FC東京vs浦和レッズ〜熱狂国立 これぞ至極のフットボール〜[Jリーグ第6節]
ミッドウィークは国立開催の浦和戦。今季一発目の連戦です。
メンバー
・FC東京
川崎戦から6人入れ替えて大幅ターンオーバー。野澤、中村、安斎は今季初、土肥と俵積田は開幕戦以来、エンリケが出場停止と謎の欠場を挟んで3試合ぶりのスタメン。平均年齢22歳のヤングトーキョーで挑む。
・浦和レッズ
前節からの変更は1枚のみで、FC東京とは対照的にメンバーを変えずに連戦。大久保に変わり大畑が今季初スタメンで左SB。渡邊が初めて左WGに入る。今の髪型めっちゃカッコええな、凌磨。
噛み合わせたマークの背中を取られ
浦和の保持から。
FC東京の被保持はいつも通りの4-4-2。2トップの荒木と松木が中盤を背中で消してセットしたところから、コースを限定しながらCBに向かう。
中盤ではアンカーのグスタフソンに対してはCHの高と小泉のどちらかが出ていってマーク。そして、IHの岩尾と伊藤に対しては残ったCHとボールサイドとは逆のIHが絞って監視してマークを噛み合わせる。
対して浦和はGKも参加してCBと後方3枚で保持。2トップに対して数的優位を作りつつ、グスタフソンが位置をずらして空けた脇のスペースに伊藤や岩尾がサポートに降りることで、FC東京の守備設定をバグらせていく。
10:20の場面では、西川まで荒木のプレスを呼びグスタフソン経由で佐藤へ。さらに佐藤まで俵積田のプレスを呼びサポートに降りた伊藤経由で酒井まで送って前進。このとき、岩尾が右まで出張しているのもポイント。これにより、安斎から高の管理下となり、伊藤をマークから解放している。
また、ビルド隊(CB+GK)からFC東京のWGがIHまで絞ったことで空いたSBまで飛ばすことでひっくり返して一気に前進。このときWGがサイドに張ることでSBをピン止めしてスライドを許さない。というかそもそも西川のフィードが滞空時間が短く鋭いためスライドが間に合わない。
右サイドで俵積田の背中を取ったところから進んでいく浦和。敵陣では酒井-前田-伊藤の三角形で同サイドの攻略を狙う。逆サイドでは渡邊が大外で待ち、大畑が2人目として絡む。
ここで上手く対応したのが中村、安斎の右のセット。安斎はしっかりとポジションを戻すことで中村を1人にせず、2対2で対応できる環境を作り出す。中村は(FC東京の)左サイドから上がってくるクロスに対してCBの背中を埋めて跳ね返した。
それだけに中村の怪我は悔やまれるというか、、心が苦しい、帆高の表情を見ると。
防ぎようのあったゴラッソ
次にFC東京の保持。
浦和も被保持は4-4-2。IHの岩尾を押し出してサンタナとの2トップで中盤を消し、サイドへと誘導しながらCBへ向かっていく。
FC東京の前進は右の土肥からがメイン。ただ、中央へのコースは岩尾に背中で消されており、SBの中村へのパスが増えてくる。中村に対しては高が3人目としてサポートに入っていたが、ここを上手く消していたのがサンタナとグスタフソン。サンタナはスライドをサボらずに高を捕まえることで時間を与えず。ワンタッチを強要したところで縦のコースをグスタフソンが消して回収する。
ボールを回収したグスタフソンに対しては渡邊、岩尾、サンタナがの3人がポイントとなりカウンターの起点に。そして、このポイントにグスタフソンがワンタッチで正確に送る。
試合はペースを握った浦和が先制。クリア気味のセカンドを拾ったサンタナがハーフウェーライン付近から放った超ロングシュートがゴールに吸い込まれた。これはズルすぎる。プスカッシュ賞並み。
サンタナがズルすぎて、FC東京からすればどうしようもないようにも見えるが、、保持の配置次第では防ぎようはあった。ということで今節の切り抜き解説です。
切り抜き解説(23:30~)
先制点の少し前から。左サイドでFC東京が持つ場面。
左サイドに高と小泉の両CH、さらに右WGの安斎も出張してきてライン間を取っておりかなり人数をかけている状況。浦和も10人全員がピッチの左半分に集まっているため、逆サイドまで展開して一度ブロックを広げたい。
しかし、このときの土肥の位置が少し低いため、逆サイドの中村までの距離が遠く繋がりずらい上に、浦和に全体を押し上げる時間を与えることになる。結局、荒木は同サイドに突っ込みロスト。
