Rhodonite

日本とアメリカ、マネジメントとプライベート、それぞれの狭間で思ったこと。 ビジネス本の紹介も挟み込んでいきます。

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最近の記事

日本企業と海外スタートアップの間の埋まらない溝

さて今回は、文化・組織プロセスの違いの話です。 日本企業とアメリカやヨーロッパのスタートアップ企業が提携を模索するとき、様々な局面で日本企業が「何をしに来ているのかわからない」と言われていることを目に、耳にすることが何度もありました。どうしてこういうことが起こってしまうのか、見てきたケースについてお話しします。 よくあるケース1:日本の企業が海外企業と提携をしたい(または日本の政府関連組織が海外のエコシステムを学びたい、等)といった内容でアメリカを訪れることが最近は多いかと

    • 「生きがい」や「腹八分目」がアメリカで大真面目に使われる:海外で再発見される日本語の深み

      「カラオケ」や「スシ」といった日本語がそのまま海外で使われていることは多くの人が知っているでしょう。しかし、ビジネスの現場で真剣に用いられている日本語の中には、元の意味から少しずれているものや、むしろ日本語以上に深い意味で理解されている言葉があることをご存じでしょうか。今日は、アメリカに住む中で感じた、ちょっと驚くような事例についてご紹介します。 最も有名なのは「カイゼン(Kaizen)」でしょう。1980年代に日本の経営手法として広まったこの言葉は、今でもビジネスの世界で

      • リーダーに「本音」は必要?:なぜアメリカのリーダーは“Authentic”でいなければならないのか

        アメリカのビジネススクールに通っていたとき、「Authenticなリーダーシップ」を推奨する論文に何度も触れる機会がありました。このテーマが面白いのは、日本のビジネス界ではほとんど耳にしない点です。なぜこの考え方がアメリカで強調されるのか興味が湧きました。 ここでいう「Authenticity」とは、リーダーが自分の内面にある本質的な信念や経験を深く理解し、それに基づいて行動することを意味します。リーダーシップ理論においてこの概念を提唱したビル・ジョージ(Bill Geor

        • 不老長寿に関する大真面目な議論たち

          人間の寿命はここ数十年、確実に延びています。そんな中「不老長寿/不死」について真剣に議論する人たちも増えてきています。永遠に死なないという概念は、まだScience Fictionの域を出ていないかもしれませんが、100歳を超える人生が現実味を帯びてきているのは事実です。こうした長寿化の進展は、医療分野だけでなく、社会全体に大きなインパクトをもたらしつつあり、今や避けては通れない課題として私たちに突きつけられています。 日本人にとってなじみ深いアニメ『サザエさん』のキャラク

        • 日本企業と海外スタートアップの間の埋まらない溝

        • 「生きがい」や「腹八分目」がアメリカで大真面目に使われる:海外で再発見される日本語の深み

        • リーダーに「本音」は必要?:なぜアメリカのリーダーは“Authentic”でいなければならないのか

        • 不老長寿に関する大真面目な議論たち

          メリークリスマスと言わないで:日本では気づかなかった多様性の影響

          日本では12月に入ると、街はクリスマス一色に染まり、「メリークリスマス!」という挨拶があふれますね。クリスマスケーキが華やかに並び、イルミネーションが街全体を楽しげな雰囲気で彩ります。アメリカでも、NYなどのイルミネーションや大規模なパレードなどが有名なので、みんながクリスマスをお祝いするようなイメージをなんとなく、持っていました。 アメリカの今の地域に住んで最初に驚いたのは、クリスマスの時期に「メリークリスマス!」と言わないことです。特に学校や職場など、人が集まる場では「H

          メリークリスマスと言わないで:日本では気づかなかった多様性の影響

          スタートアップはなぜ日本で栄えないのか2:エンジェル投資家という存在

          今住んでいるアメリカの地域は、バイオスタートアップが非常に盛んな場所です。以前の投稿でも触れましたが、アメリカにおけるベンチャー企業の活況は、日本と比べものになりません。以前、個人がお金を稼ぐことに対する日米の文化的な違いについて述べましたが、もっと直接的な要因は「資金」です。ここには豊富な資金が集まり、それが成長を支える強力な土壌となっています。 たとえば、アメリカ・マサチューセッツ州が世界一のバイオスタートアップ集積地であることを示すMassBioの「2024 Indu

          スタートアップはなぜ日本で栄えないのか2:エンジェル投資家という存在

          日本のアニメ・マンガ・ゲームのこれから ~ただの元・子供が思うこと~

          こんにちは。今日はちょっと真面目に、日本のアニメ、マンガ、ゲームとその未来について考えてみたいと思います。あらかじめお断りしておきますが、私はコンテンツ業界のプロではありません。むしろ、昔からアニメやマンガが好きだったただの元・子供で、今もその気持ちは変わりません(昔ほど自由な時間がないのが惜しいですが…)。そんな私が、なぜこのテーマを急に語りたくなったのかというと、スタートアップやイノベーションの話をしていた時にふと出た、「日本に手放しで来てくれる海外の研究者は、日本文化や

          日本のアニメ・マンガ・ゲームのこれから ~ただの元・子供が思うこと~

          「リーダーはアスリートのように過ごさなければならない」のか?

          リーダーは、高い判断力と瞬発力が求められる仕事において、まさに「アスリート」のような存在…という説明を聞いて、非常にしっくりきたことを記しておきます。成功するためには、日々のルーティンや自己管理を厳格にし、健康を保ちながら長期的にサステナブルなキャリアを築く必要があります。例えば、早朝に起床、豊富な情報収集、運動習慣、対面でのコミュニケーションの重視、そして家族との時間を大切にするなど、リーダーたちはプライベートやフィジカル・メンタルの健康管理にも配慮しています。これにより、

          「リーダーはアスリートのように過ごさなければならない」のか?

          スタートアップはなぜ日本で栄えないのか:レモネードスタンドの話

          私は日本人ですが、今アメリカの中でもスタートアップが非常に盛んな地域に住んでいます。そのため、「どうして日本ではスタートアップが米国と比較して少なく、また成長が限定的になるのか」という話題が毎日のように会話に出てくる日々です。(要因は多岐にわたり、スタートアップといっても領域によっても状況は異なりますが)このような会話の中で、非常にソフトな面として、こうした文化的な要因もあるのではないか、と感じることがあります。 アメリカでは、子供たちが「レモネードスタンド」を開き、自分の

          スタートアップはなぜ日本で栄えないのか:レモネードスタンドの話

          リーダーとして感じる、ストーリーテリングの力

          正直なところ、ずっと「語らずして結果を出す」のが一番かっこいいと思っていたところがあります。でも、リーダー職として日々チームやクライアントと向き合う中で、ただ事実を伝えるだけではなく、ストーリーとして「語る」ことが実はとても大事だと感じるようになっています。かのMITでも、アナリティクスの力をきちんと発揮させるためにはストーリーテリングが欠かせないと述べています(MIT Sloanの記事)。 実際にマネジメントの現場では、データやアナリティクスを正確に示したとしても、結局の

          リーダーとして感じる、ストーリーテリングの力