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GUGENに参加してみて

GUGEN 2024に参加してきました。

元々GUGENのことは知っていて、2016年~2018年のGUGENにて大学の先輩と一緒に応募、出展をしています。大学の先生のススメで、学内ワークショップの成果物を展示したのが始まりでした。ノミネートはしなかったものの、いくつかのスポンサー賞をいただきました。またGUGENの際に自分のプロダクトを熱中して遊んでいただいた方の繋がりで、今の会社に勤めています。たまにスポンサー側視点で参加しています。

今回はGUGENを、参加したことある人として、そして来年参加する応募者としての目線から、振り返っていこうと思います。

GUGENとは

GUGENは、課題解決を主眼としたハードウェアのハッカソンやコンテスト等のイベントを通じて、ものづくり活動を支援する株式会社ピーバンドットコムの取り組みです。最新のオープンイノベーションを駆使し、最低限のコストと時間で、世の中にない新しい価値を提供するプロダクトを創出していきます。

https://gugen.jp/

GUGENは2009年から続く、P板.com主催のハードウェアのコンテストです。世の中の課題を解決するためのものをGUGEN化する、未来のふつうを創造することをコンセプトとしています。国内最大級のコンテストで、今年の優勝賞金も100万円相当の賞金+P板.com基板製作費でした。

ピーバンドットコムさんがどういった理念でGUGENを運営しているかはこちらの記事が詳しいです。

過去のGUGENを見てみる

過去のGUGENを見ると、歴代の審査員や、選考を通過した出展者に、ハードウェア界隈を支え、牽引する方々の名前が並んでいます。

2010年のGUGENの前身である電子工作コンテストを見てみると、審査員は明和電機の土佐信道氏、スポンサーも秋月、スイッチサイエンス、マルツ、仙石、トラ技に技術評論者、デイリーポータルや面白法人カヤック、チームラボなど、多彩なハードウェア界隈の企業が並んでいます。
https://www.p-ban.com/ele_con/

大賞はMATHRAX LLC.のRhinon(らいのん)という電子楽器でした。素敵なプロダクトです。

2013年、名前を電子工作コンテストからGUGENに変え、課題解決・社会実装に根ざしたコンテストになってからは、大きく出展作品、ノミネート作品、大賞作品の毛色が変わります。デザインや面白さ、単純な電子工作的技術力だけではなく、如何にして社会を変えていけるかというところが評価されるようになります。スポンサーも、ハードウェア・電子工作界隈の会社から、徐々に、ハードウェアスタートアップの支援を手がける企業も増え、多様性に富んでいっている印象です。

下記が歴代の大賞作品です。どの作品もクオリティが高く、尚且つすぐにでも製品化してほしいと思えるようなハードウェアです。

2013年:筋電義手 “Handiii”
2014年:おしゃぶりセンサ
2015年:Airstic Drum
2016年:bioSync: 身体接続技術に基づく新しいインタラクション
2017年:人生100年時代に必要な歯磨きシステム by 歯っぴ~
2018年:Knotty by Studio PLAYFOOL
2019年:Planter by 関谷 直任
2020年:Syrinx by チームSyrinx
2021年:ICOMA タタメルバイク by 株式会社ICOMA
2022年:AISIG AI信号認識デバイス by sightas
2023年:深呼吸誘発デバイス「シンコキュウ」 by 株式会社シンコキュウ
2024年:CottonSketchPen by 4ZIGEN

プロダクトを量産体制へと持っていくためのプロトタイプ持参し、GUGENの場でユーザー体験会を実施しているようなクリエイターもいたり、実際にクラウドファンディングで量産まで進めている事例もあるようです。P板.comのバックアップもあり、GUGENをきっかけに、ハードウェアスタートアップの道が開かれているように感じます。非常に魅力的ですね。

GUGEN 2024に関して

一般参加者としての視点。今年は広告に気合が入っているようで、駅の広告にも掲載されているのが見えました。毎回面白い会場で実施されているのですが、今年も例に漏れず、Tokyo Innovation Baseと呼ばれる、東京のスタートアップ拠点で開催されていました。

