#6-3 細かい描写を続けていくことの大切さ【教員インタビュー:樋渡 由希恵先生 #3】
みなさんこんにちは。リフレクションメソッドラボラトリー事務局です。リフレクションメソッドラボラトリー(以下RML)では「MAWARUリフレクション」というプロジェクトを行っています。
MAWARUリフレクションは、「リフレクションによる個人の気づきが周囲に循環し、社会を変える」をテーマに、教育にリフレクションを取り入れる活動を2016年から続けているプロジェクトです。
本記事では、MAWARUリフレクションで新しく始めた「教員インタビュー」の記事をお届けします。教育現場で、先生がどのようなことを考えているのか、とても面白い内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。
第6回の先生は、小学校教諭をされている樋渡由希恵さんのインタビューです!いつものようにPodcastも用意していますので、ラジオ代わりにもぜひ聴いてみてくださいね。
リフレクションの手応えについて
生井:三つ目の質問に行きたいと思います。
これまで、リフレクションにおけるポジ出しとかいろんなコツを語ってくださったかと思います。そこで、リフレクションを実践されていて手応えを感じていらっしゃるとか、そのようなことがあればどんなところで感じるかっていうことと、一方でリフレクションを実践していて、うまくいかないとかこんなことができたらいいのにとか、そういう意味での課題っていうのもおありかなと思います。手応えと課題についてお聞きできたらと思います。
樋渡:手応えは間違いなく子供が変わるというところですね。
自分自身が変化するとやっぱり子供が変化するので、子供の変化っていうのが一番目に見える、目に見えてわかる手応えですね。
生井:どんな変化をしていくのでしょうか?
樋渡:ビビッとポイントが増えていくっていうことですね。
生井:教員から見る子供のビビッとポイント、それとも、子供自身が何か変化していくというような感じでしょうか?
樋渡:子供自身の変化っていうのは、やっぱり子供1人1人によって違います。私個人の話をすると、私は多様性とか、居心地の良さとか、自由とかそういったところに価値観を置いています。私から見た子供たちの変化ですが、子供たちがそのように変化していくというか、子供たちの日々の行動とか言動の中で、一人一人伸び伸び自由にふるまい始めたぞとか。
互いに多様性を受け入れて、お互いの違いを面白がって、そのような集団ができてきたぞとか、そういうことがやっぱりこちらから見てて感じられるようになります。
リフレクションの課題について
生井:リフレクションを実践する上での課題っていうところについては何かありますでしょうか?
樋渡:私は元々書くのが好きだったりして、もう半分趣味みたいにやって楽しむことができています。ただ、一緒にリフレクショングループを組んで何人かの友達、教員仲間と数年やってきた中で、やっぱり課題だなって常に思っていることがあります。それは、リフレクションをする時間をとることが、結構みんなにとっては難しいんだなっていうところです。
それはもうずっと10年ぐらい思っていることで、書くのが好きだったから私はハマったんですけど、やっぱり書くことにそんなに慣れてない人とか、時間がかかっちゃう人とかは難しいし、自分と向き合うっていうのも慣れないと難しいと思います。
思ったことそのまま、書いていくみたいなことも、人に見せるっていうことも一つの抵抗感なのかもしれないんですけど、でも何より一番は皆さん、やっぱり忙しくて、リフレクションする時間が取れないっていうところが、ずっと感じている課題ではあります。
私もコーチングの勉強とかコーチングの仕事を一緒にやってるので、段々と書くリフレクションをやる時間時間も前ほどは取れなくなってきています。
でも、みんなリフレクションするとか、振り返りを書くことの重要性はとても感じていて、「やらなくちゃ」とか「やりたい」とみんな言うんですけど、実際にやるとなるとなかなか時間の壁っていうか、日々の仕事の多忙さになかなか手がつけられないっていうか、そこに課題があります。
生井:書くっていうことは、やっぱり得意な人好きな人もいれば、時間がかかる苦手な人というのもそこは個人差があるところだと思うんです。樋渡先生自身がリフレクションを習慣にしている中で、こんなことに気をつけているとか、こんなことを意識してやっているとか自分はこんなふうにやっている。だからできているみたいなところで何かおありなんでしょうか?
樋渡:優先順位を高めるようにはしましたね。私も、忙しいんだけれども、リフレクションの優先順位が高いといいますか、手応えを感じたからこそ、優先順位が上がってきたっていうかね、それはあるので、とにかくやってみて欲しいなと思います。
書いていくと、頭で考えているだけではたどり着かないところに行けるので、気付きがあるっていうか、書いてみなきゃわからなかったことというのが必ず出てきます。ただなんでも書けばいいってわけではなくて、私は上條先生から教えてもらったエピソード記述を身につけることができたので、気付きや発見を得られるようになったんだとは思います。時間をとって書いてみると、気付けることがあるっていうかね、それがあるからこそ優先順位が高まり自分は続けていられるなと思います。
生井:手応えを実感するっていうのも一つ続ける原動力になっているし、優先順位を高めて忙しくてもまずやるみたいな。ところに位置づけているっていうことがあるんだって伺っていて思いました。
細かい描写から発見、気付きがうまれる
山下:樋渡先生は、リフレクションにどのくらい1日で時間をとってらっしゃるのかっていうことと、やっぱり、毎日書いてるとなかなかその気づきが得られないっていうところもあると思うんですね。気付きが得られない場合はそのまま置いておくのか、そのあたりどんなふうにされてるのかなっていうところで、もう少し詳しくお聞きしたいなと思います。
樋渡:最初の頃、日記的な駄目だしの振り返りを書いていたときは、毎日ダラダラ書いてたんですけど、エピソード記述をちゃんとやるようになってからは、毎日じゃないんです。週に2、3回かな。少ないときは1回とかでやっています。毎日じゃなく、週に最低でも1回は、時間を作って自分に向き合う時間を取ろうっていうふうに思って集中します。ビビッとポイントを探してその周辺のエピソードをなんとなく思い出しながら詳しく書きます。
詳しく、誰がこんなことを言って、それにこういうリアクションを誰かがしてとか、そこから誰かがこうしてみたいな、結構細かいことを思い出しながら書いていくと。その時、気づかなかったけど、これってこういうことだったんじゃないみたいなそういうような発見に必ず出会えるんですよね。それも、大発見とかではなく、本当に些細な発見なんですけど。細かく描写をしていくところが、エピソード記述の特徴だとは思うんですけど、ものすごい細かいところから割と発見は生まれてきます。
山下:なるほど、細かい描写のところにやっぱりこだわっていくっていうところがやっぱり気づきとか、発見に繋がっていくっていうところということですかね。
樋渡:そうですね、はい、そうだと思います。
==
本記事はここまでです。更新は毎週木曜日です。
第4回目もお楽しみに!
【樋渡先生インタビューの記事】
# 6-1 樋渡先生インタビュー1
# 6-2 樋渡先生インタビュー2
# 6-3 樋渡先生インタビュー3(本記事)
# 6-4 樋渡先生インタビュー4
インタビュアー 生井・山下
執筆:山下