また、ネガトラ(攻→守の切り替え)でサンタナが前を向いたときにサンタナまで遠いため、距離を詰め切ることができない。結果的にサンタナはハーフウェーライン付近までスピードを落とさずに進むことができた。
まさかそこから一気にゴールに沈めてくるとは思わないし土肥のミスとまではいかないが、配置をしっかり整理できていてば防ぎようはあったかなと。それでもズルだけど。
1点リードした浦和は全体を下げてミドルサードで構える振る舞い。この展開での浦和は岩尾も中盤に参加して4-5-1でセット。サンタナは中盤を捕まえて、伊藤と岩尾のIHがCBまで出ていく形。
対してFC東京は白井が残り気味で後方3枚を作り、ボールを動かながら左サイドからの前進を探る。エンリケで伊藤を引きつけて、その背中に高や小泉、松木や荒木が現れる。大外の佳史扶と関わりながら浦和のラインを超え酒井をサイドへと引き出して、小泉や俵積田がポケットへと侵入していく。
SB-CB間が開いたときには中盤の3枚、主にグスタフソンが埋めることで対応する浦和。このグスタフソンの対応により、FC東京はポケット侵入から直接的にゴール前へボールを送ることはできなかった。
しかし、深い位置まで侵入することで、浦和の中盤をディフェンスライン付近まで押し下げることには成功。これにより空いたペナルティエリア手前あたりのハーフスペースからファーサイドの大畑あたりをめがけてクロスを入れていく。
このエリアからのクロスは何本も狙っていた形。そして、上背はないながら空中戦でも戦えるところを見せた安斎。この辺りも仲川ではなく安斎を起用した効果が出た。
至極の2トップ
浦和の1点リードで後半。両チームとも選手交代はなし。
立ち上がりすぐにFC東京が同点に追いつく。
荒木がクリアボールを納めて左から前進。佳史扶と俵積田で酒井を突破してグスタフソンをサイドに呼び込む。これにより空いたペナルティエリア手前で荒木が受けてニアに流し込むようなフィニッシュ。
エンバペいたわ、東京に。
同点に追いつかれたあとは再び4-4-2でプレスに出ていく浦和。対してFC東京は荒木が前半よりも低めの位置取りでグスタフソンの脇に現れることでプレスを空転させていく。
また、同点弾の場面のようにクリアしたボールに対してもライン間で納めていく荒木。相手に囲まれても魔法のようにヌルヌル抜けていき、カウンターで俵積田が左サイドで躍動し始める。
流れのままに勝ち越し点はFC東京へ。野澤のスローからカウンター。松木のサイドチェンジを受けた俵積田がファーへクロス。松木がゴールに流し込んだ。
前半から繰り返した大畑を狙ったクロスが得点に結びついたFC東京が試合をひっくり返す。
勝ち越したあとはプレスに出ていかず、4-4-2で構えるFC東京。浦和は数的優位の中盤から前進を図るが、高と小泉のCHがアンカーとボールサイドのIHを監視し、逆のWGが残りのIHと SBの2人に睨みを効かせる立ち位置を取る。
前半はビルド隊からSBまで飛ばされてひっくり返されたFC東京。勝ち越し後は重心を下げて構えたことで、WGの背中に潜り込まれることがなくなり、1人で2人を監視できる環境となった。
追いつきたい浦和は岩尾に代えてなんか憎めないでお馴染み中島翔哉を投入し4-2-3-1へと変更。
74分には浦和の右からの前進で中島が右のハーフスペースを取り、安斎にどこまでついていきますか?という問いを突きつける。マンツーマン設定ではないので、安斎は逆まではついていけずに中島がライン間でフリー。中島のパスに大久保が背後へと抜け出す。
ただ、この形の前進はここの場面くらいで偶発的。凌磨か小泉の佳穂くんがトップ下だったら再現されてそうでしたけど、どうでしょうか?
その後はブロックを作り、野澤のスーパーセーブにも助けられながら守り抜いたFC東京。国立でホーム初勝利を手にした。
おわりに
遅くなったので一言。
ヤングトーキョーで浦和倒すのたまらん。
試合結果
2024.4.3
FC東京 2-1 浦和レッズ
国立競技場
【得点者】
FC東京
50' 荒木遼太郎
58' 松木玖生
浦和レッズ
24' チアゴサンタナ