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サンクスギビング:アメリカ最大の祝日の光と闇

クリスマスやハロウィンは日本でも広く浸透してきましたが、「サンクスギビング」はまだあまり知られていないかもしれません。アメリカでは11月の第4木曜日、カナダでは10月の第2月曜日に祝われる重要な祝日で、学校や職場が休みになり、家族が集まってターキーのご馳走を囲む風景が一般的です。日本のお正月のような大切な日と言えるでしょう。

アメリカでこの日を迎えると、スーパーなどの店舗も休業することが多く、いや応なく生活に影響が及びます。そのため、私も渡米して2年目からは自宅でターキーを焼いて祝うようになりました。また、サンクスギビングの翌日金曜日は「ブラックフライデー」として知られ、前後に一年で最大のセールが開催されるのも特徴です。初売りで賑わう日本のお正月と少し似ているところもあるかもしれません。

サンクスギビングデー(感謝祭)は、アメリカ合衆国やカナダで祝われる伝統的な祝日で、収穫への感謝と家族の団欒を祝う日です。サンクスギビングの起源は1621年、イギリスからの移民であるピルグリム・ファーザーズがマサチューセッツ州プリマスに定住し、先住民であるネイティブアメリカンの協力を得て初めての収穫を祝った出来事に遡ります。移民たちは先住民から農耕技術や狩猟方法を学び、厳しい冬を乗り越えられました。その感謝を表すため、先住民を招いて祝宴を開いたと伝えられています。

しかし、アメリカ先住民にとってサンクスギビングは一筋縄ではいかない歴史です。実際、白人移住者たちは先住民を迫害し、土地を奪い、さらには人身売買の対象にしたと言われています。また、海外から持ち込まれた新しい感染症の影響で、先住民の人口は激減し、全滅してしまった部族もありました。(参考:ニュースウィークの記事)。そのためサンクスギビングが先住民迫害の歴史を覆い隠すための「捏造されたハートフルストーリー」だという指摘もあり、背景には複雑な事情があるのです。

日本ではサンクスギビングに直接触れる機会は多くないかもしれませんが、この祝日の影響で、11月最終週以降はアメリカでビジネスがほぼ停止することを知っておくと良いでしょう。特にアメリカに社員がいる企業では、サンクスギビング前後に大きな組織変更や戦略変更を計画しない方が賢明かもしれません。日本人が大晦日やお正月を重んじるように、アメリカ人のホリデーシーズンにも配慮することで、よりスムーズに物事が進むかもしれませんね。

このように、サンクスギビングには多様な側面があるのです。アメリカの文化を知る一助として、ぜひ覚えておいてください。

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