落語調ー初夢ー
一年の計は元旦にありとよく耳にしますが、毎年お正月が来ると恒例のご挨拶、書き初めなどしては見るものの、美味しい御節料理にお餅づくし、すぐに年頭の志など何処へやら。
毎年そんな具合でございます。
さて、今年は如何致しましょうかと大晦日の除夜の鐘を聞きながら、蕎麦などすするうちに、いつの間にか寝ております。
目を覚ましてみて、先ずは大慌て、なにをそんなに慌てているかというと、朝見たはずの初夢を覚えていないではありませんか。
あれえ、おかしいなあ、今しがた見たばかりの大切な初夢、全く思い出せません。
首を捻ってみたり、顎をさすってみたり、
えぇい仕方ない、忘れちまったんだから、くよくよしても始まらない。
思い出したところで、どうせ餅でもつついて腹一杯の夢でしょうよ。
気を取り直して、書き初めなどしてみましたが、どうも字が気に入らない。
自分で書いておいてなんですが、どうにもこの下手くそな字が気に入らない。
ああやめた、やめた
お正月から悩んでばかりじゃ幸先悪いったらありゃしない。
美味しい御節料理に、お雑煮、お酒など少々あれば大満足。
ああ食べた、食べた。
さて昼から風呂と洒落こもうじゃないの。
ああ。いい湯だ、鼻歌のひとつも唄いたくなるってもんだ。
ああ正月はこうでなくちゃ…
はっ?
あれ?
夢?
これが、あたしの初夢とは恐れ入った。
夢なら覚めなきゃ良かったなあっと、また布団に潜り込んで、元旦早々の寝正月。
今年も良い年になりますように。
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