旅する気分で『サーキュラーエコノミー』を学べる1冊をオススメします!
お仕事をご一緒にしている安居さんが本を出されました!
官民一体でサーキュラーエコノミーへ移行するオランダをはじめとした、ヨーロッパ在住時代のお話を中心に「廃棄を出さない仕組み(サーキュラーエコノミー)」の国内外の事例などをまとめた1冊です。
『サーキュラーエコノミー実践』〜オランダに学ぶビジネスモデル〜
昨今のSDGs文脈(特に国内)の中から派生したデジタルテクノロジー、インフラ、建築、フード、アパレルなど、廃棄を出さない仕組みづくり(サーキュラーエコノミー )が、経済効果の創出・環境負荷の軽減・リスク管理などを同時に達成する手法として注目を集めています。
そんな中での出版は、各方面から注目されているようで、すでに様々な出版イベントが計画されているみたいです!
さて、著者である安居さんとは、出会って3年が経とうとしています。当時、アムステルダム在住だった安居さんですが、たまに帰国はされていて、そのタイミングでオフィスに遊びに来て頂いたのが最初でした。
びっくりするくらいフラットな人で、様々な事柄に興味を持ち、話を進めていると必ず質問をしてくれて適度な壁打ち会話が楽しくて、すごく「居心地の良い人」だな〜という印象でした。と同時に「有機的に人を繋げる」ことができる素晴らしい人だな!とも感じました。
また、そこでお話をして頂いた数々の市民活動の組織が非営利でスタッフも疲弊している事への違和感が、サーキュラーエコノミーを調べるきっかけとなったいうお話に、とても心を打たれた記憶があります。
仕事の話だけでなく僕がサッカー好きだというプライベートな話になっても、オランダサッカーや堂安選手の活躍について話し込んでしまうといった具合で、とても楽しい時間だでした。
人柄的にも一気に打ち解けた僕たちは、ビジネスパートナーというか「共創」というテーマで一つのプロジェクトをスタートさせることにしました。
それは、CIP(Circular Initiatives & Partners・サキュラー イニシアティブ パートナーズ)というサーキュラーエコノミー型のビジネスモデル構築をサポートするプロジェクトです。
主に、
「アムステルダムのサーキュラーエコノミー視察ツアー」
「官民の皆様へのセミナー」
「企業の顧問アドバイザー」
などでした。RIDEは、webサイトの作成や運営、プロジェクト管理(契約など)をお手伝いし、安居さんとの知見共有などを定期的に行ってきました。
今回、本書で掲載されている12あるオランダの事例は、この視察ツアーに含まれるものでした。実際に僕もアムステルダムを訪問し、全てではありませんが様々なところを案内してもらいました。当時は、RIDEのアムステルダムブランチを設けるためにImpact Hub Amsterdam(インパクト ハブ アムステルダム)に安居さん含めジョインもしていました。
安居さんが実際に何度もコンタクトをとり、コミュニケーションを醸成させてきた上で得られる貴重なネットワークを生かしたプロジェクトです。そんなこともあり、本書ではデータだけでなく現地の人とのフレンドリーな会話なども随所に書かれています。
そのやり取りを読むだけでも、市民レベルでは、「みんなそんな考えを持って生活しているのか〜」などと、一気にオランダの実態を把握する解像度が上がります。個人的には「旅行記」を読んでいる気分になることもありました。
特に章ごとの巻末に用意されているコラムは、ビジネス本という事を忘れてしまうほどです。(もちろん、エビデンスに関わる欧州の法的な情報などもきちっと整理され引用されています)
本書の終盤では国内事例が5つ掲載されています。僕たちの仲間がたくさん出ています! 黒川温泉、Pizza 4P’s、オニバスコーヒー、いずれもRIDEがクリエイティブ面でお手伝いさせてもらいました。
現在、帰国されてる安居さんは、鴨志田さん(鴨志田農園)と「公共コンポストプロジェクト」を精力的に行っています。ヨーロッパで学んだ価値や知識を生かしつつ、国内で自らが「廃棄を出さない仕組みづくり」を実践しています。鴨志田さんの農業技術とビジネスセンスも素晴らしく、お二人の活躍に心底リスペクトしています。
先月は、岐阜県郡上でスタートしようとしている「公共コンポストプロジェクト」に僕も参加させてもらい、お二人が地元の方とどのように触れ合い、自分たちの技術や思いを伝えているかを目の当たりしました。
決して自分たちのやり方を押し付ける事なく、あくまでも地元の人たちが主役となる仕組みへの導き方は素晴らしいと思いました。惜しみない知見の共有は、地元の人たちの選択肢が増えることとなり、結果的に地元の人たちの決断を促し、それが当事者意識を芽生させ、関わる人々を前向きな気持ちと昇華させていくのでした。
本書の事例でも取り上げられている熊本県の黒川温泉との「公共コンポストプロジェクト」をまとめた動画は、サステナアワード2020伝えたい日本の“サステナブル”にて、”環境省環境経済課長賞”を受賞し政府からも評価をされています。
さらに、この実績は、本書でも述べられている「バタフライ・ダイアグラム」という「サーキュラーエコノミー 」の図解を理解するのにも、とても重要な役割を担っています。
この図解には、2つのサイクルが描かれています。
1つ目は、
「工程に資源を戻すための技術的なアプローチを示す技術系サイクル(リデュース的)」。
2つ目は、
「再生可能資材を循環させる方法を示す生態系サイクル(再生可能的)」。
実例が豊富でわかりやすい技術系サイクルの方が一般的には理解がされやすく、一方、自然本来の(再生能力)を用いた生態系サイクルは、中々、理解されないことがあります。かく言う僕もそうでした。
ただ、本書にある「黒川温泉との公共コンポストプロジェクト」の事例を読んでみると、生態系サイクルが与えるインパクト(経済効果の創出・環境負荷の軽減・リスク管理)がイメージできると思います。
安居さんのお人柄がにじみ出た、とても分かりやすい「超実践的な内容」が盛り沢山な本書。
ビジネスモデルや事例を学ぶ本書ではありますが、個人的には「自分たちが幸せと感じる社会や経済って何だろう?」という自問自答が生まれる内容でした。
そして、それを具現化するためにRIDEが存在するのだと改めて考えさせられました。これからも、安居さんと共に、様々な活動を共にしていきたいと思いました!
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「サーキュラーエコノミー実践 ーオランダに探るビジネスモデル」(2021/06/25発売)
著者:安居昭博
Amazon
https://amzn.to/35QANjQ
編集者:中井希衣子(学芸出版社)
イラストレーター:Kodai Oka(https://kodaioka.amebaownd.com/)
カバーデザイン:美馬智
紙面デザイン:永壽(RIDE MEDIA&DESIGN Inc.)
特設サイト:Ei Miyata
アドバイザー:Shingo Sakai(RIDE MEDIA&DESIGN Inc.)