怪奇数奇譚(其の捌)ー人形人間ー
人間は大抵、生まれてすぐに名前をつけて貰う。
その名前を好む、好まざるに関係なく、当たり前のように生涯、何処へ行くにも持ち歩いて、初めからその名前が当たり前であるように振る舞い続ける。
話は横道に逸れるが、子供の頃、誰もが一度は手にしたことがある人形、これを手にした日、この人形につけられた名前を何の躊躇もなく口ずさむ。
名前ってなんだろうか?
人間は、自分を何かの枠に嵌められたり、決めつけられることを殊更に嫌う性癖がある。
にも拘らず、心の中では何らかの評価を求めている。
物言わぬ人形に、もし心があったとしたら、やはり人間のような葛藤があるのだろうか?
しかし、人間も名付け人から見れば、人形とさほど変わりはないのかも知れない。
違いがあるとすれば、人工的に造られたか否かの違いではないだろうか。
かと言う僕も人形人間に違いない。
いずれ機械が人間を追い越し、ヒューマノイドやアンドロイドが人間たちに取って変わる時代が来るかも知れない。
そんなことを、ふと考えると、この時代に生まれて来て本当に良かったと思う。
近い将来、人形か人間かが区別出来なくなる。
そんな時、あなたは自我を保って人間としての存在意義を主張することができるだろうか。
多数派に埋没する事で安堵する現代人は、既に個性を失い人形人間になっているかも知れませんね。
ああ、ミステリー。
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