で2番目に幸せな国から1年半で退散した理由

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          これまで少子化に関する記事に使った図作成のコード公開します

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 今回は、これまでの記事で使った図のRコードをまとめたGitHubページを作ったので、それの紹介です! 短め記事です。 これまでの記事でも、なるべく使ったコードは記事の最後に載せるようにしてきました。それを全部まとめてみました。 改めて、データをどこから取得したかや、そのリンクも載せたので、自分でも

          これまで少子化に関する記事に使った図作成のコード公開します

          フィンランドで理想子ども数ゼロの人が急増:出生率低下の原因か

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 今回は近年急減している北欧の出生率について取り上げます。 北欧の出生率が急減し、特にフィンランドは日本と同じレベルにまで減少しているのですが、そのフィンランドに関する最新研究が出ました。 その論文を日本の事例と比較しながら紹介していきます。 北欧の出生率が急減 過去記事で、北欧の出生率が急減してい

          フィンランドで理想子ども数ゼロの人が急増:出生率低下の原因か

          未婚者の約7割以上が異性の交際相手がいない

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 今回は、未婚者の異性との交際状況について紹介します¹。 日本の少子化の主な要因は、晩婚化や未婚化といった結婚行動の変化です。 そのため、どういう人が、なぜ未婚に留まっているのかを理解することが少子化の現状を理解する上で欠かせません。 約7割以上の未婚者の人が異性の交際相手がいない 図1は、未婚者

          未婚者の約7割以上が異性の交際相手がいない

          [悲報]少子化対策やっても人口減少は止まりません

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 本記事では、少子化対策により少子化が改善しても、なぜ人口減少は止まらないのか、について解説します。 日本の少子化の現状 図1は日本の合計特殊出生率の年次別推移を示しています。点線の水平線は人口置き換え水準で、オレンジ色の線は合計特殊出生率を示します。日本は合計特殊出生率が点線を下回る1970年代半ば

          [悲報]少子化対策やっても人口減少は止まりません

          少子化の数字の裏にあるもの:テンポ効果を考える

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 今回も前回、前々回に引き続き合計特殊出生率について取り上げます。 日本のピリオド合計特殊出生率は2005年までの急減から一転、2005年から2015年まで増加しました。今回は、この2005年から2015年にかけてのピリオドTFRの増加をどう解釈すればいいか、について解説していきます。 前回までのまと

          少子化の数字の裏にあるもの:テンポ効果を考える

          ピリオド合計特殊出生率だけを見ていると政策の評価を誤ってしまう可能性があります

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 前回の記事では、少子化の現状を理解する上で一番大事な指標である、合計特殊出生率(TFR)について詳しく解説しました。TFRにはピリオドTFRとコーホートTFRの2種類あり、メディアでよく使われるのはピリオドTFRの方です。しかしそのピリオドTFRは誤解されていることが多いことを紹介しました。 今回はそ

          ピリオド合計特殊出生率だけを見ていると政策の評価を誤ってしまう可能性があります

          少子化理解に一番大事な指標、合計特殊出生率の誤解と正しい解釈

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 今回の記事では、合計特殊出生率について詳しく解説¹していきます。 少子化の文脈で一番よく使われる指標で、メディアでもよく使われるています。がしかし、誤解されて使われているケースも多くみられます。単純なようにみえてわかりづらいところもあるので、改めて何を意味している指標なのかを確認していきたいと思います

          少子化理解に一番大事な指標、合計特殊出生率の誤解と正しい解釈

          「次元の異なる」少子化対策はなぜラストチャンス?少子化対策より人口減少対策が目的かも?

          こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。 毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。 今回の記事では、岸田首相はなぜ「次元の異なる少子化対策」をラストチャンスと言っているのかを考え、そしてもしかしたら政府は少子化課題と人口減少の課題を混同しているかも?という点を整理したいと思います。 岸田首相は2023年1月4日の記者会見で、今年の目標の一つとして「異次元の少子化対策」(その後1月24

          「次元の異なる」少子化対策はなぜラストチャンス?少子化対策より人口減少対策が目的かも?