傷ついた人たちにこの本を
先日、note公式Xの書籍プレゼント企画に当選した。
この手の企画に当選することは初めてだったので、DMが来たときは感激のあまり「わァ・・・・・・」とちいかわみたいな声が漏れた気がする。
僕の手元に届いたのは、吉本ユータヌキさんの『あした死のうと思ってたのに』だ。
吉本さんの原体験をもとに作られたこの漫画は、僕にめちゃくちゃ刺さった。
というのも、僕も中学時代にいじめられた経験があるからだ。
物を盗まれた、暴力を振るわれた、心無い言葉を浴びせられた、今思い出しても心の奥がズキズキする。
ストレスによる腹痛で、一週間くらい学校に行けなくなった時期もあった。
母が半ば強引に車で連れ出しても、校門の向こう側に踏み入ることができなかったのを覚えている。
本作のフレーズを借りれば、「ボクにとっては治らない傷になった」のだと思う。
あのとき、「死にたい」と思ったことはなかったけれど、とても苦しかった。
あえて言語化するなら、「どうしたらこの状態から抜け出せるだろうか」と思っていた。
でも、中学生にできることなどたかが知れている。根本的な解決はできなかった。
そんな僕を救ってくれたのは、音楽(KinKi Kids)だった(詳しくは過去の記事を参照していただきたい)。
そして奇しくも、本作のカギとなる要素の一つが音楽だ。
本作には心を打つ言葉が多く散りばめられているが、中でも特に素敵だと思ったのが、
「音楽は絶対キミを1人にしない」
というもの。
まさにそうだ。僕も体験したからわかる。
音楽はいつもそばにいてくれた。
音楽は絶対僕を1人にしなかった。
今、つらい人。
かつて、つらかった人。
本作は、その人たちの傷や傷痕をそっと撫でるような、優しい漫画だった。
そして、人と人とが関わって生きることの難しさ、誰かに向けて発せられる言葉の重さを、全身にひしひしと感じる作品だった。
ぜひ多くの人に読んでいただきたいと思う。
最後になりましたが、素敵な作品を作ってくれた吉本ユータヌキさん、プレゼント企画を実施してくれたnoteの皆さん、ありがとうございました。