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【あの日の彼と今の私】

大好きな球団は もう今はない。
そう私は近鉄バファローズの
大ファンなのだ。
それは今も変わらず。

大量得点をひっくり返してしまう
破壊力の打線や魅力的な投手。

ブライアントの超ホームラン
野茂の豪速球とフォーク
内匠の華麗なライトの守備
新井の技巧が冴える打撃
中村紀の豪快なバッティング
大石の走塁
石井の勝負強さ

あげればキリがない
文字にするだけでも心踊り
数々の名場面を思い返せば
今でも胸が熱くなる。
私にとって
これ以上の球団はない。

そして もっとも
応援した選手は山本和範。
私の中では偉大な左打者。
背番号は『92』。

知らない人が多いだろう。
決して華がある訳ではない。
プロ入り以来、ケガと戦力外通告が
ついて回った苦労人の彼は
晩年を迎え 古巣の近鉄へ。

晩年の彼のバッティングは
チャンスや代打での集中力は凄まじく
我々ファンの期待に応えてくれる
その姿は 私が幼い頃なりたかった
野球選手そのものだ。

引退試合の最後の打席。
彼はライトスタンドに
ホームランを放った。
あの感動は忘れられない。

私は将来は野球選手になりたかった。
だが、家の都合で
野球はさせてもらえなかった。
その前に私は野球がヘタクソだった。
子供の頃は同級生にバカにされた。
それでも野球は大好きだった。
高校生まで右投げ右打ちだった。

だが山本和範に出逢った。

ヘタクソのくせに
左打ちの練習を始めた。
毎日毎日、素振りをした。
腕試しに行ったバッティングセンター
もちろん散々な結果。
それでもバットを振った。
野球選手になれなくても
野球経験者に認められる
左打者になりたかった。
彼の引退試合のような
ホームランを打ちたかった。

そして月日は経ち 私は42歳。

数年前から地元のガチの
ソフトボールチームに入団している。
若い野球経験者も多い中
試合でヒットを量産し
打順は2番に定着。
ポジションはキャッチャー。

草ソフトボールとはいえ
いつのまにやらレギュラーの座を
手にできるまで成長できた。
まだホームランは打てていないが。

しかし 彼のような
ホームランが打てるまで
私はバットを振り続けるだろう。
諦めなければ人は成長し続ける事を
身をもって知ってしまったから。

それに私の背中には彼がいる。

そう 私の背番号は
山本和範の最後の背番号『92』。

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まいく
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