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読まなきゃいけない本を読んだこと

J・D・サリンジャー著
『ライ麦畑でつかまえて』

別に、読まなきゃいけないってことはないんだけど。
攻殻機動隊好きを自称しておきながら本書を読んでいないのはよくないよなあ〜と思ったので、読んだ。

率直な感想、なんか思ってたんと違う

記録は残しておきたいので、ここに記します。
また何ヶ月か、何年か経って見え方が変わったら追記したい。覚えてたらね。



有識者によるあらすじ

本作は、大人社会に対する純粋な子どもの反抗を描いた物語だ。
 物語の主人公ホールデン・コールフィールドは16歳の青年で名門高校であるペンシー高校の生徒だ。しかし成績が振るわず、退学処分となってしまう。そして彼は親元に退学通知が届くまでは家に帰らないと決意し、とある事情で寮に戻れない彼は怪しげなホテルに泊まる。

https://www.lib.tottori-u.ac.jp/kanpo/70books/theme4/book70.html

初見所感

思ったんと違うっていうのは、この物語を神格化していたから。崇高なものだと思っていたけど、そうじゃなくて…けっこう低俗だったから。
作品が低俗って言いたいんじゃない。物語の語り手で主人公であるホールデンの思考や行動が、私には低俗に感じられた。
16歳の青年(と言われているけど、私の感覚としては少年)が考えてることってこんな感じなの〜?っていう衝撃。
『The Catcher in the Rye』が出版されたのは1951年。今から73年前だから現代ではとても考えられないようなことがたくさん語られている。
時代背景も鑑みると、ホールデンの思考は平均的な青年のそれだったんだろうか…。ホールデンの視点で「あいつは変だ」とか「(自分は)あいつよりはマシだ」とか言われるので、そう見えてしまうのかもしれない。

反抗的だけど純粋な一面もあるけど、あるときには自分が大人であるかのように振る舞い、酒も煙草もやる。ちぐはぐで不安定。言ってることもたまにめちゃくちゃ。
私がとくにめちゃくちゃだと思ったのは女性関係。
ホールデンとにかく気が多い。
彼が一番気にかけているのはジェーンという女生徒だと思うんだけど、汽車で一緒になった同級生の母親から、レストランで出会った尼さん(修道女かな?)まで…とにかく出会う女性全員に好意を向けていたんじゃないかってくらい。
サリーっていう女生徒とデートなんかもしてた。そして彼女に「愛してる」とか言っちゃうんだ。正気か?
刹那的な思考で生きすぎでは…?16歳の青年が考えてることってこんな感じなの?(2回目)
ちなみに、最初に名前を出したジェーンは名前が出ただけで(回想以外で)直接会うことを電話で話すこともなかった。

ホールデンのことは好きではないけど、口語体で二人称の語り口はわりと好き。
ホールデンは私(読み手)を〝君〟と呼び語りかけてる。 サリンジャーはどういう〝君〟を仮定して書いたんだろうか。「君も気に入ると思う」ってよく書かれてるんだけど、なんでそう思うのか…とか。
作中で「ほんとなんだ」「ほんとだよ」と念を押されることがある。ことがあるっていうか、さっき言われたなあと思ったら三行あとでまた言われたりする。
ほんとなんだ。

思ってたんとは違ったけど、読んだことは無駄になってないと思う。ホールデンと思考はまったく理解できなかったけど、表現としてはおもしろかったし。
また読むからねー。


攻殻絡みのはなし

アオイくんが引用するほどの本ってどんなもんじゃい!って思って、読んでみた最初の感想が〝低俗〟っていう…。
でも、文体の青臭さと我の強さから「アオイくん、好きそうだな」って感じた。きれいな顔して「クソッタレ」とか言ってたもんね。(言ってた気がしてるんだけど、言ってなかったらごめん…)

僕は耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えたんだ」っていう一節を探したんだけど、野崎孝訳では「僕は聾唖で聴覚障害の人間のふりをしようと考えたんだ」だった。
「僕は耳と目を閉じ…」は村上春樹訳らしいからこっちを引用したのかなと思ったんだけども。
攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEXの放送は2002年開始で、キャッチャー・イン・ザ・ライの発売は2003年だから、攻殻のほうが先だったかもしれない。

読み始めて数頁で〝秘密の金魚〟って出てきて、これも引用してたんだ!ってひどく興奮した。
あと〝赤いハンチング〟と〝左利き用のキャッチャーミット〟とか。もっとたくさんあるんだろうけど、パッと出てくるのはこのくらい。

アニメ見直して検証とかしたくなった!
やる気はあるけど、気力と体力がないのであった…。

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