審査中は女性シンガーのRainy。さんのパフォーマンスもあり、今までとは違う雰囲気でのコンテスト・展示会となりました。

今年は応募件数が63件程度と、例年より少ない印象でした。その中でも45作品程度がコンテストに出展となりました。当日展示していたクリエイターも、大半が学生さんのようでした。中学生から高専生、大学生、大学院生、幅広く参加されていました。もちろん例年の如く、熱量のある社会人クリエイターも多く、当日の展示会は大賑わいでした。

GUGEN展示会を最大限楽しむために、前日までの全プロダクトの把握はもちろんのこと、当日はたくさんブースに遊びに行き、クリエイターの方々と交流しました。スポンサー賞を眺めていても、スポンサーの各社、違った視点での審査がされているようで、全然スポンサー賞が被っていなかったのが興味深かったです。

審査員も一新され、各方面からの実績や立場のある方々が、真摯な審査をしている印象でした。毎年思うのですが、ハードウェア作りをしたことがないような変な人が審査していなくて、安心できるコンテストと感じています。

ノミネート作品は、6作品中なんと5作品が、学生の方が制作されたプロダクトでした。例年は、スタートアップをしている、もしくはスタートアップを目指しているような方々がノミネートされるような印象がありました。その点でも、今年のGUGENは、とてもフレッシュで未来を感じさせるような印象がありました。

今年のGUGENの大賞・ノミネート作品に関してはこちらの公式ページが詳しいです

個人的に好きだったプロダクトをいくつか紹介します。
カンタンジャン:未経験者のための麻雀用補助デバイス。麻雀ボードゲームの体験を損なわずに、いかにデザインして初心者の麻雀の役計算を簡単にするかに特化したガジェットです。デザイン・UXを考えられていて、そして僕自身もデジタルボードゲーム作りが好きなので、とても共感しました。
球体多脚ロボット「Sherobo」:クリエイターの小林竜太さんはものすごい数のアウトプットをしている方で、毎回展示会でプロダクトを見ると、完成度に圧倒されていました。今回も、遊び心が詰まったデザイン・コンセプトで、ロボットの実装力や完成度もすごかったです…
夢の中で推しに会うための装置-Sheep Sync-:夢の中で推しに会うことを願い、実装し、そしてこのガジェットを使うことで逆にいつか推しに会えなくなるのでは?という不安も抱きつつ次のバージョンを作っている、クリエイターさんのキャラクター性がとても面白かったです笑

当日、各ブースでうるさくあーだこーだお話しさせていただきました。いち参加者として、とても楽しかったです。ありがとうございました。

ここからが本題。

GUGENに応募するぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

2024年現在、ハードウェアプロトタイプ作りへのハードルは、GUGENが始まった2009年から比較すると、相当、相当、相当、相当、とてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとても低くなっています。

秋月電子、千石電商、スイッチサイエンスやRSコンポーネンツ、マルツオンライン、電子パーツを簡単に手に入れる手段はいくらでもあります。

GUGENを知らなかった人、GUGENに過去参加したことがある人、ぜひ一緒に来年のGUGENに応募しませんか。ソフトウェアエンジニアのあなた。意外とハードウェアの敷居は低いので、電子工作、ハードウェア作り、初めてみませんか。ソフトウェア開発の延長線でプロダクトを作り、展示していたクリエイターもたくさんいました。

私も、展示会の熱量にあてられて、久々に応募したいモチベーションが湧いています。やはり、未来のふつうとなるであろう、社会課題解決のためのプロダクトを作る、というのは気合いが要ります。メイカーが手癖で作る"電子工作的面白さを追求したプロダクト"とは、作る時に使う筋肉・神経が変わりますね笑

maker faireが年々盛り上がっていく中、maker faireとはコンセプトが大きく異なるGUGENのも、もっと盛り上がっていくことを切に願います。

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